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冷やし狸庵

原発・エネルギー問題を静かに考えるブログ。

【Q&A方式で解説】 日米原子力協定 - 最終章 - その5 

‖ 余剰プルトニウム・再処理関連をもう少し+核のごみ問題

余剰プルトニウム・再処理問題については、特にその2補足でも触れてきました。

今回は、このあたりを核のごみ問題とも関連させる形で、もう少し掘り下げて考えていきたいと思います。

Q16.いわゆる「余剰プルトニウム」は、直ちに原発の燃料として使わなければアメリカおよび国際社会から核保有(軍事利用)の意図があると批判されますか?

A.そんなわけはありません。余剰プルトニウム問題は国際的な共通課題です。

官邸前抗議(山本太郎、三宅洋平、吉良よし子、丸子安子)
2013/07/05 #iwj


こちらの動画は連載その3でも紹介させていただきました。

この動画で山本太郎氏は、以下のような発言(1:38~)をしています。

日本は作り過ぎたプルトニウム、これをずっと持ち続けている。
このプルトニウムをアメリカから「減らせ減らせ」と言われている。
「お前たち、軍事利用じゃないんだろ、平和利用なんだろ、減らせよ」
減らすにはどうすればいいのか。
MOX燃料となったものを原発で燃やし続けるしかない。



山本氏らの粗雑でいい加減な話を真に受けた方々は、やはり「アメリカの圧力で原発を動かすしかないのか」、「アメリカの野郎め!」と考えるのでしょうが、これは全然違います。

こちらはその4での解説とも関連しますが、日本は原子力技術を決して悪用しない優等生として、国際社会からの信頼を得ている国家です。IAEAの査察・追加議定書も受け入れ、言わばガラス張りのように情報公開している。このような模範国に対し、アメリカおよび国際社会が、プルトニウムを直ちにどうにかせよというような話にはなりません。

また、余剰プルトニウムは原子力の民生利用という観点から言えば、核保有国・非核保有国共通の問題です。

核保有国であれば、例えばイギリス(→核情報 使用済み燃料再処理 vs. 乾式中間貯蔵 フランク・フォンヒッペルIPFM共同議長 PDF)が大量に溜め込んでますし、非核保有国で言えば、既に再処理事業から撤退したドイツなど(主にEURATOM加盟国)が、日本ほどではないにしてもプルトニウムを保有しています。

どちらにせよ、これらを「早く使え!」みたいな話はないですし、日本だけが直ちに使わなければいけないという不条理は無いわけです。もちろん、優等生で他も持ってるからドンドン溜まっていいというわけでもありませんが。

それから、山本氏が力説する、「MOXとなったものを原発で燃やすしかない」というのも、これは「しかない」という話ではないのです。

Q17.余剰プルトニウムはプルサーマル計画によって減らすことが唯一の解決策ですか?

Q18.青森県で建設中の大間原発は、「プルトニウム焼却炉」等と呼ばれていますが本当ですか?

A.プルトニウムは「燃やす」と無くなるわけでもありません。

この辺りはプルサーマル計画の話になりますが、原発(軽水炉)の使用済み燃料を再処理して作るMOX燃料は、一般的な原発・あるいはフルMOXの使用を想定した大間原発(青森県)で使用することにより、一応プルトニウムは減る(燃やす)ことにはなります。年間で言えば、軽水炉の場合は最大0.3トン、大間の場合は1.1トンほどになります。

しかし、話はこれで終わるわけではありません。

政府の方針としては「核燃料サイクルは堅持」というわけですから、先の原子炉で燃やしたはずの、すなわち「使用済みMOX燃料」にしても、いつかは再処理してプルトニウムを取り出し、また軽水炉に使う(この場合は数回の再利用が限界)なり高速増殖炉などに使われるはずです。もちろん、今はそれらに使われる技術も施設も存在しませんが。

つまり、プルトニウムを「燃やす」とは言っても、それでは問題の解決にはならない。長崎大学核兵器廃絶研究センター長・教授の鈴木達治郎氏も、「プルサーマルがプルトニウム削減に必要だ、ということは事実であるが、その使用済みMOX燃料を再処理しては意味がない」と仰っています。

‖ 余剰プルトニウム・核のごみ問題の解決策

Q19.余剰プルトニウムはどうすれば減らせますか?

Q20.日本は再処理をやめるべきですか?

A.これらは結局のところは、核のごみの取り扱い(定義論)次第ではないかと思われます。

日本が保有している余剰プルトニウム。現状では国内外で合わせて48トンほどになりますが、これに使用済み核燃料(再処理すればプルトニウムが増える)も合わせてどうすればよいのかという話も、当ブログでも以前に何度か述べてきたところです。

一番シンプルな方法は、プルトニウムは廃棄物・ごみとして取り扱うこと。悪用を防ぐため、プルトニウムに放射性廃液等の大量の不純物を混ぜて固め、地層処分とする。

原発の使用済み燃料は再処理をせず、そのまま直接処分とする。

そして、最終処分場の候補地が確定するまでは、使用済み燃料は地上で暫定保管とする。

プルトニウムを含め、核物質というものは悪用されることが一番のリスクです。もちろん自分で悪用するということも無くもないですが、基本はテロリストなど、悪意を持った人や組織からの盗難が怖いのです。

そのためこの問題で肝要なのは、悪用防止のためのハードルを相当高くして処分することにあります。

このような方法を「核拡散の抵抗性を高める処置」などと言いますが、先に示したように、不純物を混ぜたプルトニウム、あるいは使用済み核燃料は人が近づくこと自体が容易では無いので、これらは有効な手段と言えるでしょう。

これらに合わせる形、負担軽減策の一環として、海外預かり分のプルトニウム38トンは、イギリス・フランスに引き取ってもらう。すなわち、核物質の所有権移転。これも検討しても良いと思います。

これらの話の前提としては、国策としての核燃料サイクルを断念する、あるいは、少なくとも従来の方針からは大幅な縮小が前提となります。

もちろん、このような話が上手く進むのかと言えば、現状は厳しいでしょうね。

やはり現状は、「核燃料サイクルは国策」であり、「使用済み燃料およびプルトニウムはごみではなく資源」という従来の方針は変わりません。

私としては、「ごみじゃなくて資源なんて、まるでごみ屋敷みたいな話じゃないか」なんて気もしますが、これは国策でごみ屋敷の行政代執行を防いでいるようなもの、と言っても過言ではないのかもしれません。

日米原子力協定の自動延長を無駄にするな 資源小国のエネルギー安保、国家百年の計で取り組め 金子熊夫 (外交評論家・エネルギー戦略研究会会長)
2017/11/27
1/4 http://archive.is/VKTfV
2/4 https://archive.is/crtq1
3/4 https://archive.is/d3O7k
4/4 https://archive.is/u28mM #wedge

3/4より一部抜粋

日本のプルトニウムは、すべて使用目的がはっきりしており、いわゆる「余剰プルトニウム」ではない。いずれプルサーマルが本格的に再開され、さらに青森県大間に建設中のフルMOX原発が稼働すれば、順次消費されていくものである。



金子熊夫氏といえば、原子炉級プルトニウムでは核兵器が作れないとか、↑のように余剰プルトニウムは存在しないというような、かなり無理のある論説を広め(つまりウソ)、とにかく核燃料サイクルを進めるべきとする識者の代表格のような存在です。似たようなタイプでは今井隆吉(元外交官・2012年死去)氏などがそうですね。

そして金子氏のお話は、基本的には従来の政府見解と一致するといえるでしょうね。もっとも、日頃このような方々による、政治への働きかけの賜物とも言えるのでしょうがw

核燃料サイクルは特に経済性や核不拡散の問題で不利なので、私としては直接処分や所有権移転をオススメしたいわけですが、こちらにはまた別の視点も存在します。例えば、こちらも核のごみ問題とも深く関わってきますが、高レベル放射性廃棄物の減容化などと称する、いわゆる「核変換(消滅処理)」というような話です。

放射性物質には、ほぼ人体に悪影響を与えないレベルになるまでに数百年~10万年以上を要する(有害性の低減)ような、「長寿命核種(マイナーアクチノイド・MA)」というものがあります。代表的な核種としては、アメリシウム・キュリウム・ネプツニウムなどが挙げられます。

核変換・消滅処理とは、例えば原発であれば、使用済み燃料からMAを分別し、それらを専用の原子炉(高速中性子)や加速器などで長期間に渡って使用(照射)すれば、それらの有害性が低減する期間をいくらか短縮できる・・かもしれないという技術です。

もっとも、これらの技術は、現状では技術的難易度が非常に高い上に、変換のために投入されるエネルギー資源、あるいは人的・経済的なコスト等を考えると大損にしかならなず、実用化の見通しは全く立っていません。

この辺りの論点は私も勉強が進んでいないので恐縮なのですが、例えば先の「長期間」がどれだけかといったら、実は数百年~(→核分裂性物質に関する国際パネル・IPFM 原子力計画におけるプルトニウム分離 PDF)というような話もあって、何じゃそれはというような感じですw

また、変換の方法は一つではないようですが、どの道核種の分別が必要ということになれば、やはり再処理は避けられないでしょう。まさか薪ストーブみたいに、木を入れたら燃えてそれで終わりとか、そんな楽な話はないですよ。

これは推測ですが、核変換・消滅処理という技術は、核燃料サイクルの推進が前提となっている。どうもそのような印象を受けます。プルトニウムも長寿命核種とはいえ、エネルギー資源として使い道があり得る。一方で、サイクルの過程で生じる、どうしても使い道のない「出がらし」は、寿命を短くして処分。そんな感じで。

余談はさておき、この問題は簡潔に言い表すと、「放射性廃棄物の定義論」ということになると思います。「廃棄物はごみか資源(資産)か」、あるいは、ごみであれ資源であれ、どのような処分法が望ましいのか。

このあたりの結論次第で、それらの施策のために必要な設備、例えば高レベル放射性廃棄物の最終処分場のデザインも大幅に変わってくるでしょう。

その6に続く

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カテゴリ: 冷やしたぬき放談

テーマ: 政治・経済・社会問題なんでも  ジャンル: 政治・経済

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