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冷やし狸庵

原発・エネルギー問題を静かに考えるブログ。

原発推進派と日本共産党は「アベ政治を許さない!」で一点共闘するべきである その3 

いよいよ本題です。その1で述べた、いま日本の原発がゼロになると、共産党としては困ったことになるという話についてです。

‖ いま、日本の原発は危機的状況にある

いきなりですが、今、日本の原発は既に危機的な状況にあるのです。ただしそれは、東日本大震災で見られたような、地震や津波で原発が危ないという話ではありません。

ここでの危機的な状況とは、推進派にとっての危機という意味です。原発事故を契機とした原子力産業の斜陽化が進み、このまま行くとゼロが避けられなくなるということです。

そしてこの問題に対して有効なを施策を講じることなく、実質的には放棄しているのが安倍政権であり、まさに業界的には「アベ政治を許さない!」ということになります。

‖ 共産党の原発ゼロと将来の活用は矛盾する

日本共産党は、原発事故を契機として原発ゼロを主張し、同時に、あまり目立たないところでは平和利用の推進を堅持しています。初心に返って安全優先で取り組めば、将来何が起きるかわからない、科学を否定しない。そのような主張です。

しかし、私の印象では、共産党が主張するような、今「ゼロ」にして、将来の活用というのは無理筋ではないかと考えます。

結論から先に言えば、将来の活用を考えるのなら、今ゼロにするわけにはいかなくなるのです。さしあたり、国内では早期の原発再稼働。同時並行的にリプレースや新増設、トップセールスによる輸出等が不可欠になるでしょう。

‖ 将来の「安全な原発」の作り手は誰か?

人は城、人は石垣、人は堀。これは戦国時代の名将・武田信玄による故事とされています。何事を行うにも人材が大切であるという話です。

そもそも論として、原子力の研究や原発の運転等、これらの職業に誰が従事するのかといえば、それは当然人ですwつまり、専門知識を学んだ研究者であり、エンジニア等ということになります。

例えば原子力を学んだ学生さんが、原発産業を就職先として考える際、やはり業界の将来性を第一に考えるでしょう。原発の将来は暗い、合コンでもモテそうにないと判断すれば、やはり別の就職先を考えるのが妥当です。

ここで、共産党が主張するように、今原発をゼロにしてしまうと、将来の原子力の担い手がいなくなるという矛盾が生じるでしょう。将来の安全な原発を目指すとしても、今が途絶えてしまうと、その先が無くなってしまうからです。

現在、世界では400基ほどの原発が稼働(民生用・総出力約4億kW)していますが、この内およそ9割で軽水炉(沸騰水・加圧水型)が採用※1されています。そのため実質的には、原発=軽水炉です。そして原子力産業の従事者も同じくらいの割合で軽水炉に携わっていると考えて差し支えないでしょう。

将来を見据えるのであれば、ひとまず現在の原子力産業の規模を維持し、従事者や志望者の将来不安を取り除き、モチベーションをもたせる。そのような施策を講じない限り、今後どのような形であれ、原発を推進することは極めて困難になると思われます。

‖ 今の原発技術・ノウハウが失われた先に未来はあるのか?

これは先の人材と共通する話ですが、原発にかんする技術の問題です。

原発は重化学工業の代表例のような存在であり、いわゆる巨大技術。そのため、そこに投入される資材や部品も膨大なものになります。

そこで、いま原発をゼロにしてしまうと、例えば今まで日本が蓄えてきた原発向けの鋳造・鍛鋼技術も失われ、将来の活用に支障をきたすことになるでしょう。

日本製鋼株式会社 原子力圧力容器用シェルフランジ
https://bit.ly/2Tg84k3

一部抜粋

原子力発電所の原子炉に用いられる鍛鋼部材です。従来は溶接を用いて製造していたこの製品を、当社では高品質な世界最大規模の鋼塊から、一体型で製造しています。絶対の安全と安心が求められる場所で、当社の鍛鋼製品が活躍しています。



圧力容器向けの部品に限らず、日本は原発の大部分について自力で製造できる技術を持っています。しかし、これらは基本的に民間主体なので、製造ラインの稼働率が長期間低迷する状況が続けば、そのうち事業を他社(他国)に譲渡せざるを得なくなり、その結果、技術が失われるでしょう。

最近の北海道新聞では、泊原発(北海道)の長期に渡る停止の影響で、北電社員の技術力の低下が指摘され始めているという記事がありました。

たしかに実際の運転を担うのは組織であり人なわけで、社内で一定数、原発にほとんど触ったことがない「原発ロス」的な社員が増えることは、今後も原発を活用していく上では問題かもしれません。これでは技術の継承にも支障をきたすことになりかねません。シミュレーションや他社で稼働中の原発での研修等では限界があります。

‖ 「安全な原発」の受け入れ先

これは原発の立地自治体の問題です。いま原発がゼロになり、既存の立地自治体との関係が切れてしまうとすれば、今後安全な原発が開発されるとしても、それの受け入れが非常に困難になると考えられます。

ここで、安全な原発ならどこでも建てられるじゃないかというツッコミもあるかもしれません。

しかし、原発に限らず、今まで世の中で絶対安全な技術※2など確立されたことはなく、極論を言えば全ての技術が危険性を抱えているのです。目一杯努力して、絶対安全とはいかないが、最悪に至るリスクは相当低い。そういうものです。原発事故で「安全神話」なんて言葉が流行りましたが、それ以前に私達の身の回りは神話だらけなのです。

そのため、今後安全とされる原発が作られたとしても、それが銀座の一等地や皇居等に建てられることはありません。受け入れ先は当然過疎地であり、今の原発の立地自治体が最有力となることは間違いありません。

となると、今原発をゼロにして、立地自治体との関係を壊すことはできなくなります。現在、自治体の多くは、早期の原発再稼働・リプレース・新増設、そして核燃料サイクルの推進を強く希望しています。

今までの話をまとめると、将来の安全な原発を目指すとすれば、現在の原子力産業の主流である軽水炉を軸として、残りを新型炉の研究開発に充てる。それが電力会社に受け入れられるように努力する。そのような流れになるのでしょう。

そして、そのようなことは既に各国が協力する形で行われています。

その4につづく


※1 なぜ今の原発の主流が軽水炉なのかというと、この手の話では、それはアメリカのリッコーヴァー海軍大佐(原子力潜水艦・加圧水型の建造に従事)の陰謀、つまりアメリカの圧力なのだというような論説を見聞きします。

しかし、世の中全てがアメリカの陰謀・圧力で事が進むほど甘くはありません。原発にも一種の序列があり、その中の競争に勝ち抜いたのが軽水炉ということになります。

軽水炉は、濃縮ウランの実用化と大型化への対応、固有安全性、核不拡散抵抗性等の面で他の規格より優位に立ち、現状の主流の座を維持しているのです。冷戦時代に原発でも覇権を争ったソ連も、チェルノブイリ事故を契機に軽水炉にシフト。冷戦後に原発の本格的な導入を進めた中国は、当初から軽水炉を導入しています。

今のところ、原発における軽水炉の優位性は、今後50、100年単位で考えても揺るがないと思われます。実際、現在建設が進められている原発はやはり軽水炉であり、それらが60年、あるいは80年稼働することが想定されるからです。

このあたりの論点については、村上知子「激化する国際原子力商戦 その市場と競争力の分析(2010/12)」等を参考にしています。

一部抜粋

 冷却材・減速材・燃料形態の異なる各タイプの炉型の開発・実用化・開発中止・廃止のプロセスを概観すると、そのポイントは結局「経済性」であることに尽きると言える。実験段階及び原型段階でいかにすばらしい技術に見えても、技術実証段階及び民間企業が採算ベースに乗せる実用段階において、他電源に対するコスト優位性を有しなければ、結局そのタイプは生き残ることができない。‥そのコスト優位性を決定する要因は、‥多くのユーザー、及びサプライヤーに支持される材料や機器が用いられているかであったと言える。



※2 安全の技術の確立といえば、共産党は、安全性が確保されていない未完成の技術である原発にきっぱりと反対してきましたなんて主張しているわけですが、これも表現としては非常に不可解に思います。

原発に限らず、世間一般の技術は基本的に未完成です。さすがに見切り発車とまではいきませんが、絶対安全が確認されるまで導入しないという話はありえないと思います。

そして共産党は、間違いなくソ連の原子力平和利用を理想としていました。しかし、1950、60年代当時のソ連が安全な原発技術を確立し、過酷事故のリスクや核のごみ問題等を克服したうえで推進していたという話は聞いたことがありません。

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カテゴリ: 冷やしたぬき放談

テーマ: 政治・経済・社会問題なんでも  ジャンル: 政治・経済

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