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冷やし狸庵

原発・エネルギー問題を静かに考えるブログ。

続・北海道胆振東部地震と北海道のエネルギー安定供給について考えてみる その3 

泊原発の早期再稼働については、当初から政府及び北電は想定せず、その上現在は電源(苫東厚真)も回復している。こちらについてこれ以上考える必要はないような気もします。ただ、それでもなお再稼働を急ぐべきであるとする意見も見られます。

‖ 「現状の」泊原発の問題点についての前説

今回取り上げるのは原発のハードウェア・技術的な論点、「現状の」泊原発の発電設備としての信頼性の問題についてです。

技術的・信頼性という話になると、やはり「大事故が起きるぞ~!」的な、つまらない話を想像されるかもわかりません。しかし、私はもともとそういう話を好みませんので、今回は過酷事故については考慮しないことにします。反対派からは「これが泊原発じゃなくてよかった」的な嫌味な意見も見られましたが、こちらも同様です。

‖ どの道、泊原発の再稼働は冬には間に合わない

まずは念の為ということで、再稼働に必要な正規の手続きについてまとめられたサイトを載せておきます。

日本原子力財団 エネ百科 [Q]再稼働までに事業者が行う手続きは?
https://bit.ly/2AbwAbn

一部抜粋

まず、新たに原子炉を設置(変更)する際には、事業者は、原子炉の基本設計や安全対策の方針などを示した「原子炉設置(変更)許可」を原子力規制委員会に申請し、原子力規制委員会は規制基準に適合しているかどうかを審査します。この審査によって許可を受けた事業者は、設計の詳細について「工事計画認可」を申請し、原子力規制委員会に認可された後、工事を開始します。また、運転開始までに、運転管理など保安に関する基本的な事項を定めた「保安規定(変更)認可」についても事業者は申請を行い、原子力規制委員会の認可を得る必要があります。

・・

この他にも、事業者は工事の工程ごとに工事計画との適合性などを確認する使用前検査や燃料体検査について、その都度申請を行い、原子力規制委員会による検査に合格しなければ、その機器類や燃料体を使うことはできないことになっています。



北海道電力 泊発電所の審査状況
https://bit.ly/2AaGbiI

一部抜粋

2013年7月、泊発電所1・2・3号機の新規制基準への適合性審査を受けるため、「原子炉設置変更許可」、「工事計画認可」、「保安規定変更認可」を一括して国(原子力規制委員会)に申請しました。
現在、3号機の審査対応を優先しており、主に「原子炉設置変更許可申請」について、同委員会による審査を受けています。



こちらについては前回述べたとおり、現在泊原発は規制委の審査をパスしていない状況で、これを政治判断でどうにかすることは考えにくいのです。

しかし、仮にこれらの再稼働のための複雑な作業を極力回避することが出来る(地元の理解・同意も省略)とすれば、いったい再稼働・定格出力での運転までに必要な期間はどのくらいになるのでしょうか。

泊原発の再稼働については、現在見通しが立っていない状況です。北電が優先しているとされる3号機についても、最低限のメンテナンスは行われてるとしても、例えば主要設備や消耗品の確認、トラブルが予想される箇所への対策等を含め、直ちに運転の準備に着手できる体制は整っていないと思われます。

そして、核燃料が装填された状態で原子炉を起動~定格出力までに要する期間は、およそ2週間から1ヶ月。

こちらについて、例えば今年の3/23に再稼働(原子炉を起動)となった、九州電力の玄海原発3号機(佐賀県)。プレスリリースによると、核燃料が装填されたのは2/20です。状況が異なるので単純比較は出来ませんが、核燃料を装填して原子炉が定格出力に達するまでに、およそ2ヶ月は必要になります。

しかし、泊原発の場合はまだ核燃料は装填されていない状態で、その上、先のように運転に着手できる体制が整っているとは考えにくい。最低限運転に必要な期間を考慮に入れると、どんなに急いでも半年程度はかかるのではないでしょうか。この場合、需要のピークを迎える冬には間に合いません。

‖ 「現状の」泊原発は発電設備としての計算ができる電源なのか?

それでも何とか頑張って、厳冬期に当たる2月(概ね1月下旬~)までに稼働が間に合ったとします。

私は前回の記事でも「現状の」泊原発は問題であると、「」付きで述べてきました。

泊を含め、現在再稼働の手続きが進められている原発は、停止から数年以上が経過しています。そして長期間停止(概ね3、4年以上)した原発は、再稼働の直後で何かとトラブル※1が生じやすいのです。

事実、先程の玄海原発3号機は、調整運転中の3/30に蒸気漏れが確認され、発電を停止した上で点検作業を行っています。その後、4/18に運転を再開、5/16に通常運転に復帰(これは審査に合格した日付で、実際のフル出力での発電はもう少し前に行われているはず)となっています。

これは玄海原発に限った話ではなく、同様の事例であれば、関西電力の高浜原発4号機(福井県、2016年)が挙げられます。

原発の長期停止の影響については世界的にも知見は少ないようですが、現時点で判明している最悪の事例は、一定期間発電が困難※2になり、しかもその割合は高いということではないでしょうか。

泊原発は現在、いずれも停止から6年以上が経過しています。長期停止中の原発の再稼働にあたっては細心の注意を払うことは当然ですが、先の玄海・高浜も、決してチェック体制がずさんであったわけではないはずです。

本来必要とされる、規制委の審査や地元の理解等、行政・政治的な手続き論を排し、ぶっつけ本番(厳冬期)で供給力としては明らかに不確かな電源を投入する。現状、このようなリスクの受け手の存在は考えにくいのです。

もともと即応性に難のある原発は、有事への対応としては不向き。再稼働は慎重な手順を踏まえた上で平時に行われるのが原則であり、長期停止後であればなおさらのことです。

その4につづく

2018/10/16 追記

※1 注釈の少し前のリンク先の記事でも触れられていますが、おそらく、これは何も原発に限らず、例えば家電製品でもありがちな、ブランクが長いと壊れやすいみたいな話だと思います。しかし大掛かりな設備であるほど故障箇所の予測・対策が困難なのだと思います。

※2 同じ発電を停止した事例でも、玄海3号高浜4号では、それぞれ制御棒を差し込まない/差し込んで対応したという違いが見られます。

今回は長期停止後の原発再稼働について、発電が停止したものだけを扱いましたが、他には先の玄海原発のリンク先の記事に見られるとおり、川内1号(=せんだい・九州電力)で出力上昇を延期した事例もあります。

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カテゴリ: 冷やしたぬき放談

テーマ: 政治・経済・社会問題なんでも  ジャンル: 政治・経済

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