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冷やし狸庵

原発・エネルギー問題を静かに考えるブログ。

続・日米原子力協定の自動延長と迷走する原発反対論の今後について考えてみる その2 

‖ アメリカは、急きょ日本に対してプルトニウムの削減を求めてきたか?

米国、日本への特別待遇にブレーキ 「プルトニウム保有量削減を」
https://archive.li/7d8FE #中央日報

一部抜粋

最近、米国政府が日本政府に対してプルトニウム保有量の削減を要求したと日本経済新聞が10日、報道した。

プルトニウムは原子力発電所から出る使用済み核燃料を再処理する過程で生じる。核兵器の原料としても使われるため、米国が「核不拡散」の観点から懸念を示していると同紙は伝えた。

報道によると、米国家安全保障会議(NSC)等が日本政府に「プルトニウムの適切な利用・管理」を要求し、特に保有量に上限を設けて削減策を公開するよう主張した。



今月の10日の話になります。日本が保有しているプルトニウムについて、アメリカが削減を求めてきたという日経新聞の報道が話題になりました。日経新聞の当該記事は、ネット版は有料(途中まで閲覧可能)ということで、今回は日経が報じたという内容で、別の記事を用意しました。

こちらについては、何かアメリカが急に日本に要求してきたと捉える向きもありますが、そうではないと思います。

日米原子力協定を自動延長の考え トランプ政権の高官
2017/9/22 http://archive.is/bu35d #nhk

一部抜粋

来年7月に期限を迎える日米原子力協定について、アメリカ、トランプ政権の高官は、協定を自動的に延長する考えを初めて明らかにしました。その一方で日本が核兵器の原料にもなるプルトニウムを大量に保有する現状に懸念を示し、原子力政策について詳しく説明を求めていく方針です。



協定の自動延長に際し、アメリカ側が日本の原子力政策について説明を求めるという報道は去年からありました。これはオバマ政権下でも、カントリーマン国務次官補などが懸念を表明した(核燃料サイクルの放棄は求めないが説明を求めていく)というような話もありました。

アメリカは日本を信用しているものの、原子力政策について不透明さが拡大することは、当然望ましいとは考えていない。そこで、協定の延長を控えて、削減というよりも、一度現実的な政策の展望については確認しておきたいという意図ではないでしょうか。これは平和利用協力を進めるアメリカの信用問題にも関わってくると思います。

河野外務大臣会見記録 (平成30年6月12日(火曜日)9時40分 於:官邸エントランスホール)
2018/6/12 https://bit.ly/2MPfQez #外務省

一部抜粋

米国からのプルトニウム削減等に関する要求
【記者】日本が保有するプルトニウムについて,原発再稼働が進まないことによってアメリカ政府から削減を求められているという指摘がありますけれども,アメリカから求められているのかという点と,日本としてどういうふうに対応するのかということですが。

【河野外務大臣】利用目的のないプルトニウムというのは,国際社会おしなべて保有しないというのが大原則でありますから,日本としても,当然そういう方針を貫くことで,これは別に,アメリから求められる,求められないにかかわらず,我が国として利用目的のないプルトニウムは持たないということは,やらなければならないと思います。



誰に言われるまでもなく、利用目的のないプルトニウムは持たないことは、従来からの日本の国際公約です。

それから、今回の報道について、一部ではイランや北朝鮮問題との関連性を指摘する声も聞かれます。たしかにこれらの核問題とは無関係とは言えないでしょうが、日本が今後の原子力政策の展望を述べたところで、それが両国の核問題の進展に資するのかと言えば、それは微妙な気もします。

‖ プルサーマルでは不透明さが増すだけ

日本は余剰プルトニウム問題について、当面どのように対応するのかといえば、最近の報道を見る限りでも、やはりプルサーマルということになるのだと思います。プルサーマルは、通常の原発で使われるウラン燃料(ウラン235と238)の代わりに、再処理して得られたプルトニウムをMOX燃料(プルトニウム239、ウラン238など)として使います。

電事連勝野会長、プルトニウム保有量削減に努力/「融通」要請は否定
2018/06/18 https://archive.li/8q0U7 #電気新聞

電気事業連合会の勝野哲会長は15日の定例会見で、原子力発電所の使用済み燃料に含まれるプルトニウムについて、「原子力発電所を再稼働してプルサーマル発電を進め、量の削減に努力したい」という考えをあらためて示した。プルトニウムを消費するため、日本政府が電力会社間でMOX(ウラン・プルトニウム混合酸化物)燃料を「融通」するよう促したとの一部報道については、「要請や打診は受けていない」と否定した。



プルトニウムはプルサーマルで燃やす、あるいは青森県で建設が進められている大間原発は「プルトニウム焼却炉」などと呼ばれています。新聞等を見ても、プルサーマル(原発の稼働)こそがプルトニウムを減らす唯一の方法であるというような説明が一般的です。

しかし、MOX燃料として投入したプルトニウムは、見かけ上減ったように見えますが、これによって発電(燃焼)する過程において、新たにプルトニウムが生成されているのです。

国の政策としては核燃料サイクルを進めるわけですから、使用済みMOX燃料も、いつかは再処理してプルトニウムを取り出すことになるのでしょう。今のところ、その使い道はだれも知らないのですが。

一応、その場しのぎとしてプルサーマルはありえるとしても、それでは国際社会への説明としては、透明性がある・説明責任を果たしたとは言い難い。その場しのぎの代償として、なんだか得体の知れない物がドンドン積み上がっていくからです。これを推進派は「未来への贈り物」なんて胸を張るわけですが、それはゴミでしょうとw

‖ 透明性のある原子力政策とは、使用済み燃料やプルトニウムを「ゴミ」と認識することにある

プルサーマルでは不透明さが増すだけ(※2018/6/24、26 こちらについて末尾に記述あり)で、それでは問題の解決にはどのような政策が望ましいのか?やはりそれは、使用済み核燃料やプルトニウムを「資源」ではなく、「ゴミ」として再定義し、従来の全量再処理を前提とした政策を抜本的に改革することが求められるでしょう。

特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律(平成十二年法律第百十七号)
施行日: 平成二十八年四月一日
最終更新: 平成二十六年六月十三日公布(平成二十六年法律第六十九号)改正  ※電子書籍の総合窓口e-Govより

https://bit.ly/2tlTlWz

第一条より抜粋

第一条 この法律は、発電に関する原子力の適正な利用に資するため、発電用原子炉の運転に伴って生じた使用済燃料の再処理等を行った後に生ずる特定放射性廃棄物の最終処分を計画的かつ確実に実施させるために必要な措置等を講ずることにより、発電に関する原子力に係る環境の整備を図り、もって国民経済の健全な発展と国民生活の安定に寄与することを目的とする。



なぜ度々プルトニウム問題がクローズアップされるのかといえば、それは、日本国内には、核燃料を再処理する以外の法律が実質的には備わっていないからです。長年の方針である核燃料サイクルの推進のため、そのような前提で法律が整備されています。現実にはそれが機能しないから悪い方にしか進まないのです。

使用済み核燃料は直接処分(処分場の選定までは、暫定的に地上で乾式貯蔵)。プルトニウムは英仏等に引き取ってもらう(所有権移転)、あるいは不純物を混ぜて廃棄処分(不動化処理)。他、廃棄処分の研究開発を多国間で取り組む。問題解決の手段はいろいろあるとしても、現状では「ご意見は承りました」程度の話にしかならない。

透明性のある原子力政策というのであれば、プルサーマルや再処理工場の稼働率を下げる等、その場しのぎではなく、たとえ部分的でも構わないので、直接処分やプルトニウムを廃棄できる法的整備を進めることが必要だと考えます。とはいえ、制度の見直しによる責任や補償問題も、国にとってはハードルが高いのかもしれません。

原発の推進に核燃料サイクルは必須の条件ではありません(もともと核燃料サイクルと原発を両立している国は少数)し、原発ゼロを進めるにも、直接処分とプルトニウムの廃棄の議論は必要になってきます。

核燃料サイクルを断念・あるいは制限するからといって原発がゼロになるわけではありませんが、現状の不透明な原子力政策を正すことは、本当の意味でアメリカ・国際社会への説明責任を果たすことになり、ひいては原発ゼロ社会の実現にも資すると言えるでしょう。

その3につづく


2018/6/24 追記1

私は以前、プルトニウムの核兵器への転用を防ぐ意味で、「核拡散の抵抗性を高める」処置が必要であると述べています。これは、例えばテロリスト等に核物質を盗まれない(容易にプルトニウムを取り出せない)、プルトニウムが盗まれても、そう簡単に核兵器が作られないように、あらかじめ時間を稼ぐような処置を施すことを意味します。

それらのための一番手っ取り早い方法は、使用済み燃料はそのまま直接処分にすることです。未使用の核燃料は手で触っても平気ですが、一度使用すれば、人が数秒で死んでしまうほどの強い放射線を発します。すなわち、テロリストからプルトニウムを強い放射線でガードするイメージです。

プルサーマルで使用した「使用済みMOX」にもプルトニウムが入っていますが、仮にこれを「再処理しないで処分」するのであれば、一応、上記と同じような形になります。プルトニウムが燃料の中に入っているので、核拡散の抵抗性が高いことになるからです。

しかし、日本の場合は「核燃料サイクルを進める」わけで、使用済み燃料(使用済みMOXも含む)も、いつかは再処理してプルトニウム取り出し、グルグルと回していくことになっている。そのような前提がある以上、プルサーマルでは問題の解決にはならないという説明になります。

既に取り出したプルトニウム(国内外で47トン、日:10、英仏預かり分:37)については、福島原発事故後、例えばイギリスから有償で引き取っても良い(所有権移転)という提案がありました。実際の「詰め」の議論はともかく、所有権移転は問題解決の有力な方法論の一つとして、専門家の間でも以前から注目されてきました。

あるいは、先のように「抵抗性を高める」処置として、放射性廃液等、様々な不純物を混ぜて固めておくことにより、事実上、核兵器への転用が不可能に近い状態にすることも技術的には可能です。こちらはアメリカでは、「スターダスト」と呼ばれる研究が進んでいるようです。

こちらも核燃料サイクルが前提となる以上は、諸外国では負債(ゴミ)とされるプルトニウムも、日本では資源であり財産という扱いになります。ゴミ屋敷の住人は、明らかなゴミを「これは財産だ!」と言い張るわけですが、原子力ムラの住人は、核のゴミは将来世代への贈り物と主張しています。

本来の意味でプルトニウムを削減するのであれば、やはり原則、使用済み核燃料にはこれ以上手を付けず、既に出来上がったプルトニウムの処分法を考えるほうが良いと思います。問題解決の基礎となるのが、やはり全量再処理政策の抜本的な見直しということになります。

2018/6/26 追記2

プルサーマル(既存の軽水炉によるプルトニウム利用)の場合、安全面を考慮して、最大で炉心の1/3程度でMOX燃料(ペレット)を用い、残りは普通のウラン燃料を使います。燃焼後は後者からもプルトニウムが生成されます。全量再処理政策を続ける限り、問題は解決しないと言えます。

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カテゴリ: 冷やしたぬき放談

テーマ: 政治・経済・社会問題なんでも  ジャンル: 政治・経済

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