08// 1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30. //10
 

冷やし狸庵

原発・エネルギー問題を静かに考えるブログ。

北朝鮮問題と「ニュークリア・シェアリング」という名の都市伝説について少し考えてみる(補足 その3) 

‖ 韓国における核武装論とその源流、そして限界

2/4中~下段(クリックするとページが別窓で開きます)

こうした議論の必要性は、韓国の動きを見てもわかる。
9月3日、6回目の核実験など北朝鮮の挑発があった後、世論調査会社・韓国ギャラップが、「韓国も核兵器を保有しなければならないと思うか」とする主張に対し、回答者の60%が「賛成」、35%が「反対」の意思を示した事が明らかになった。

・・

もっとも、北朝鮮による戦争挑発の可能性には、・・半数以上の韓国国民は、戦争の可能性がないと考えているようだが。
こうした世論調査の読み方は慎重に行わなければいけないが、最後の戦争の可能性については、願望というところが大きいと思う。つまり、戦争はしたくないが、核保有はやむを得ない、というリアリズム的な思考で考えている人が韓国には多いのだろう。



韓国における核武装論。こちらは「自主核武装」を意味しているのだと思いますが、ギャラップの調査によれば6割が賛成。これは確かに、数字を額面通りに受け取れば、なかなか物騒な話ではあります。

しかし、韓国における核武装論は、特に真新しい話ではありません。やはり日本と同様に、北朝鮮で何かが起きる度にブームになるという、ある種の「お約束」に近いものがあります。つまり、最近の6割という数字も高まっているという意味ではないのでしょう。

こちら例えば以前の記事でも紹介したように、李明博大統領(当時)が核武装論に一定の評価を示したように、たとえ政治のレベルであっても「場合によっては・・」という話は少なくないのが実情です。

さらに言えば、韓国における核武装への願望は、例えば加藤哲郎・井川光雄(編)「原子力と冷戦 日本とアジアの原発導入」に詳しいのですが、その源流は朝鮮戦争を経験(1953/7/27 休戦協定)したことによる、北朝鮮に対する軍事的な脅威にあると見るのが妥当であると思います。

そのような背景を踏まえれば、韓国の政治・国民レベルにおいて、危機を経験する度に、突発的・感情的に核武装論が盛り上がることはある意味やむを得ない面もあるのでしょう。

しかし、韓国において、現実的には、すなわちリアリズム的な思考としての核武装は、ほとんど不可能です。

核武装に踏み切ることで、NPTや原子力平和利用の二国間協定、これらを含めた国際ルール・条約等を一方的に破棄。このような状況下では、もはや韓国にとって安全保障・経済等で最重要のパートナーであるアメリカとの友好関係は完全に破綻します。

もちろんこれは、日本が置かれた状況と基本的には変わりません。日本の核武装が非現実的な理由もだいたいこんなところです。

すなわち、核兵器を得る代償として世界の孤児になることに、果たして韓国(日本)国民は耐えられるのでしょうか?現代文明の恩恵にあずかり、ある意味「贅沢慣れ」した私たちは雑草だけで我慢できるのでしょうか。

‖ 韓国でのニュークリアシェアリングは「ほとんど」意味がない

前回の最後の章題が「竹ヤリと立ち小便」だったので、お食事中の方には申し訳なかったとちょっと反省してますw

その竹ヤリですが、前回のとおり、高橋氏は韓国でニュークリアシェアリングが実現する可能性をツイートしています。同様の主張は3/4の上段でも述べられていますが。

韓国の核保有については、国際社会からみれば、核拡散防止条約(NPT)の点で国際常識に反するのは日本と同じである。となると、韓国はアメリカとの核シェアリングという方向に進むかもしれない。その場合、日本はどうするのかという問題になるだろう。



こちらに関連する話として、先日、韓国の朴槿恵前大統領が、昨年アメリカに対して戦術核の配備を要求していたらしい(こちらはシェアではなく、米軍によって朝鮮戦争後から1991年まで続いたとされるの戦術核配備の意味だと思います)という記事がありました。

【朝鮮半島情勢】 朴槿恵政権、戦術核再配備を昨年要請 米は拒否
2017/9/11 http://archive.is/muTAU #産経ニュース

一部抜粋

韓国紙、中央日報は11日、朴槿恵前政権期の昨年10月、趙太庸・国家安保室第1次長(当時)がオバマ米政権の国家安全保障会議(NSC)幹部に対し、1991年に在韓米軍から撤去されたとされる戦術核兵器を再配備するよう要請していたと報じた。
 「核なき世界」の実現を掲げていた米国は拒否したという。当時の韓国政府高官の話としている。趙氏は同紙の取材に否定も肯定もしなかった。



対北朝鮮案件として、韓国に戦術核を配備する意義。こちらはたしかに、日本よりは若干ありうることは確かだと思います。そのため「ほとんど」意味がないというわけです。

こんなことを書くと、「やっぱりお前は韓国の手先か!」なんて怒り出す方もいらっしゃるかもしれませんが、別に私は韓国に肩入れする意図はまったくないのですw

前回の最後のあたり。私は、「陸続きの欧州と違い、四方を海に囲まれた日本が・・」と記述しましたが、戦術核の存在意義は今となっては骨董品に近くても、最低限、それらを提供される国家が陸続きであれば若干ありうるかもといった見方は可能です。

そもそも韓国に戦術核が配備された理由は、言うまでもなく北朝鮮軍の再侵入を阻止するためです。これは欧州とソ連の関係と同様に、南北間では当初は北側の方に勢いがあったという事情があります。

しかし、現在の韓国軍が、やはりロートルな北朝鮮軍の侵入を安々と許すような、そんなに弱い状況なのかと言えば、私はまったくもって疑問です。

前回説明したとおり、戦術核は抑止力としてではなく、相手の侵攻を水際で止めるための防衛的な仕様です。導入初期には現在のように、射程500キロ以下というような明確な定義はなかったにせよ、基本仕様はそんなところです。そのため、これをいまさら再配備する意義があるとは、形式を問わず、ちょっと考えにくいです。

余談になりますが、オバマ政権が韓国側の要求を断った理由は、「核なき世界」というよりも、純粋に安全保障面でメリットが無いと判断したためと推察します。たしかに用途が限定されるとはいえ、戦術核が増えることはアメリカの基本政策である核不拡散体制の維持と矛盾しますし、ひいては国際社会に無用な対立を煽る可能性も否定できません。

しかし、オバマ大統領は自分が生きてる間はそんな世界は実現しないだろうと、昨年広島でそう仰っていたわけですからwそして韓国もまた、アメリカの拡大抑止の提供を受けているわけですし。

仮に今後、韓国である種の精神安定剤的な目的として戦術核を配備するような状況になったとします。しかしそれでも、今回の記事の冒頭(抜粋)部分で高橋氏が仰っている、「こうした議論の必要性」、すなわち日本がニュークリアシェアリングを導入する理由・動機づけには全く当たらないと考えます。

補足 その4につづく

関連記事
スポンサーサイト

カテゴリ: 冷やしたぬき放談

テーマ: 政治・経済・社会問題なんでも  ジャンル: 政治・経済

comment(0) | trackback -- | edit

page top

コメント

page top

コメントの投稿

Secret

page top