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冷やし狸庵

原発・エネルギー問題を静かに考えるブログ。

続・北海道胆振東部地震と北海道のエネルギー安定供給について考えてみる その2 

‖ 北海道ブラックアウト・最優先は泊原発再稼働?

地震の影響により一時全停止となった苫東火力。北海道の当面、あるいは冬季に向けた電力の安定供給を考える上での最善策は、同発電所の復旧作業であったことは明白です。

ところがこの間、一部から、火力発電所の復旧よりも停止中の泊原発の再稼働を優先させるべきであるとする、なんとも奇妙な主張が見られました。私は地震当日は停電の影響で状況が把握できなかったのですが、特にネット上ではそのような論説が、ブラックアウトの情報が全国的に知れ渡った直後から盛り上がっていたようです。

これは以前の記事でも述べましたが、現在泊原発は原子力規制委員会(規制委)の審査を受けている段階で、再稼働の見通しは立っていません。このような状況で、安倍首相による、いわゆる政治判断を下すシナリオは考えにくいのです。

泊原発の早期再稼働が困難である理由は、大きく分けて2つあります。それは先のような規制委の判断、政治的な手続き論の問題。それから技術的に、「現状の」泊原発の発電設備としての信頼性の問題が挙げられます。今回は前者の問題について、以前の記事を補足する形でもう少し詳しく見ていきたいと思います。

‖ 既に規制委員会の判断は、国内向けにとどまらず、事実上の国際公約になっている

原発は安全性が最優先であり、再稼働にあたっては規制委の判断(規制基準)に従う。これは自民党が野党時代から掲げてきた公約です。

自由民主党 メールマガジン 2012.6.1 Vol.550
2012/6/1 http://archive.fo/aRqle

一部抜粋

(ア)安全第一主義の徹底
今後のエネルギー政策の根本に「安全第一主義」(テロ対策を含む)を据え、
特に原子力政策に関しては、権限、人事、予算面で独立した規制委員会による判断をいかなる事情よりも優先する。
 また規制委員会が政治家の介入や経済政策の影響を受けずに、専門家による純粋かつ高度な技術的判断が行える環境を確保する。



そして、こちらについて、安倍内閣の方針は一貫しています。

首相官邸 平成23年6月26日 安倍内閣総理大臣記者会見
2012/6/26 https://archive.fo/9FVY3

一部抜粋

当然、原発については安全第一が原則であります。その安全性については、原子力規制委員会の専門家に判断を委ね、新規制基準を満たさない限り、再稼働については再稼働しない。これが基本的な私たちの立場であります。



首相官邸 平成29年10月27日 原子力防災会議
2017/10/27 https://archive.fo/Mekeg

一部抜粋

高い独立性を有する原子力規制委員会が、科学的・技術的に審査し、世界で最も厳しいレベルの新規制基準に適合すると認めた原発のみ、その判断を尊重し、地元の理解を得ながら再稼働を進めるというのが、政府の一貫した方針です。



直近であれば、これは以前にも紹介した、ブラックアウトの直後の菅官房長官による、「直ちに再稼働することはありえない」とする発言。あるいは世耕経産相も同様に、早期の再稼働を明確に否定(時期的にはホントに直後です)しています。

経済産業省 世耕経済産業大臣の閣議後記者会見の概要 平成30年9月7日
2018/9/7 https://archive.fo/s1So0

一部抜粋

Q: 今回の停電ですとか、地震が今後の泊原発の再稼動に影響を及ぼすことはあるというふうにお考えになりますか。

A: 原発の再稼動は原子力規制委員会が新規制基準に照らして、安全と確認されたものを再稼動させる。この方針には何ら変化はありません。



また、安倍首相は原子力の平和利用について、規制委の判断を優先するという政府の方針を、各種国際会合・会談等の場において繰り返し説明しています。事実上、政府の方針は国際公約になっていると言っても過言ではありません。

安倍首相、原発事故の教訓を世界に発信 核安保サミット全体会合で
2016.4.2 https://archive.fo/RMM4o #産経ニュース

一部抜粋

一方、「日本における核セキュリティーは福島第1原発事故と密接不可分」とし、「二度とあのような原発事故を起こさないとの強い決意の下、日本は原子力の平和利用を再びリードしていくべく歩み始めた」と述べた。そのうえで、日本が世界で最も厳しいレベルの新規制基準を作り、科学的審査で合格した原発のみ再稼働を進めていることを説明した。



外務省 第4回米国核セキュリティ・サミット 日本・進捗状況報告書
2015/4/1 https://archive.fo/5D7hL

一部抜粋

原子力発電所の再稼働については、プルサーマルを行う予定としている原発を含め、「原子力規制委員会の専門的な判断に委ね、原子力規制委員会により世界で最も厳しい水準の規制基準に適合すると判断した原発のみ、その判断を尊重し、地元理解を得ながら再稼働を進める」というのが政府の一貫した方針である。



原発反対派の間では、安倍首相が独裁者・ヒトラーであると理解されているようですが、そんな首相がなぜか当初の公約を頑なに守り、その上国際公約的な位置づけに据え、自ら撤回を困難なものにしている。何とも不可解な話ですが、とにかく反対派の言説には誇大妄想が多く、私も付き合いきれないのですw

‖ 政府・電力会社が規制委員会の判断に従うメリットは捨てがたい

既に国際公約とも言える、規制委の判断を政治判断で直ちに否定することは難しい。しかも、専門家集団である規制委の判断を政治が否定した時点で、その後の責任は全面的に政治・あるいは電力会社の側が負わなければならないというリスクも生じます。

これは少々変な話と受け取られるかも知れませんが、再稼働を進める上では規制委員会の判断に従うのが一番安全とも言えるでしょう。これはよくある原発の安全性、ハードウェア的な議論ではなくて、不測の事態が発生した場合の責任問題です。

周知の通り、規制委員会は規制基準の適合性の有無を審査し、品質保証をするわけではないので、たとえ事故が起きても責任は負わない。政府及び電力会社は、規制委の判断に従って再稼働を進めたので直接的な責任は負わない。規制委の判断を受けて再稼働するからこそ、有事の際の責任の所在が不明確になるメリットがあります。

そして政治判断の結果、今後の原発の差止め訴訟などでも悪影響が生じかねません。これまでの各種裁判において、規制基準・規制委の判断に一定の科学的合理性があると認められた司法判断を、素人集団である政治が実質的に否定することになるからです。

これらの事情から、北海道のブラックアウトを奇貨として、政府・電力会社が音頭を取り、政治判断で泊原発の再稼働を進めるとは到底考えにくいのです。期限を区切った限定的な再稼働もありません。ましてや推進側から「原発問題から逃げている」とされる安倍首相に、諸々のリスクを引き受ける度胸があるとも思えません。

今回にわかなブームになっている泊原発再稼働論では、事実関係とかけ離れた言説も多く聞かれます。原発を止めているのは反対派(そんな権限はないw)で、規制委が反原発(ならば全て不合格)、あるいは反原発の高橋はるみ知事(脱原発の対立候補である佐藤のりゆき氏を下して道政初の4選)など。

危機に便乗したPRは、どうしても粗雑になります。

一つ言えることは、今回のブラックアウトを受けて、原発に関わる主要なプレーヤーの選択肢としては、泊原発の早期再稼働は当初からなかった、あるいは今冬に向けてもないということです。

その3につづく

2018/10/14 追記

高橋知事で付け加えると、知事はたしかに原発の再稼働に一定の理解があると見られていますが、これまで直接的・意欲的な姿勢は示したことはないと思います。再稼働にあたっては、規制委の判断が大前提であり、北電にそれ以上の安全対策を求める場面も見られます。

高橋氏の対立候補として名前を上げた佐藤のりゆき氏。この方は北海道札幌市出身のアナウンサーで、ご自身の名前を冠とする(いわゆる冠番組)番組に多数出演。一時期はお茶の間の奥様方のオピニオンリーダーとして、まさに北海道の重要人物として名を馳せていた方です。

しかし佐藤氏は、北電が主催するプルサーマル発電の説明会等で、度々推進側のコーディネーターとして活躍していた一面もあり、私は当初、なぜこのような方が脱原発の候補者なのか(反対派が熱心に応援するのか)と困惑した思い出があります。

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カテゴリ: 冷やしたぬき放談

テーマ: 政治・経済・社会問題なんでも  ジャンル: 政治・経済

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