FC2ブログ
08// 1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30. //10
 

冷やし狸庵

原発・エネルギー問題を静かに考えるブログ。

アメリカの核態勢見直しと河野太郎外相の発言の是非について考えてみる その1(補足) 

その2を書こうと考えていた矢先、先日の東京新聞で興味深い記事がありましたので、今回はその1の補足ということで、こちらの感想を中心に述べていきたいと思います。

‖ NPRと核持ち込み

核持ち込み否定 揺らぐ前提 米戦略指針 北東アジア配備言及
2018/2/25 http://archive.is/Au9RN #東京新聞

一部抜粋

トランプ米政権の核戦略指針「核体制の見直し(NPR)※1」によって、日本の非核三原則が崩れる恐れが指摘されている。NPRが北東アジアへの核兵器配備の可能性に言及したからだ。日本政府は、米国による核持ち込みは「想定していない」との立場を変えていないが、その根拠は揺らいでいる。



記事の内容は、今回のNPR(新版)によって、日本の非核三原則(持たず・作らず・持ち込ませず、ただし法的根拠はない)が崩れ、核兵器が持ち込まれる可能性が高まるというものです。

核兵器が持ち込まれるかどうかはひとまず後回しとして、記事を読んでみると、このような記述があります。

ところが、今回のNPRは新型の海洋発射型核巡航ミサイル開発を打ち出したほか「必要なら北東アジアに核兵器や核搭載航空機を配備できる」と明記した。



私が特に気になったのが、こちらの『「必要なら北東アジアに核兵器や核搭載航空機を配備できる」と明記』という箇所です。

私も今回の連載にのために、新版は何度も読み直しているのですが、「こんな記述があったかな・・?」と。もしかすると読み飛ばしているかもしれないと、さらに確認しても、見当たらない(2018/2/28 こちらに関して、末尾に追記あり)のですw

先の記事では、「かぎ括弧」で強調しているくらいですから、おそらくそれと全く同じ記述があるものと考えていたのですが、これは記者による意訳という意味なのでしょうか?

‖ 核兵器持ち込みにかんする新旧比較

どうも東京新聞のニュアンスとしては、核兵器の持ち込みは今までは否定されていて、新版になって急に前向きになったというような印象に映ります。

たしかに、新版においては、先と全く同じ記述は無いにしても、日本を含めた同盟国に対して核兵器の配備の可能性を示唆する箇所はあります。

米国国防長官府 核態勢の検討(要約 日本語訳 PDF) ※2018年度版
2018/2 http://bit.ly/2sPTTpM

P10~11 非戦略的な核能力による抑止の強化より抜粋

これら多様な挑戦課題に対処し、抑止の安定性を維持するために、米国は目的に適合した抑止オプションの柔軟性と多様性を強化する。誤解のないように言うと、これは“核戦闘”を意図したものでも可能にするものでもない。いま、低出力オプションをも含めるよう柔軟な米国の核オプションを拡大することは、・・それは核のハードルを引き上げ、・・核使用の可能性を低減するものである。

それゆえに、米国は世界中で核搭載爆撃機およびDCAを前方配備する能力を維持し、必要に応じて強化する。・・我々は、・・必要に応じて改善するためにNATOと連携する。



こちらは、「世界中で」とあるものの、どちらかと言えばNATOでの配備(既にニュークリア・シェアリングによって配備済みで、それらの維持、あるいは強化の可能性)を前提としているようです。

さらに、米国は近いうちに低出力オプションを提供するために少数の既存の SLBM弾頭を修正し、長期的には近代的に核装備した海上発射巡航ミサイル(SLCM)を追求する。DCAと違って、低出力SLBM 弾頭およびSLCM抑止効果を提供する上で、接受国支援を必要としたりそれに依存したりする必要がない。



なお、長期的に追求するとされるSLCMについては、接受国支援を必要したりそれに依存したりする必要がない。ということは、これは必ずしも持ち込みが前提となるとは限らないのかもしれません。

しかし、このような話は何も新版になって初めて明らかになったわけでもなくて、以前のNPR(旧版)でもその可能性は否定されていないと考えます。

長崎大学核廃絶研究センター 核態勢見直し(NPR)報告書 要約部分全訳 ※2010年度版
2010/4 http://archive.fo/YWdwZ

米国の核兵器政策及び戦闘態勢への影響より抜粋

事実、核兵器が存在する限り、合衆国は安全、安心で、効果的な核戦力を維持しつづけるであろう。これら核戦力は潜在的敵国を抑止し、世界中の同盟国及びパートナーに改めて安心を提供するための不可欠な役割を引き続き果たすであろう。



非戦略核兵器より抜粋

戦術戦闘爆撃機ならびに重爆撃機に搭載された前方配備の米核兵器の能力を維持するとともに、安全、保安、使用管理の改善などを伴ったB-61核弾頭の全面的寿命延長を進める。

・ 海洋発射核巡航ミサイル(TLAM-N)を退役させる。
・ 米国の前方軍事プレセンスを補完し、地域的抑止を強化する長距離攻撃能力の維持と開発を継続する。
・ 米国の拡大抑止の信頼性及び有効性を確保する方策について、同盟国及びパートナーとの協議を継続し、適当な場合には拡大する。米国の拡大抑止におけるいかなる変更も同盟国及びパートナーとの緊密な協議なしには行われない。



1番目は前回の記事でもお出ししましたが、アメリカとしては、同盟国・パートナーへの核兵器を含めた拡大抑止の提供として、安心、安全で効果的な核戦力を維持し続けるとあります。そのような意味で、アメリカの核戦略は柔軟性を帯びたものであると読み取れます。

2番目。戦術核の能力を維持。核トマホーク(TLAM-N)は退役させるとしても、拡大抑止の有効性を確保する方策として、必要であれば拡大するとあります。

つまり、オバマ政権下の核政策においても、日本に核兵器が持ち込まれる可能性は否定されていなかったということです。

‖ 批判の仕方がおかしいような・・?

どうも新版の評価を巡っては、旧版で既に示唆されていることであるはずなのに、「新たに危機が高まった」というような批判が目につきます。低出力核兵器やSLCM、通常兵器への報復措置としての核攻撃。あるいは今回の核持ち込みにしても、何もトランプ政権、新版に限った話ではないと思うのですが。

たしかに、新版のほうが核抑止力に期待する色合いが濃くなっている側面は否めないと思いますが。

その2につづく

 冒頭でお出しした東京新聞の記事では、「核体制の見直し」と表記されていますが、こちらは一般的には「核態勢」となっています。誤植と思われます。

2018/2/28 追記

記事を投稿したあとで気がついたのですが、「これは詳細版のことなのかもしれない」と。核態勢見直しの日本語訳はSUMMARY(要約)のみで、詳細版は英文なのです。

そして、詳細版においては、たしかにそのような記述は見られます。私はこちらについては日本語版ほどは読んでいなかったので、その意味では読み飛ばしていました。

米国国防長官府 核態勢の検討(詳細 PDF) ※2018年度版
http://bit.ly/2nDa4Rw

P48、Non-Strategic Nuclear Weapons(非戦略核兵器)より一部抜粋

If necessary, the United States has the ability to deploy DCA and nuclear weapons to other regions, such as Northeast Asia.→必要であれば、アメリカ合衆国政府はDCAと核兵器を、北東アジアのような諸国に配備する能力を保有している。



こちら、要約版では「世界中」であり、詳細版ではより具体的な国名が記載されているということですね。

ただし、こちらについては同じことであると思います。世界に配備する能力がある以上は北東アジアもあり得るというのは必然ということでしょう。そのため、今回の記事の内容そのものに影響を与えることはないと考えます。

一応念の為になりますが、今回の核態勢見直しのサイトのURLを掲載いたします。

US DEPARTMENT OF DEFENCE 2018 NUCLEAR POSTURE REVIEW
http://bit.ly/2oBs9Qc

こちらの画面の中央にある「EXECUTIVE SUMMARY TRANSLATED」が要約版で、その左にあるのが詳細版です。

全体を通して、基本的には詳細版も要約版も大きな違いは見られないと思います。全然違ってたら大変なのですがw

それから、今回の連載記事でお出しした核態勢見直しの日本語訳は、今後紹介する場合も含めて、間違いのないように、全てタイトルに「要約」と付け加えさせて(今回も含め、過去分は全て修正済みです)いただきます。

関連記事
スポンサーサイト



カテゴリ: 冷やしたぬき放談

テーマ: 政治・経済・社会問題なんでも  ジャンル: 政治・経済

comment(0) | trackback -- | edit

page top

コメント

page top

コメントの投稿

Secret

page top