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冷やし狸庵

原発・エネルギー問題を静かに考えるブログ。

反原発・ニセモノ狩りの記録7 -日米原子力協定- その7 

そもそも「日米原子力協定を破棄しなければ脱原発が出来ない」という俗説を広めるきっかけを作った人物とは一体誰だったのか・・?私としてはその辺が気になるところなんです。

‖ おそらくこの人だろう

私もこの件について以前にいろいろ調べたことがあるのですが、それに該当する人物とは、実は経済評論家の池田信夫氏ではないかというのが、私の結論になります。・・いや、この方は原発推進の立場なんですけどねw

池田氏が原発と原子力協定について述べている記事を探したところ、一番古いものでは、おそらくこちらになると思います。これはご自身のブログ内での記事ですね。

池田信夫 blog 原発は「フェードアウト」できるのか
2012/11/30 https://archive.is/h3AnU

以下、記事中の特に気になる部分を抜粋し、少々私の感想も交えながら、池田氏と原子力協定についての話を進めていきたいと思います。

日本維新の会の「フェードアウト」というのもよくわからない。それが「最終的に原発をゼロにする」ということなら、44トンのプルトニウムをどうするのかという問題に答える必要がある。橋下氏によると「飯田哲也さんは、原発政策が外交政策にもリンクしていることの認識は全くないし、そのような話は聞いたことがなかった」という。



ここで述べられている話はいわゆる「余剰プルトニウム問題」のことで、池田氏はいきなりおかしなことを仰っています。飯田哲也氏はプルトニウム問題を知らないという橋下氏の発言を紹介していますが、実際のところそのようなことは全然ないわけです。

飯田哲也(いいだてつなり)‏@iidatetsunari
2012/12/2 https://goo.gl/5xJ5DX

「余剰プルトニウムは不動化」とは、日本が持つ40トン以上のプルトニウムを高レベルガラス固化(東海村再処理工場で可能)やセラミック化して、核テロから守ること。大間のプルサーマルなど高コスト・原発安全神話にすがった原子力ムラの妄想でしかない。野田民主もそれを知らないから最後にぶれた。



余剰プルトニウムは「核拡散の抵抗性を高める処置(プルトニウム不動化)」を施し、廃棄物として処分する。これは原発に反対されてる方なら当然知っているはずの基本事項であって、当然、池田氏の仰るようなことは全く当たりません。

原発をゼロにするなら、日本が核拡散防止条約(NPT)の例外として平和利用に限定して認められているプルトニウムの保有は認められない。それを認める日米原子力協定は破棄され、日本はNPT違反になるので、北朝鮮のように脱退するしかない。それは日本が核武装しないという日米同盟の根幹をゆるがすので、安保条約の破棄も覚悟しなければならない。これが民主党の「原発ゼロ」政策がわずか1週間で撤回された原因だ。



ここも所々で話が飛躍していておかしいですね。「原発ゼロ→プルトニウム保有が認められない→原子力協定破棄・NPT脱退→日米安保破棄」。

日本は国際的な公約として余剰プルトニウムを持たないことを宣言していますが、たとえプルトニウムを持つ理由が無くなったからと言って、先に挙げたチャートのような話にはなりません。当然、これが民主党の「原発ゼロ」政策が撤回された原因という話も全く当たりません。

日本が原子力技術を保有することは、維新の会の石原代表の主張する核武装のオプションをもつ上で不可欠だ。「フェードアウト」はそのオプションをなくし、日本が自前で中国の核兵器に対抗する軍事力を放棄することを意味する。



これは以前から何度も説明してきましたが、日米原子力協定とは、「日本の核武装の壁」であって、これがある限り、日本が自前で核兵器を製造し、世界に核保有国を宣言することは事実上不可能なのです。

そしてこれは、「日米」というよりも、各国間で締結される原子力協定とは、基本的にそのような性質を持つものです。核兵器がありふれたものになったら大変ですからね。

‖ イケノブ氏や2ちゃんねるからヒントを得た?

という感じで、気になる部分を引用して少し意見を述べてきましたが、ここからが本題です。

私がこの記事を読んで引っかかったのが、引用文3番目の「原発をゼロにするなら・・日米原子力協定は破棄」という個所ですね。

協定破棄論を唱える方は、もしかしたらこういう話を基にいろいろ想像を膨らませていったのではないかと思うんです。

原発をやめればアメリカとの関係が何もかも破たんする、だから民主党は原発ゼロを決められなかったという池田氏のストーリー(もちろんフィクションですよ!)を逆に考えれば、「日米原子力協定を破棄しないと原発がやめられない、すべてはアメリカによって日本の原子力政策は決められている」というような考え方をひねり出せなくもない。

これはおそらくですが、この池田氏の記事が、たとえば2ちゃんねるなどの掲示板に紹介されて、そこでいろいろ妙な解釈が加えられた上で、「まとめサイト」的なところに流れて、情報が共有されていったのが真相ではないかと私は考えています。

これは原発に限った話ではなくて、いわゆる「ネットde真実」みたいな、よくあるパターンです。こういう話に有識者の方や現役の国会議員が釣られてしまい、結果炎上というオチは枚挙に暇がありません。

‖ 善意と悪意のコラボ

場合によっては東日本の壊滅、国家的危機の可能性のあった福島原発事故ですが、これは悪い言い方をすれば、例えば売名目的・アクセス(広告収入・カンパ等)目当てのブロガー達にとっては格好の材料になる側面もあると思います。

世の中には社会問題をある種のビジネスチャンスと捉えて活動している人も少なからずいらっしゃるのでしょう。でも、当ブログはそういうのに一切興味はありませんので。

しかし、問題はそういう妙な話に「善意」の方が引っかかってしまい、問題がより複雑・深刻化してしまうことです。

善意の方というのは良くも悪くも性格的に純粋な場合が多くて、一本気になりがちなんですよね。そういう意味では善意の方は暴走しやすい(善意の暴走)と言えます。悪意と善意のコラボと言いますか、これではますます原発問題が変な方向に進んでしまいます。

最近では前滋賀県知事の嘉田由紀子氏までもがこの件で引っかかっちゃってますし。

安倍政権の原発再稼働はアメリカ様の意向だった!?
2015.11.01 http://bit.ly/2eL6y1F #日刊SPA!

一部抜粋

嘉田氏はこう続けた。「『日米原子力協定』の存在が、原発ゼロの障害になっています。矢部宏治著『日本はなぜ、“基地”と“原発”を止められないのか』がズバリ指摘していますが、この協定によって『アメリカ側の了承なしに日本側だけで決めていいのは電気料金だけ』という状態です。実際、野田政権は原発ゼロを閣議決定しようとした際、長島昭久・首相補佐官(※経産政務官より11月2日訂正)がアメリカから日米原子力協定のことを言われて、閣議決定が見送りになりました」。



・・全然ダメですね。ズバリ違うんですけどw

その8につづく


2015/11/13 追記

長島昭久‏@nagashima21
2015/11/2 https://archive.is/dt8pK

きわめて低劣な記事。私も「経産政務官」として登場するが、そんなポジションやったこともなければ、カギ括弧付きで引用されている発言内容も事実無根。記事訂正および嘉田氏に謝罪を求めている。



そりゃまあ、記事中で名指しされた長島氏も怒るでしょうね。日米原子力協定で原発ゼロがダメになったみたいな、そんなデマが堂々と記事になってしまっているわけですから。

それにしても、嘉田由紀子氏のように脱原発に理解があり、かつ教養のある方ですら「日米原子力協定の存在が、原発ゼロの障害になっています」などというデタラメを信じ込んでしまっているわけで、いかにこの俗説が原発反対論に悪影響を及ぼしているかがわかるとも言えます。

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カテゴリ: 冷やしたぬき放談

テーマ: 政治・経済・社会問題なんでも  ジャンル: 政治・経済

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