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冷やし狸庵

原発・エネルギー問題を静かに考えるブログ。

【Q&A方式で解説】 日米原子力協定 - 最終章 - その1 

‖ 予定が遅れましたが、Q&A方式で日米原子力協定を解説

本来は夏頃を予定してましたが、だいぶ延びてしまいました。でも、ちゃんとやりますよw

以前から日米原子力協定に関してはクドクドと連載を続けてきました。

日米原子力協定は来年の1月中旬頃に実質的な更新(後述しますが、実際の期限は7月ですが、それ以前に日米間で自動延長の申し合わせが行われるとみられるという意味で)も控えているということで、今までの記事のまとめを兼ねて、今一度、この協定について考えてみるというのが今回の連載の趣旨です。

考えてみるとはいえ、今回の連載は、この論点では未だに「日米原子力協定を破棄しなければ原発がやめられない!」等と絶叫する反原発活動家が多く、そろそろいい加減にしてくれないかという、憤りを込めた内容になります。

同時に、今回の連載によって、マジメな反対派が妙な与太話に引っかからないノウハウを提供することが出来れば、といった感じになると思います。

タイトルが原子力協定なので、もちろん協定の話がメインになりますが、内容的に、こちらに関連する話もいくつか出てくると思います。

‖ 日米原子力協定の基本事項について その1

今回は、日米原子力協定とは一体何なのか?といったそもそも論に始まり、歴史的な流れを踏まえつつ、協定の目的や趣旨、禁止事項等の基本事項について触れていきます。

Q1. そもそも、「日米原子力協定」とは?

A.原子力の非軍事利用(平和利用)の分野における協力のための協定(条約)です。

日米原子力協定。正式名称は「原子力の平和的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定」です。

原子力規制委員会 日米原子力協定(88年協定 PDF)
1988 https://bit.ly/2JXv66M

これは、大まかに言えば、原子力平和利用のために必要な技術・機材等の提供を可能にするための協定になります。

日本の場合は、1955年の「原子力の非軍事利用に関する日米協定」に始まり、58年の動力協定、68年の旧日米原子力協定、そして現在の協定は88年に更新されています。

現行協定の有効期限は30年、すなわち来年の7月に期限切れとなります。

協定は終了の半年前に再度更新・自動延長、あるいは終了するかという話になりますが、現状では自動延長になる可能性が高いでしょう。

こちらの協定については、今後条文を引用する場合がありますが、特に断りのない場合は、何れも上記のリンク先の88年度版の内容になります。

Q2. 「原子力の平和利用」とは何ですか?

A.原子力の軍事利用以外全てですw

原子力の軍事利用。これは誰もが想像するように、核武装ということになるでしょう。

そして原子力の平和利用とは、軍事利用に直接的に繋がる技術以外の全てです。

平和利用に関する用途は広く、核化学等の基礎研究に始まり、それらの応用事例として、産業・工業用途、あるいは医療等に関連する核物質(放射線)の取り扱い。もちろん原発も含まれます。

原子力の平和利用は、これらの利用促進という意味合いの他、原発であれば廃炉解体技術、核のごみなどのバックエンド事業もあります。

その他、これは原子力利用全般に共通する話ではありますが、核不拡散、放射線防護(安全性)等の向上にも関わってきます。

つまり、何も推進だけが平和利用とは限りません。利用促進事業が表舞台とすれば、裏方的な事業も含めての平和利用です。

なお、原子力の利用には、「平和的核爆発」という用語があります。例えばダムや海峡を作るため、あるいは大規模火災を鎮火するために核爆弾を使用する・・という方法があります。

ありますが、こちらは現在はNPT上の核兵器国のみが対象です。いくら平和的であると主張しても、結局は核兵器を製造・使用するのと同じだからです。例えば第8条1・2項でも、「いかなる核爆発装置のためにも・・使用してはならない」とありますが、これは平和目的も含めた核爆発の禁止という意味です。

Q3. 日米原子力協定の主旨とは何ですか?

A.平和利用の協力というよりも、核不拡散の要素が強いです。

原子力の平和利用協力がこの協定の目的ではありますが、実際に条文を読んでみると、とにかく軍事利用はしない、してはいけないという内容です。つまり、「日本は間違っても核武装しないでくださいね」というわけです。これは日本のみに限らず、軍事利用に繋がる技術を他国に提供したりしてはいけないという意味も含まれます。

表向きは平和利用協力であり、実体としては核不拡散。すなわち、日米原子力協定は日米核不拡散条約と読み替えても差し支えがないでしょう。

Q4. 日米原子力協定に違反すると日本はどうなりますか?

A.一義的にはアメリカから原子力施設や核物質の使用停止の要求、加えて経済制裁を受ける可能性が高いと思われます。

あまり考えたくはないですが、協定違反とはすなわち、日本がアメリカから直接ないし間接的に提供を受けた・ライセンス使用している核物質なり機材等を悪用した場合。端的に言えば核武装でしょうか。

この場合、日本は協定違反としてアメリカから痛烈なバッシングを受ける可能性が高いです。

もちろんこれは、「遺憾の意」のような実体のない話ではなくて、例えば十二条一項bでは、協定上重大な違反をした場合は、提供した機材や核物質等の返還要求の権利を有するという記述があります。一義的には原子力施設や核物質の使用が全面的に中止となる可能性もあるでしょう。

ここで、ひねくれた見方をすれば、それでは脱原発への近道は核武装だと仰る方もいるかもしれませんが、世の中そんなムチャクチャな話はありません。悪用に相応するペナルティーはこれからです。

正式名称は失念してしまいました(後日調べて訂正します)が、アメリカには原子力技術の受領国が協定違反をした場合、経済制裁をするという法律が存在します。その根拠となる法律は、たしか米国原子力法だった気がするのですが・・。アメリカの国是の一つに挙げられるのが核不拡散ということもあり、こちらに関しては常に神経を尖らせています。

また、協定違反によって、安全保障上の日米間の関係も最悪の状況になることが予想(最悪、敵性国家とみなされる)され、原子力の悪用は日本の国際的な地位の低下すら引き起こすおそれがあることは決して大げさな話ではありません。

あくまで今回の話は、日米二国間という枠内での説明になりますが、悪用への道は日米関係の悪化にとどまらないことは過去の記事でも説明してきたとおりです。最悪の最悪は「ABCD包囲網」みたいな話にもなりかねません。

‖ とりあえず日米原子力協定は「核不拡散」が主体である

日米原子力協定とは、日米間における原子力平和利用のための相互協力のための協定。実質的には核不拡散条約。言わば「日本の核武装の壁」と言っても過言ではないと思います。私が常々指摘している、「原発と核武装の両取りは出来ない」の根拠の1つがこの協定になるわけです。

1にも2にも、とにかくアメリカとしては日本に絶対に核兵器は持たせない。日米原子力協定はそのような主旨であることをまずはご理解いただければと思います。

その2につづく

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カテゴリ: 冷やしたぬき放談

テーマ: 政治・経済・社会問題なんでも  ジャンル: 政治・経済

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