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冷やし狸庵

原発・エネルギー問題を静かに考えるブログ。

医療被ばく問題 なぜ読売新聞は日本学術会議を批判しないのか? その2 

‖ 放射線防護・被ばくを考える上での基本3原則

  • 正当化(被ばくから受ける利益がリスクを上回ること)
  • 最適化(被ばく量を減らすために最善の方法をとること)
  • 線量限度(職業従事者・一般公衆の被ばく量の上限を設けること)

これらはもちろん、私が考えた3原則などではまったくなくて、一般的に放射線を扱うような場面では上記のような基本ルールが適用されています。

そしてこれらの原則のベースとなっているのが、放射線の影響は被ばく量に比例する、すなわち放射線と人体の影響にはしきい値がないという考え方、LNT仮説(Linear Non Threshold=しきい値なし直線仮説)になります。これはもちろん、原発であろうと医療であろうと、放射線を浴びれば浴びたなりにリスクは有るという意味です。

原発事故後に話題になることが多くなったICRP(国際放射線防護委員会)もLNTを支持(ただし、線量・線量率効果係数、DDREF=2を採用し、累積被ばく線量100msvにおける将来の致死的な発がんリスクが約0.55%の上昇と評価)しています。

先ほどの3原則の話で言えば、医療被ばくに関しては、3つ目の「線量限度」は除外されます。これは限度を設けることで患者の利益を損なう可能性(目の前のリスクを放置する)があるからです。ただし、いくら制限がないからと言っても被ばくし(させ)放題というわけにもいかないので、正当化と最適化の原則は守られるべきという話になっています。

日本の医療被ばくの平均は、最新の推計では3.9msv/年ということになりますが、こちらについても基本はLNT仮説に基づいたリスク評価になります。近年の医療被ばく論争の火付け役になったとされる、2004年に著名な医学雑誌「ランセット」に掲載されたベーリングトン氏らによる論文もそうですね。

放射線によるメリットを享受しつつも、かと言って、デメリットの部分の拡大は放置(「計算上」はそれなりの数です)できない。できればメリットはそのままで、デメリットを減らしていくべきである。先日の日本学術会議の提言はそんな内容です。

‖ しかし読売新聞には全く関係がないw

とはいえ、このような基本原則は読売新聞には全く関係のない話です。

前回にお出しした社説のとおり、読売新聞としては放射線と人体の影響に明確なしきい値が存在し、何なら500msvくらいは被ばくしてもいいだろう(国民が被ばくする量を緩める方向に誘導したい)という考え方です。

読売新聞が今までの考え方を通すのであれば、例えば日本の医療被ばくが多いのは、世界に冠たる国民皆保険制度の賜物で、むしろ世界が日本に合わせるべきであるとか、あるいは、たかが3.9ミリの被ばくで騒ぐのは原発事故の風評被害を助長する(放射線の多い世界の秘境や運動不足等を引き合いに)として、学術会議を徹底批判しなければなりません。

読売新聞は、今まで再三にわたって被ばくの影響を過小評価してきたにもかかわらず、今回の医療被ばくでは全く正反対のことを主張(その医療被ばくを盾に被ばくを軽視してきたのにw)している。これでは読者は大いに混乱することでしょう。

その3につづく

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カテゴリ: 冷やしたぬき放談

テーマ: 政治・経済・社会問題なんでも  ジャンル: 政治・経済

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