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冷やし狸庵

原発・エネルギー問題を静かに考えるブログ。

冷やし狸庵的・核兵器禁止条約懐疑論 その9 

こちらはその8で終了のつもりでしたが、また例によって気が変わったので、その9です。

‖ こっそりとアンケート企画を実施していました

1ヶ月ほど前になります。当ブログでは核兵器禁止条約に関する連載記事を書いていたこともあり、そのついでにアンケート企画も実施していました。

内容としては下記の通り、核兵器禁止条約には原発推進の権利についても記載されているわけですが、ネットの皆さんはこの事実についてご存知ですか?というものです。



‖ アンケートの結果に驚くw

2018/5/16日現在の結果を見てみると、こういう感じになっています。



現時点での投票総数は45票と、そんなに多くはない(もちろん、ご協力いただいた方々には感謝です!)のですが、それでも私が予想していた結果とは随分異なる内容になっていて、なかなか興味深いのです。

私の当初の予想としては、「2:知らなかったw」が一番多いだろうと。核兵器禁止条約については、原子力の平和利用、すなわち原発推進という裏の顔も持ち合わせているという事実について触れているメディアや有識者は少ない印象でしたので。それが「1:知ってたw」と拮抗しているとは。・・ホントに知ってたんですか?

あるいはそれと同等以上に考えていたのが、「3:知らなかったけど、加盟国は原発を推進するべきだ」でした。これはFC2の客層の問題ですね。他のブログやアンケート等を散見すると、印象としてはやたらと原発推進的な論調が目立っていたので、その流れから考えると、この結果は意外でした。

そして最も意外に思ったのが、「5:そもそも『平和利用(原発推進)の権利は誰も否定できない」に一番票が集中したことです。こちらについては以前の連載で触れた、原子力技術の南北格差という論点とも関連します。こちらがトップの理由は、もしかすると原発を希望する途上国の関係者の方が影響しているのでしょうかw

‖ 核兵器の拡散は「平和利用」から

「原発認めない」発信を ICANが避難者に訴え
2018/2/24 https://archive.is/3ZBcz #神戸新聞

一部抜粋

東日本大震災から7年がたとうとする中、被災地から近畿に2520人、うち兵庫には最多の782人が避難する(1月16日現在)。東日本大震災避難者の会「Thanks&Dream(サンクスアンドドリーム)」(森松明希子代表=兵庫県伊丹市出身)はこのほど大阪市内で、昨年ノーベル平和賞の「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN(アイキャン))国際運営委員の川崎哲さんと意見交換した。川崎さんは核兵器禁止条約が原発を容認していると明かし、事故が大きな脅威となることを指摘。「原発を認めない条約にするため、福島第1原発事故の避難者である皆さんの発信が必要」と呼び掛けた。



こちらは、先のリンク先(南北格差)にある記事の引用になります。

こちらについて、以前私は、客層から察するに平和利用=レントゲンで誤魔化せる等と書いたわけです。そのような意味で、私は川崎氏は正直な方であると評したわけですが、実は彼の発言には1つ誤魔化しがあるのです。

川崎さんは核兵器禁止条約が原発を容認していると明かし、事故が大きな脅威となることを指摘。「原発を認めない条約にするため、福島第1原発事故の避難者である皆さんの発信が必要」と呼び掛けた。



平和利用、すなわち原発には事故による被ばくのリスクがある。その意味で事故は大きな脅威となるという川崎氏のご指摘は正しいのです。

しかし、この問題を国際的な核不拡散という、もうすこしマクロな視点から考えると、そのような意味での「原発のリスク」は大したことはないはずです。

原子力の平和利用を推進することによる本当のリスクは、やはり平和利用と軍事利用には、明確な境界線が存在しないということでしょう。

戦後の原子力平和利用は、大まかに言えば米ソ冷戦構造のもとで、各々の友好国(もしくは戦略的な互恵関係、いわゆる敵の敵は味方)に技術供与することで、希少な技術を提供できる大国としての存在感を示してきた経緯があります。

ところが、何十年化前に撒いた「平和利用のタネ」が、徐々におかしなことになって、今になって「ならず者国家だ!」みたいな話になっている。最近何かと話題のイラン・北朝鮮の核問題にしても、その入口は平和利用技術の導入であり、それを提供したのがアメリカロシア(ソ連)というわけです。

そこで、少なくとも原子力は限られた国家が独占するべきという考え方(以前の原子力の共同管理構想についての説明がこれに近い)もあるのでしょうが、このような、ある意味先進国主導の「身勝手」な論理は、やはり途上国には通用しません。

原発の賛否とは別に、事実として途上国には、原子力(原発)技術を保有してこそ一流国という認識が非常に強い。そこには単に技術や原発を導入するだけではなく、長期的には自主開発も視野に入ります。平和利用の権利が妨げられない以上、先進国が途上国をリードし続けるということもまた身勝手な論理なのです。

‖ 今後も平和裏に「核の拡散」は進む

原子力にかんする議論では、よく「核と人類は共存できるのか?」という話題が出てきます。特に2011年の福島原発事故以降、このような問いが頻繁に提起されるようになりました。

こちらを肯定的・否定的に捉えるかは人それぞれとして、私は後者の立場でより悲観的に、「人類は原子力技術・核物質の管理に失敗する」と考えています。少なくとも現状はこれらが拡散する方向に進んでいますし、核兵器禁止条約にしても、むしろその流れを助長する可能性が高い。

つまり、軍事利用を否定して、平和利用を是とするという、原子力利用における「正しい価値観」を守り、かつ実践し続ける限り、人類は原発事故や核戦争、核テロ等とのリスクと同居せざるを得ないのではないかと考えます。

そのような意味でも、核兵器を否定しつつ、同時に平和利用の推進を掲げる核兵器禁止条約については、私としてはどうしても懐疑的にならざるを得ないのです。

- おわり -


参考資料 追加1冊(その8で紹介した資料に追加)

マシュー・ファーマン 原子力支援  「原子力の平和利用」がなぜ世界に核兵器を拡散させたか
藤井留美(訳),國分功一郎(解説)
2015/6 https://bit.ly/2k1GaoF

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カテゴリ: 冷やしたぬき放談

テーマ: 政治・経済・社会問題なんでも  ジャンル: 政治・経済

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