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冷やし狸庵

原発・エネルギー問題を静かに考えるブログ。

なぜ原発推進派は「アベ政治を許さない」と言わないのか? 

今回は最近話題になった、経団連の中西会長の原発に関連する発言の感想などを少々、という感じです。

‖ 中西経団連会長のやる気と現状認識を疑う

「原子力を人類のために」経団連会長、原発再稼働を訴え
2019年1月16日 https://archive.fo/9LGKU #朝日新聞

一部抜粋

 経団連の中西宏明会長(日立製作所会長)は15日、原発の再稼働が進まない状況について、「私はどんどん進めるべきだと思っている。原子力というエネルギーを人類のために使うべきだ」との見解を示した。そのうえで「原子力に関する議論が不足している」と述べ、政界や学界などを巻き込んだ討論会の開催を訴えた。



原発輸出はもう限界、民間企業には無理。と思いきや、どんどん再稼働、国民的な議論を進めよう。そのような発言で話題になった経団連の中西会長。

中西氏の発言に際しては様々な見方も可能(ただし日刊ゲンダイはダメですw)でしょう。私の感想としては、どうにもこの方の原発推進派としてのやる気のなさ、あるいは現状認識を疑うような発言が目立ちます。

中西氏は、かねてより原子力は「人類」のために必要であると発言しています。

しかし、原発の利用を人類史的な壮大なスケールで考えているのであれば、単年でたったの3000億の損失でイギリスへの輸出を凍結するとか、民間では限界だとか、何を寝ぼけたことを言っているのだろうと。人類のためです。原子力事業に喜んで身を投じるべきなのです。たかが日立の1つや2つが何ですか。

「皆、原発話は選挙落ちると…」再稼働で経団連会長
2019/01/15 https://archive.fo/MZbBC #テレ朝NEWS

一部抜粋

「原発の議論をすると選挙に落ちる」と分析しました。

 経団連・中西宏明会長:「福島以降、原子力の真正面からの議論が不足しているのではないか。皆さん、それを言い出すと選挙に落ちると」



議論をすると選挙に落ちる?そんなわけはありません。むしろ即時ゼロみたいなことを主張する候補は即落選ですw原発事故から間もない頃、経済界から、世論が原発に反対なら、みんな社民党か共産党に投票しているという話が聞かれました。現実には、原発ゼロは無責任と主張する自民党が圧倒的に強いわけですから。

上記2つの記事で、中西氏は国民的な議論を進めるべきと仰っていますが、これもおかしいのです。原発は良くも悪くも政治主導で行われてきたもので、これは各国共通と言って差し支えありません。つまり、国民は関係ありません。原子力とは、元来「民は由らしむべし、知らしむべからず」的な技術なのです。

‖ なぜか政治もやる気がない

原発輸出、中ロのような政府の資金支援は考えず=菅官房長官
2019/1/18 https://archive.fo/Rvz30 #reuters

一部抜粋

菅義偉官房長官は18日閣議後の会見で、原発輸出に関して、ロシアや中国と同じように国策として政府が資金支援することは考えていないと否定した。
日立製作所(6501.T)が昨日、英国での原発輸出計画について「凍結」すると発表したことに関連した質問に答えた。



世耕経産相、今後の原発輸出に意欲 「平和利用に責任」
2019年1月18日 https://archive.fo/wt6zp #朝日新聞

一部抜粋

世耕弘成経済産業相は18日の閣議後会見で、原発輸出政策について「相手国の意向も踏まえて平和利用や気候変動問題への対応に責任を果たす方針に変わりない」と述べた。‥世耕氏は‥原発を今後利用したいと思っている国がマジョリティー(多数派)。原発事故を経験した日本の技術が世界に貢献できる可能性はある」と強調した。
 一方、原発輸出で国の財政支援を強める考えについては「基本的には事業者が判断すべきことだ」と慎重な姿勢を示した。



一方で政府も、原発メーカーを積極的にサポートする姿勢を見せようとしません。今回のように雲行きが怪しくなると、「民間、事業者の判断」として、推進してる割には消極的という、よくわからない感じです。

安倍政権は、世耕氏の発言に見られるような「日本の原発技術を世界に貢献する」という、先の中西氏ようなスケールの大きな目標を掲げています。

そうであればこそ、これも「1つや2つ」の精神が必要なのではないかと思うのです。日本ではなく世界のためです。コスト的に優位に立つロシア・韓国・中国。そのうちインドも台頭するでしょう。今後競争はますます激化します。日本が本気でこれらの国々に勝ちたいと思うのなら、そこに採算性が介在する余地などありません。

‖ 原発推進を阻害しているのは安倍政権である

原発ゼロは無責任であり、安全の確認された原発は再稼働する。日本の原子力政策はこのような方針で進められているわけですが、これによって安倍内閣の支持率が低下するとか、間違っても政権交代が起きるなんてことはありません。政治にとって原発問題はリスク要因とはならないのでしょう。

小泉元首相は常々、安倍首相を評して、原発ゼロを実現できる恵まれた環境にいる(それをしないのが残念)と仰っています。

しかしこれを逆に考えると、安倍首相は原発を推進しやすい恵まれた環境にいるとも言えるでしょうね。だって、周りに敵がいないんですから。おやりになりたければ遠慮せずにどうぞとw

でも、安倍総理はなぜかそうしないんですよね。理由はよくわかりませんが。

一般論として、世論調査で反対の多い政策を政治が進めることは多々あります。世論に迎合しては政治家はつとまらないなんて話もあります。実際、安倍政権は様々な論点で反対の多い政策を進めているようですが、原発に関してはかなり遠慮してる印象なのです。

安倍政権は原発推進と言われますが、実際にはその意欲が伝わってこないし、実績もゼロに近い。先の「日立・日本の1つや2つ」は少し大げさでしたが、そこまで行かないにしても、安倍首相、政権として、原発に執着する姿勢が弱い。むしろ安倍政権が日本の原発産業にダメージを与え続けているという見方が適切かと思います。

このあたり、推進派の論調も不可解なものが多いです。読売・産経の社説等も、原発推進がうまくいかない怒りの矛先は、主に反原発派や、原発ゼロを望む世論です。つまり、実質的な権限を持たない層ばかりで、推進の旗振り役の無能さを批判するケースはまれです。あるとしてもそれは殴るのではなく撫でる感じで、相当手心を加えた内容です。

そうですね、いわゆる「アベ政治を許さない」は、原発推進派こそが掲げるべきスローガンです。この話は政治が悪いんです。

そういえば、安倍総理は常々「原発依存度は可能な限り減らす」と仰っています。少し前に総裁選に出馬した石破茂氏もそうでした。その他の総理候補なんて呼ばれる方からも、原発を増やすという主張は見られません。自民党は業界的には冗談じゃないという人材ばかりのようです。


 このあたりの話は当ブログでは何度も説明しています。歴史的に、元来革新系の政党は原発推進で、社民・共産党は各々が反原発の元祖と主張するわけですが、これは大ウソです。ウソを見抜けないとすれば、推進・反対の立ち位置にかかわらず、単なる勉強不足と言わざるを得ません。

しかし、反原発の団体、有識者等は、特に外交安全保障面で革新系が掲げる政策・主張と相性がよく、その意味では左派です。一例を挙げれば、反米、米軍基地・自衛隊反対、非武装中立、親中・北朝鮮。私が常々主張している、反原発=左翼は歴史的には完全に間違いだが、俗論としては正しいというのはそういう意味です。

世論は確かに原発に反対ですが、外交安全保障面ではリアリストの側面を持ちます。そのため先の経済界の方の発言のような結果になるのです。原発反対で、その上で歯の浮くような事ばかりを並べ立てる政党・候補者は、基本的に投票の対象とはなりません。

本来、原発ゼロに右も左もないはずが、その実、反対を掲げる団体や活動家は、どうしてもその流れを「左」に寄せようとする。例えば小出先生による、北朝鮮が核兵器を持っても大したことはないなんて話に一般人が乗るわけがないのですwこのあたりが日本の原発反対論の限界であると私は見ています。

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カテゴリ: 冷やしたぬき放談

テーマ: 政治・経済・社会問題なんでも  ジャンル: 政治・経済

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