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冷やし狸庵

原発・エネルギー問題を静かに考えるブログ。

日米原子力協定の自動延長と迷走する原発反対論の今後について考えてみる その3 

今回はタイトルからは少し離れた、箸休め・余興的な内容になります。

‖ いわゆる「左派」の外交・通商観

これも本来は、「左派は」と一括りにしてはいけないのでしょう。あくまで私の印象論として、どうにも左がかった方々は、例えば外交・通商等にかんする交渉事について、ある種の独特な価値観をお持ちの方が多いですね。このあたりが原発反対派において、しばしば根拠の乏しい陰謀論・トンデモ論が蔓延する原因なのかもしれません。

では、その独特な価値観とは何かといえば、例えば現状の日本はあらゆる面でアメリカの属国・言いなりであるとして、「対等な日米関係の実現を」とか、貿易等の通商交渉において、何か一つでも日本が譲歩すると、歴史的敗北・日本が滅びる等というように、交渉事はこちら側が常に一方的に勝たなければ負けと考える、「ゼロサム的な思考」です。

これらの話の前提としては、いわゆる対米従属論、あるいは日本は何事も常に負け続けているという極端な被害者意識にあるようです。日本はアメリカの奴隷なので常に付き従う。日本はアメリカを含め、外交交渉では常に負け続ける悲劇の主人公というような感じです。

日本はどんな国とも対等で、交渉事は100%勝たなければならない。このような話は考えるまでもなく実現不可能であることは明らかなのですが、たしかに日本国内においては、このような話がある種のリアリティーを持つ論説として支持されている側面は否めないでしょう。

‖ 対等な日米(外交)関係などありえない

リチャード・L・アーミテージ ジョセフ・S・ナイJr 春原 剛 アーミテージ・ナイ緊急提言日米同盟vs.中国・北朝鮮
2010/12/16 http://goo.gl/RoyZdc

一部抜粋

 春原 ・・鳩山由紀夫前首相が掲げた「対等な日米関係」について、どう思われますか?
 アーミテージ 最初に感じたのは、鳩山氏は日米同盟というものをきちんと理解していないのだということです。米国が維持している国防費の規模や軍事力、そして世界最大の経済力ということを考えれば、日米関係は対等ではないのです。
 一方で、双方の考えに耳を傾け、相談するという観点に立てば、それは対等であるとも言えます。身近な例で言えば、私が国務副長官の時、外務相の竹内行夫次官とは日米戦略対話を重ね、竹内次官は当時、米国が何を考えているかを完全に理解していたはずです。もし、これを「対等」と呼ばないのであれば、我々は誰にも「対等な関係」など与えることは出来ない。もちろん、中国に対しても、です(笑)。 



日米関係。アーミテージ氏が仰るとおり、特に経済力(現在は米のGDP2000兆円に対し、日本は550兆)、防衛費(同様に米60兆、日5兆)という観点で両国を比較すれば、これは全く対等ではありません。しかし、対話という意味で言えば対等であり、これを否定すればアメリカはどの国とも対等ではない。私も同感です。

 ナイ 真に対等な関係を築くためには、日本は核兵器を独自に開発し、独自の外交を実現するという決断をくださなければなりません。しかしながら、私は日本が独自の核を開発し、防衛政策において完全な自主・自立を求めているとは思いません。・・
 一方、この関係は別の意味ではもちろん、平等なパートナーシップでもあります、例えば、法的(国際法上)には、双方は完全に平等な立場にあります。仮に日本が明日にでも在日米軍兵力の国外退去を求めるのであれば、日本はそうできるのです。でも、実際には軍事的な不均衡、非対称性があり、不平等でもあります。・・
 ・・しかし、実際にはすでに(日米が)平等でもあると言いました。つまるところ、それは一体、「平等」という言葉で何を意味しようとしているか、という点に尽きるわけです。



ナイ教授が仰るように、日本がアメリカと真の意味で対等に渡り合うのであれば、やはり再軍備と核武装が必須の条件になるでしょう。もちろん私はオススメしませんけどw

 春原 それに関連して言えば、たとえば「特別な関係」と言われる米英同盟も「平等」ではないですよね。
 ナイ その通りです。平等ではありません。なぜなら、英国は米国よりも経済規模が小さく、軍事力も小振りです。英国は(日本と違って)核兵器も保有してはいますが、それは基本的に米国の核戦力の小さな一部分に過ぎません。そういった意味では、本当に平等なパートナーシップなどはありえないのです。ただ、法的観点から言えば、米英関係も日米関係同様、平等に主権を有する2つの国家が形成するパートナーシップなのです。



しかし、仮にこれらを実現したところで、やはり対等にはなれない。既存の核保有国がアメリカと対等かといえば、それは全く違うからです。もちろん、日本がアメリカと互角の戦力を保有するというのは、これは全く非現実的といえるでしょう。

日米関係はたしかに非対称ではあるが、同時に対称的でもある。不平等であり、法的には平等でもある。アーミテージ、ナイ教授が仰る話は極めて常識的と思われます。

それでは世界最強の経済・軍事力を有するアメリカが世界を好き勝手に出来るのかといえば、それは必ずしもそうではありません。例えば核(原子力)問題でいえば、昨今の北朝鮮核開発、イラン核合意、それから日本の核燃料サイクル政策もそうです。本来は全てアメリカが望まないことが、どれも思惑通りとはなっていません。

そもそも日米関係に限らず、外交関係に真の対等・平等はありえず、しかし、その関係は絶対的ではなく、相対的なものである。ありがちな、圧倒的な力を持つアメリカが、世界を意のままに操っているという考え方自体がフィクションであるとも言えるでしょう。

‖ 外交交渉にゼロサムはありえない

古賀茂明 「利権の復活」 PHP新書
2013/11 http://goo.gl/eoSz8z

一部抜粋

「米国の圧力に負けた」という被害者意識(見出し)

 「TPPに参加すると米国にいいようにされて損をする」。これが反対派の底流にある懸念だ。「米国陰謀論」とでも言ったほうがよいものも多い。
 その前提には「米国が参加している交渉では、日本はいつもアメリカの言いなりになって負ける」との思い込みがある。・・
 しかし、過去の経済交渉で、日本は本当に米国にやられつづけてきたかといえば、必ずしもそうではないと私は思う。・・
 国際交渉の場では、日本が負けて産業が破壊されるといったイメージが刷り込まれているが、それは誤解、あるいは認識不足である。オレンジ自由化のときも、ミカン農家が壊滅すると言われた。サクランボのときも絶対ダメだと言われたが、いまは高級化路線をとることで発展している面さえある。
 日本が貿易交渉で連戦連敗を喫して海外の企業に食い物にされ、日本の産業が壊滅したかといえば、まったくその逆なのである。
 「米国の圧力に負けた」などと主張しているのはもっぱら既得権グループであり、既得権を侵されたことを指して「圧力に負けた」と表現しているにすぎない。


 日本国内の議論を見ると、外から押し込まれる要求をいかに退けるかが交渉のすべてだとみなしている傾向がある。しかし、TPPを含めた国際交渉の場で留意すべきは、理屈が立たない不当な要求は、二国間であっても実際にはなかなか通らない現実だ。
 たとえば、今回のTPP交渉と並行して行われる日米交渉の自動車分野で、米国側が日本に要求していることは、ほとんど二十年前の日米構造協議での要求と変わらない。・・しかし二十年前も、米国側がものすごい勢いで攻めてきたものの、そこに理屈がないと会場の場では何時間も主張しつづけられなくなる。日本側に反論しつくされて、米国側がいらだち感情的なコメントを発したり、罵り合いになったり、はたから見ればケンカしているような局面も多かった。それでも、日本側の反論が正しければ相手はそれ以上、攻められない。・・
 これが、TPPのように二国間以上となれば、「それは日本が言っていることが正しい」と主張する第三国も現れるので、ますます理屈が正しいほうが有利になる。・・交渉では何かを譲歩することが、すなわち日本にとって悪いことだという意識を、そろそろ変えた方がいい。


TPPの是非はさておき、古賀氏の仰るように、日本は外交下手で連戦連敗というわけではない。いわゆる「米国の圧力」などという話も根拠の乏しい陰謀論の類いなのです。先程の核問題と同様に、通商交渉においても、必ずしもアメリカの思惑通りにはなっていないからです。

ちなみに、この頃の古賀氏には、私も著書やコラムなどを通じ、いろいろ参考にさせていただくことも多かったように思います。しかしこの間、古賀氏も様々な社会運動に傾倒するようになった影響か、どうにもアジテーター的な気質になってしまったようで、最近はちょっと残念に思います。同様に、金子勝先生あたりも人が変わってしまったようです。

余談はさておき、どうにも左派の方は異様に「勝ち負け」にこだわる感じですね。なにがしの交渉の結果、日本が譲歩した=負け。というより、交渉したら絶対に負けて日本が食い物にされる(という前提)から、話し合う時点で負け。

しかし、アメリカに限らず、諸外国との交渉事もまた絶対的なものではなく、かといって単純に「勝ち・負け」で表せるものでもない。すなわち相対的であるのが実情と言えるでしょう。

今までの話をまとめると、左派が主張する、対等な日米(外交)関係を実現し、外交交渉では常に日本が100%勝つ。これを実現させるには、それこそ日本が世界の支配者にでもなる必要がありますが、そんなバカげた話は無いということでwそもそも対等で100%勝つなんて、それこそ非対称・不平等な矛盾した世界観ではないですか。

‖ 原発問題とイデオロギーをリンクさせない

しかし、やはり原発反対派においては、冒頭で定義した、現実には大いに矛盾を内包する、「対米従属論(+被害者意識)」が強く支持されていて、原発もまたその文脈で語られがちです。そのため、「日本はアメリカの圧力で原発をやめられない」、「日米原子力協定を破棄しなければ」みたいな話が支持されやすい。そのような印象なのです。

福島原発事事故を契機とした、「原発の是非はイデオロギーの問題ではない」という論説。私もこれに共感する立場として、イデオロギーと原発は極力区別することを心がけ、今回の話題であれば、対米感情と原発問題は別と捉えています。このあたりを取り違えると、気がついたときには自分が一体何に反対しているのかわからなくなると考えるからです。

その4につづく

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カテゴリ: 冷やしたぬき放談

テーマ: 政治・経済・社会問題なんでも  ジャンル: 政治・経済

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