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冷やし狸庵

原発・エネルギー問題を静かに考えるブログ。

北海道胆振東部地震と北海道のエネルギー安定供給について考えてみる その1 

‖ 震災の影響で‥

夏バテ気味も解消されて、そろそろ記事を投稿しようかなあ、と、6日の深夜に酒を飲みながら、「美味しんぼ」を見ながらくつろいでいると、いきなり「ドン!」と下から突き上げが。最初は何事かと思いましたが、すぐに地震だと分かりました。さらに、その揺れ方が今までの人生経験上、かつてない強さだったので、ホントに焦りました。

人間焦ると正常な判断が出来なくなるのか、私は何を思ったか、「スピーカーをどうにかしないと!」なんて、必死で両手で支えてたりwどんなにひどい揺れでも自分は助かるという前提であったのか、今思い返すと気恥ずかしい思いがします。

私の地域は震度5強でしたが、自宅では幸いにも物が落ちるということもほとんどなく、すなわち「冷やし狸庵」も至って無事であったのが不幸中の幸いでした。

しかし、地震の直後、これは全国紙でも報じられていますが、北海道そのものがブラックアウト(停電)になり、その影響で私は3日近く、全く電気が使えない環境下で生活することを余儀なくされたのです。

このあたりは私としても反省材料というのか、ネットに頼り、北海道は大丈夫みたいな思い込みもあった(私の地域は特に地震が少ない)せいか、ラジオを備えていなかったのです。だから当初は、「何でこんなに停電が続くんだ!」なんて。状況が飲み込めた(苫東厚真〈=とまとうあつま〉火力が停止した影響)のは翌日になってからでした。

ラジオと言えば、言い訳がましく聞こえるかも知れませんが、実は私も何年か前に買おう(東日本の震災でチェックしたら動かなかった)とは思っていたのです。ところがいざ買おうとすると、今度はアマゾンなどの評価が気になって「少し様子を見よう」なんてw下手に多くの情報に触れて判断を間違える。今思えば、思い立ったが吉日が正解でした。

あっ、そういえば、この「冷やし狸庵」が北海道にあることがとうとうバレてしまいましたね。お越しいただいた読者の方は直ちに忘れてくださいw

‖ 北海道の電力事情

私が原発・エネルギー問題を考えるようになって1年くらい経ったあたりだと思います。原発の問題から福島ばかり注目していた私は、ふとしたきっかけで、そういうえば地元の電力事情はどんなものなのだろうと。

こちらについて、ちょうど最近の記事で北海道の主要な発電所が掲載された記事があったので紹介させていただきます。

北海道震度7 発電所停止の連鎖 主力電源を直撃
2018/9/7 https://archive.fo/OX9FQ #毎日新聞

一部抜粋

6日未明に発生した震度7の地震は、北海道全域が停電するという前代未聞の被害をもたらした。道内の主力電源として電力需要の半分以上を担っていた火力発電所が停止したことが原因で、インフラのもろさが露呈した。火山噴火で形成された地層は大きな揺れで大規模な土砂崩れを起こした。専門家は「余震もあり、今後も警戒が必要」と警鐘を鳴らす。



2018_9_7_mainichi.png

北海道の主要な発電所を見渡したとき、素人目に見ても「何で西側に集中しているのだろう?」と。札幌等の大消費地に近いほど送電ロス等の面で有利とはいえ、これでは大規模な災害が発生した際、場合によっては一瞬で大停電が起きるリスクもあるだろうと。‥ならなおさらラジオを買いなさいよとw

さらに、北海道は電力の需要に対して、供給力、発電所1機あたりのウェイトが重いのです。今回の苫東厚真(1・2・4号、3号機は既に廃止、計165万kW)、あるいは泊原発(1~3号、計207万kW)にしても、その是非はさておき、たったの6機でピーク時(冬期、500万kW超)の7割近い電力に相当する。これは危ないよねと。

‖ 電力供給・当面の課題

電力供給については、現在は北海道電力(以下、道内でなじみのある「北電(ほくでん)」表記※1とします)が所有する定検中の火力・水力の復帰の検討、協力企業からの受電等により、電力を積み上げている状況です。最近は北海道ガスが所有する、最新のLNG火力(7.8万kW※2)が前倒しで稼働となり、電力供給に一役買っています。

しかし、現在一番の問題となっているのは、こちらも同時並行で行われていますが、やはり苫東厚真1・2・4号機の復旧作業です。特にこれからは、電力需要がピークとなる冬を迎える時期を控えています。北電の説明では、当初は復旧期間は1週間程度とされていましたが、最新の情報ではどうもそうはならないだろうと。

北海道電力株式会社 プレスリリース 北海道胆振東部地震により被害を受けた苫東厚真発電所の点検結果と復旧見通しについて
2018/9/11 https://bit.ly/2x4gOxn

北電によると、1号機は9月末、2号機は10月中旬、4号機は11月以降とされています。当初の予定通りにはいかないまでも、1・2号は比較的短期間で何とかなりそうですが、4号機についてはいろいろよくない噂も聞きます。一説には蒸気タービンが相当程度損傷しており、さらに期間を要する可能性もあるとか。

4号機の穴埋めについては、昨日の北海道新聞朝刊の記事によると、建設中の石狩湾新港発電所(総出力170万kWの1つ、約57万kW)を前倒しして、10月に予定されている試験運用の段階からの送電も検討されているようです。これで数字上は、10月中には苫東厚真の脱落分をほぼ吸収できる形になります。

4号機の復旧については、11月以降にずれ込むとすれば、例えば冬期でも需要が少ない年末年始をめどに再稼働。これで震災前よりも供給力に厚みが増した状態で、ピークである2月を迎えることになります。

念のための上積み、保険として、今のうちから以前の南早来発電所(みなみはやきた・1~72号、計7.4万kW)、あるいは苫小牧発電所(とまこまい・2~83号、計7.4万kW)のような、臨時の発電所を設置するプランもあり得るでしょう。

これらの対策が講じられれば、道内の冬期を含めた電力供給について、過度に悲観する必要はないと思われます。

ただし、余震活動は依然として活発であり、まだまだ油断はできません。さらに、今回の地震の影響で他の地域に影響を及ぼす可能性も捨て切れません。もちろん発電所さえあれば(無事であれば)自宅に電気が届くわけでもありません。

‖ 電力供給・中長期の課題

北海道の電力事情は、従来からいびつであり融通がききにくい。これが今までの説明をまとめになります。となれば、これを解消しない限りは、今後も今回のような、北海道ブラックアウトのリスクは避けられないのでしょう。

となれば、やはり電源の分散化が必須でしょう。例えば機動性に優れたLNG・コンバインドサイクル発電の小・中規模に相当する、20~30万kWクラスの発電所を複数設置する。1つのサイトに集中立地することを避け、災害等で一度に100万kW単位の電力を喪失するようなことがないような供給体制を整える。

しかし、大型化や集中立地は長年の慣習もあり、すぐに解決できる問題ではありません。苫東厚真4号が70万kWだから、直ちに潰して小規模発電所を作り直せとか、そんなシムシティーみたいな事はできませんしw大型化にはスケールメリット(大出力でコストを下げる)もあり、これを一概に否定することも出来ないでしょう。

それよりは、例えば北海道と本州を繋ぐ送電設備である北本連系(きたほんれんけい)の設備容量を増設(現在は60から90万kWに増設中※3、これをさらに積み増すという意味)の方が現実的かつ早いでしょう。もちろん、これは北海道が受け取るだけではなく、送る側としても意味(東日本の震災では最大60万kWで送電しています)を持ちます。

さらに、こちらは政治的なハードルが問題になりますが、日露間のガスパイプライン(主に発電用途)・電力網の接続です。こちらの場合は国家間、双方向でのエネルギーのやり取りが可能になるというメリットが得られます。災害時の人道援助として、互いに電力を融通し合う体制を整えることも有力な外交カードの1つになるでしょう。

北海道に限らず、日本の電力供給の安定化に貢献し、外交面でもメリットも得られる。そのための北本連系のさらなる増設と日露間のエネルギー協力の深化。どちらも前向きに検討するべき課題だと思いますし、これらは以前の記事でも何度か触れてきたことでもあります。

今回の震災を経験した教訓としては、やはり前もってラジオは買っておいたほうが良いということでしたw

その2につづく

2018/9/12 追記

※1 ちなみに、「北電」表記は北陸電力(富山県)でも用いられているようです。あるいは「陸電(りくでん)」ですね。北陸電力のサイトのアドレスは「rikuden」なので、公式的には陸電なのでしょう。これもエネルギー問題を勉強するようになって初めて知ったことでした。

※2 7.8万kWという出力は、これでは力不足ではないかという意見もあると思います。しかし、本文のとおり、北海道は需要に対して、発電所1機あたりのウェイトが重いのです。今時期はピーク時で350万kW程度の需要があり、それに対する7.8ですから、概ね3%の貢献度に相当します。これは北電としては有力な戦力になるでしょう。

北海道ガス(北ガス)のLNG火力は、電源を投入して僅か10分で最大出力に達し、ベース・ミドル・ピーク時への対応として、まさに柔軟な使い方が可能です。

北海道ガス株式会社 プレスリリース 石狩 LNG 基地内における高効率ガス発電設備の建設について
2016/3/30 https://bit.ly/2QomRET

ちなみに、より大出力(50万kW前後)のLNG・コンバインドサイクルは、最新型で1時間で最大出力に達します。これを状況に応じ、まさにスイッチを押す感覚で、ON/OFFで対応する。これは原発や石炭火力では絶対に出来ない芸当です。

国立研究開発法人 国立環境研究所 環境展望台 コンバインドサイクル発電
2014年10月27日 https://bit.ly/2m1kUj4

一部抜粋

コンバインドサイクル発電設備は、急速起動が可能なガスタービンと小型のスチームタービンの組み合わせで構成されているので短時間での起動・停止が可能であり[6]、電力需要にもすばやく対応することができます。起動から定格出力に達するまでの時間を同じ1000 MW級で比較した場合、従来型のスチームタービンのみの火力発電の約3時間に対し、コンバインドサイクル発電では約1時間です。



冷やし狸庵は、以前よりガス・コンバインドサイクル発電を応援しています。

※3 そういえば、こちらの30万kWの増設分は、来年の3月に完了する予定でした。とすれば、こちらも前倒ししてさらなる上積みも可能かもしれません。おそらくとっくに検討に入ってると思われますが。ちなみに、こちらの所有は電源開発(JPOWER、PDFファイル)になります。

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カテゴリ: 冷やしたぬき放談

テーマ: 政治・経済・社会問題なんでも  ジャンル: 政治・経済

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