09// 1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.31. //11
 

冷やし狸庵

原発・エネルギー問題を静かに考えるブログ。

北朝鮮問題と「ニュークリア・シェアリング」という名の都市伝説について少し考えてみる 

‖ 北朝鮮の脅威の高まりと、それについて回ってくる物騒な話

今月3日の北朝鮮による水爆実験。前回とは違い、今回のものは当初の発表によると、爆発の規模が70キロトンで、最終的な評価としては160キロトン。これが実際に、直ちに弾頭化が可能な兵器なのかはさておき、北朝鮮の脅威が高まっていることは間違いないですね。今回の核実験では北朝鮮の国民が被ばくしたという情報もあり、こちらも心配です。

以前にも何度か話題にしたことがありますが、今回のような騒動が起きると、周辺諸国、特に日本では、必ずと言っていいほど、なにかと物騒な話が一時的なブームになります。やはり、「やっぱり日本も核武装しないと!」みたいな話が、その実現可能性を検討する以前から、ある種の説得力(?)を持った話として脚光を浴びるわけです。

しかし、少なくとも日本の自主核武装は、技術的な問題以上(こちらも短期間では難しいでしょうが)に政治的なハードルが高く、全く現実的ではありません。誤解されている方も多いように思いますが、日本はその気になれば一朝にして核兵器を四千発も作れるとか、世の中そんなに甘くはないですw

‖ 核武装が出来る裏ワザ!?

自主核武装は現実的ではない。それを理解した上で、それでも何とか核兵器を手元に置きたいと考えている方は、今度は「ニュークリア・シェアリング(核の共同保有)」こそが日本の進むべき道、これぞリアリズムだ!と主張するかもしれません。自主核武装ではなく、アメリカに核兵器を提供してもらう、言わば「お試し核武装論」です。

石破氏「ニュークリア・シェアリングを議論すべき」
2017/09/06 http://archive.is/d8nm1 #テレ朝NEWS

一部抜粋

自民党の石破元幹事長は日本の核政策について有事の際、アメリカの保有する核兵器を使う権限を持つ「ニュークリア・シェアリング」も含めて議論をすべきとの考えを示しました。

 石破元幹事長:「NATO(北大西洋条約機構)は核をどんな時に使い、どんな時に使わないか、持たない国がどう関与するか、常に実務レベルでも閣僚レベルでも常に議論している。だから抑止力が働く」
 
・・

さらに、非核三原則についても「核の傘で守ってもらうと言いながら、日本国内に置きませんというのは抑止力として十分なのか」と話し、見直しも含めて議論をすることが重要だという考えを示しました。



高橋洋一(嘉悦大)‏@YoichiTakahashi
2017/9/7 http://archive.is/g9D4z

ザボイス。今日は Nuclear Sharing の話をした。北朝鮮の核への対抗策。核保有よりスマートで現実的。NATOでドイツ、イタリアという日本に似た国でもやっている。非核三原則の見直しの後に出る話として議論はしておくべき。左派は非核三原則の見直しだけで思考停止になるかな笑



ニュークリアシェアリング。老若男女、ベテランの政治家から著名な大学の先生に至るまで、世の中「裏ワザ」と名のつくものには弱いのかな?と。やっぱり大人も大したことないなと、私としてはこのような論説を見聞きする度に、とてもガッカリしてしまいますw

‖ ニュークリアシェアリングとその歴史的な経緯

ニュークリアシェアリングが無意味であるという話も以前に説明したとおりではあるのですが、この機会にもう一度まとめてみたいと思います。

  • NATOにおける核の共有は戦術核兵器(戦術核)に限られる
  • 戦術核の使用は対ロシア・地上戦(戦車部隊等の侵攻)を想定
  • 核兵器の最終的な使用の権限は提供国(アメリカ)にある

もともとNATOのニュークリアシェアリングは、1950~60年代の、ソ連(ロシア)の通常戦力がヨーロッパ諸国を圧倒していた事情から、その戦力差の解消を目的として、場合によっては戦術核の使用もあり得るとして導入されたものです。大国・ソ連の脅威と、通常兵器と核兵器の戦力差に相当開きのあった、当時の軍事技術的な背景もありました。

現在は通常兵器の性能の向上や、NATO諸国の結束(=集団的自衛権)もありますし、唐突にロシアがドイツに侵攻してくるとか、そのような状況も想定されにくいです。わざわざ戦術核を使う機会はほとんど無いと考えていいでしょう。したがって、既にニュークリアシェアリング・戦術核兵器は時代遅れの産物と言っても差し支えないと思います。

言ってみれば周回遅れ(それどころではないw)の話が、なぜか日本では最新情報とか、あるいは簡単に実現可能な核武装の裏ワザみたいに、たびたび話題になる。これが不思議なのです。

そもそも、陸続きの欧州とは異なり、周囲を海に囲まれた日本が戦術核を配備したところで、それで何か意味があるのか?たかが射程数十キロのロケットランチャーや核地雷を配備することが、果たして北朝鮮に対する抑止力になり得るのか?手元にあるという心理的な効果はあり得るとしても、最終的な決定権はアメリカが握っているわけですから。

‖ 日本は既にニュークリアシェアリングを導入している

だったら、より射程の長い戦略核兵器をシェアすればいいじゃないかという意見もあるでしょう。

でも、既にシェアしてるじゃないですか。それこそが、日米安全保障条約による拡大抑止(いわゆる核の傘)の提供です。もちろん、日本政府の意思では使えない(そんな気前のいい話はありませんがw)ですが、日本は実質的には、世界最高水準の戦略核兵器のニュークリアシェアリングを実現しているのです。

北朝鮮問題では、基本は日米間(同盟諸国)の足並みを乱さないことにあるのでしょう。そこで今のタイミングで、日本がアメリカの核兵器の配備を要求するなんて話になれば、これではある種の対米不信の現れです。しかも意味が通らないわけですから、これでは両国間の無用な関係悪化につながるだけです。

北朝鮮としては、各国間の同盟関係を分断してアメリカとの交渉を有利にしたいわけで、核・ミサイル開発の副産物として各国で感情論的な発言が出てくる事も計算のうちと言ったところでしょう。

‖ 核と感情論

ついでになりますが、このような話題が出てくると、とかく反核、あるいは原発反対派(基本的には原発反対=核兵器反対)は、「ヒロシマナガサキ」、「唯一の被爆国」、「非核三原則」的な感情論に終始しがちです。先の石破氏も色々批判を浴びているようですが、その根拠もそんなところだろうと思います。

どうにも、日本における核の話は、推進・反対双方が訳もなく、いつもただワーワー騒いでいるだけ。そんな印象なのです。現実は、仮に北朝鮮が核保有を認められる状況になれば、NPT体制、国際的な核の秩序の崩壊にもつながりかねない相当危険な局面であるにもかかわらず、全くお構いなしです。

私は感情論を好みませんので。

関連記事
スポンサーサイト

カテゴリ: 冷やしたぬき放談

テーマ: 政治・経済・社会問題なんでも  ジャンル: 政治・経済

comment(0) | trackback -- | edit

page top

コメント

page top

コメントの投稿

Secret

page top