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冷やし狸庵

原発・エネルギー問題を静かに考えるブログ。

続・日米原子力協定の自動延長と迷走する原発反対論の今後について考えてみる その1 

‖ 日米原子力協定にかんする情報は、玉石混交・・というより石ころだらけw

日米原子力協定については、日本・アメリカの原子力利用の歴史・事実関係を無視した、「アメリカ言いなりの原子力政策」のように、わけのわからないスローガン・陰謀論的な話が多く、反対派もそれらに喜び勇んで乗っかり、ワイワイ騒いでいる。そんな状況を私は常々、残念に思っているということは、以前の連載でも述べてきたところです。

協定に関する情報は、例によってネットでは、主要各紙に公的機関、まともな研究者・シンクタンクの資料等であればともかく、大半が陰謀論ネタ(これは陰謀論ではないという触れ込みw)です。それ以外では、一部の書籍や雑誌等でも、時折妙な事が書かれており、まったくどうしたものかとイヤになってきます。

それでも、たまには勉強になる資料も見つかるわけで、世の中まだ捨てたものじゃないとも思えてきます。そのようなわけで、今回は協定の自動延長を考える上で、与太話ではなく参考になると思われる資料を紹介しつつ、また例によってああだこうだと意見・感想などを述べていきたいと思います。

‖ 原子力ムラの長老 vs 若手弁護士

日米原子力協定とプルトニウム 政策見直し将来像議論を(2018/4/11 北海道新聞)
https://archive.li/4vOSg(Twitter)
https://bit.ly/2I8zH4G(拡大画像) #北海道新聞 #新外交イニシアティブ

一部抜粋

 原発で使い終えた核燃料から原爆の材料にもなるプルトニウムを取り出す再処理を、核兵器保有国以外で唯一日本に認めた日米原子力協定が、7月に満期を迎え自動延長される。核燃料の有効利用を目指す核燃料サイクル政策の継続につながるが、中軸となる高速増殖炉もんじゅの廃炉決定で政策は事実上破綻したといわれる。使いみちがなくたまったプルトニウムは原爆5千発分になるともされ、国際社会の懸念材料だ。現協定締結時の元外交官と政策見直しを説く弁護士に話を聞いた。



こちらは当ブログでも何度か紹介したことのある、元外交官・遠藤哲也氏と弁護士・猿田佐世氏による討論企画(実際は別々に聞いたのでしょうがw)になります。以下、印象に残った箇所を抜粋して感想などを述べていきます。なお、読者の方向けに発言者を把握しやすくするため、かぎ括弧付きで名字を表記しています。

‖ 核燃サイクルの国策国営を提言する遠藤氏

【遠藤】 私は、原子力の強みはサイクル(リサイクル)ができることだと考えています。使い捨てにするなら化石燃料を燃やす火力発電と変わらない。そして、原発をやる限りは高速増殖炉の実現を目指すべきだと考えています。‥もんじゅの廃炉は決まっても核燃サイクルを諦めたわけではないのです。



私は原子力ムラの現状打開策として、そのうち、「原子力も再生します、おいしい核燃料サイクル」なんてキャッチコピーを糸井重里氏が考案してPRでもするんじゃないかと考えています。しかし、なかなかそうはならないですねw原発と再エネは非炭素電源という意味では相互補完の関係にもあり、共存共栄という論説も出てきそうですが。

それから、「もんじゅ」の廃炉が決まったことは事実ですが、確かに核燃料サイクルを諦めたとは誰も言っていないのですね。もんじゅが廃炉でも、それは高速増殖炉計画の廃止を意味するとは限りません。

【遠藤】 日米原子力協定は自動延長されますが、今後はどちらか6ヶ月前に通告すれば協定を終わらせることができる、頭上に剣がぶらさがっているような不安定な状況になるのです。
 そんな状態になるからこそ日本は国際社会に対して、核燃サイクルの将来像を示す必要があります。‥核燃サイクルは、今のような国策民営ではなく国策国営でやるべきです。



協定はたしかに自動延長になりますが、以前の連載記事のとおり、日米双方で、通告すれば協定が終了になるという事態はまずありえません。

また、原子力平和利用の二国間協定では、既に日加(カナダ)・日豪(オーストラリア)等、自動延長が常態化している事例もあるはずです。

長期間=安定というわけでもありません。例えばカナダは、インドの核実験(1974年)の影響等で、核物質の輸出規制を強化。その流れで日本に改定(※2018/6/23 こちらについて末尾に記述あり)を求め、ウランの対日輸出停止などの圧力をかけたこともあります。

カナダ・オーストラリアは、日本の原子力政策にとっては生命線といっても過言ではありません。同時に、核物質以外の資源も非常に豊富な両国をひとたび敵に回せば、日本は確実に干上がります。そのような意味でも、とても原子力(原発)がエネルギー自給に資する「国産・純国産エネルギー」などとは言えないと考えます。

なお両国は、協定上、日本の再処理(包括同意)を認めています。再処理は世界で「アメリカだけ」が決める(与える)権利を保有するという話でもありません。

遠藤氏の以前の論文等では、協定更新(自動延長を想定)のため、もんじゅや原発の再稼働等を急ぐべきだと主張していた印象です。しかし、今度は国際社会への説明責任として確固とした核燃料サイクル政策を国策民営で行うべきと、その主張を変えているようです。

とはいえ、説明責任という意味では、日本では原発の再稼働すらままならず、もんじゅも廃炉。それで核燃料サイクルを続けるとしても、逆に不透明さが増すだけにも思えます。後で触れますが、例えばプルトニウムの削減と称してプルサーマルを推進しても、国策上、いつかはその使用済みのMOX燃料を再処理してプルトニウムを取り出します。

遠藤氏はプルトニウムバランスにも理解があり、推進派とはいえ共有できる・勉強になる部分も多い方だと認識しています。しかし、遠藤氏は核燃サイクルを継続したいという意識が強いのですが、かといってそのための展望は開けていない。遠藤氏の主張には、ある種の焦り・もどさしさのような心境を推察します。

‖ 政策見直しを提言する猿田氏

 【猿田】 既に47トンものプルトニウムがたまる中で、さらに再処理を行っていいのか。これまで1兆円以上かけた高速増殖炉もんじゅや、六ケ所村の再処理工場など核燃サイクルにどれだけお金がかかっているのか、国民にきちんと情報開示する必要があります。



こちら、冒頭の説明と合わせて、原子炉級プルトニウムを「47トン、原爆5千発分以上」等と表現(猿田氏自身も、常々5~6千等と発言しています)するのは、いささか問題があると考えます。これでは日本が核武装するために溜め込んでいると、メリット(?)・デメリット双方の観点からそう考える方が多いかもしれないからです。

原発のプルトニウム問題は、一義的にはテロリスト等による盗難リスクです。原子炉級プルトニウムは国家安全保障・切り札として使うには信頼性に乏しいとはいえ、テロリストにとってはまたとない武器になります。プルトニウムの量が増えるほど、盗難のリスクも高まります。プルトニウム問題は日本固有ではなく、国際的な共通課題です。

 【猿田】 2012年に当時の民主党政権が「30年代に原発ゼロ」との政策をまとめた時、米国が反対したと報道されました。しかし原発を止めるなという米国の意見は、原発を続けたいともくろんだ日本の一部勢力が都合良く呼び込んだ声でした。私は「ワシントン拡声器」とか、「日本製の外圧」と呼んでいます。実際のところ、当時米国には、原発ゼロと言いながら再処理は続けるという政策の明らかな矛盾に対する疑問も多く出ていました。でも、そうしたことはなかなか日本に伝わりませんでした。



猿田氏は、もともと原発問題をライフワークとしている方ではなかったように思います。しかし、当時の原発反対派の多くは不確かな情報に踊らされて、「アメリカの圧力だ~!」なんて大騒ぎしていたわけで、猿田氏はそんな彼らとは違って冷静です。反対派の間では未だにこのような話が通用している印象ですが、反対運動も大したことないなとw

‖ やはり原子力は「持てる者」が強い

余談になりますが、資料の真ん中の記述について、ちょっと気になる箇所がありました。

 日米原子力協定で操業が認められている、青森県六ケ所村の使用済み核燃料再処理工場(上)。ここで取り出すプルトニウムをMOX燃料にして‥



六ヶ所再処理工場は、別にアメリカ・日米原子力協定で操業が認められているという話ではないと思います。再処理工場そのものは、日本、フランス、あるいはドイツの技術支援によって建設が進められてきたはずです。形の上では工場の建設、あるいは操業等でアメリカが直接関与する余地は無いと思われます。

ただし、再処理については原子力協定の規定(日米に限らない)により、核物質や機材等の供給国(直接・間接的)の同意を得ることになっていますので、日本の場合は今のところは米国産が大半を占めるという意味では、事実上「認められている」と言えると思いますが。

これも先程の、原子力は国産エネルギーとは言い難いという実例の一つでしょう。こちらも以前の連載で触れましたが、原子力利用は必ず、核物質や技術を「持つ者」が有利になっています。日本は単独で原子力を推進(自己完結)できる環境にはなく、やはり「自前」を装っても他国に依存する状況は変わらないと思います。

その2につづく


2018/6/23 追記

カナダが日本に原子力協定(日加原子力協定)の改定を求めた当時は、既に自動延長の時期に入っていたようです。日加原子力協定は、有効期限が新旧(旧:1960、新:1980)ともに「10年+自動延長」なので、おそらくそうです。記憶が混同してしまい、こちらの記述は適切ではなかったと思います。大変失礼いたしました。

協定の安定性は有効期限よりも両国間の信頼関係次第である。以前そのような記事も書きましたが、既に日米安保条約の自動延長が常態化している現在、6ヶ月とか30年とか、そのような議論はあまり意味がないと考えます。

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カテゴリ: 冷やしたぬき放談

テーマ: 政治・経済・社会問題なんでも  ジャンル: 政治・経済

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