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冷やし狸庵

原発・エネルギー問題を静かに考えるブログ。

トランプ大統領の蒸し返しと再燃が予想される日本核武装論について少し考えてみる その2 

今回の内容は、現在連載中の記事とも関連しています。

‖ そもそも日米安保条約には、アメリカが日本を防衛する義務は規定されていない

トランプ大統領 “日米安保条約は不公平”
2019年6月26日 https://archive.fo/Z3yQu #nhk

一部抜粋

トランプ大統領は26日、G20大阪サミットに向かう前にアメリカのFOXビジネスネットワークの電話インタビューに応じました。



そのうえで日米安全保障条約について「もし日本が攻撃されれば、われわれは第3次世界大戦を戦うことになり、あらゆる犠牲を払って日本を守る。しかし、もしアメリカが攻撃されても日本はわれわれを助ける必要は全くない。彼らはソニー製のテレビでそれを見ていられる」と述べ、不公平だと不満を示しました。



こちらはその1で紹介した記事と同じです。トランプ大統領は安保条約について、日本が攻撃されたらアメリカは全力で守ると仰っています。そのうえで安保条約は不公平であると。

しかし、トランプ大統領の不平不満には、実は全く根拠が無いのです。なぜなら、そもそも日米安保条約には、アメリカが日本を守る義務など、どこにも書かれていないのですから。

外務省 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約
https://bit.ly/2FIS4id

第四・五条より抜粋

第四条
 締約国は、この条約の実施に関して随時協議し、また、日本国の安全又は極東における国際の平和及び安全に対する脅威が生じたときはいつでも、いずれか一方の締約国の要請により協議する。
第五条
 各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処するように行動することを宣言する。



これらを日本側のみが攻撃される想定で考えてみます。日本で有事が発生した場合は、第四条の規定により、日米間で「協議」をする。そして、第五条により、「憲法上の規定及び手続き」によって行動するとあります。安保条約は、日本の有事に際し、アメリカが自動的・無条件に敵国に武力行使するとか、そのような話ではないのです。

さらに、これらの条文を見る限り、アメリカは有事の際でも日本を防衛せず、見殺しにすることも可能と解釈できます。そして日本は、アメリカの助けを拒否して自国のみで応戦、降伏、あるいは自殺することも可能です。

第十条
 この条約は、日本区域における国際の平和及び安全の維持のため十分な定めをする国際連合の措置が効力を生じたと日本国政府及びアメリカ合衆国政府が認める時まで効力を有する。
 もつとも、この条約が十年間効力を存続した後は、いずれの締約国も、他方の締約国に対しこの条約を終了させる意思を通告することができ、その場合には、この条約は、そのような通告が行なわれた後一年で終了する。



何でしたら、第十条の規定に則り、アメリカは日本政府に条約の破棄を通告することも可能です。

‖ それでもアメリカは日本を守る義務がある

しかし、それでもアメリカは、何が何でも日本を守らなければならないのです。それは過去の記事でも明らかなとおり、アメリカの世界戦略上、日本という同盟国を失えば、直ちに超大国としての地位が脅かされることになるからです。

さらに、仮に日本で有事が発生して、アメリカが尻尾を巻いて逃げるという選択肢をとった場合。これは今までアメリカが同盟国に提供してきた安心・安全(拡大抑止)が大ウソであることがバレてしまい、途端に超大国としての信用を失い、ひいては自国民の生活レベルが著しく低下することになります。

アメリカが日本を守るか見捨てるかは自由。そして、日本は単独で応戦、降伏と自殺の権利を持つ。しかし、アメリカの世界戦略上、あるいは超大国としての威信、そして自国民の生活レベルの維持のため、トランプ大統領は喜んで日本を守らせていただきますと言わなければならないのです。それがアメリカ・ファーストを維持する唯一の道です。

‖ 居酒屋談義の域を出ない「日本核武装論」

日本が核武装を進めるとすれば、それは日米安保という、世界最強・年間予算60兆円の軍隊を実質的に保有してきた、これまでの利権を手放すことを意味します。つまり、日本の安全保障環境は今よりマイナスになることは確実です。これ以上無いものを放棄して、それより格段に劣る選択肢に執着することは現実的ではありません。

アメリカが日本の核保有を許さないのなら、ディール(取引)でなんとかなるという説もあります。しかしこれでは、アメリカをも標的に出来るフリーハンドの核保有とはならず、なら日米安保で間に合ってますというオチになります。そもそもアメリカが信用できないから(核武装)という話が多いのに、それでディールというのはおかしいですよね。

原発問題では、時折、「将来核兵器を持つためにも原発は必要」という奇妙な説が聞かれます。しかし、日本が扱う核物質は、NPTや二国間協定等の規定により、実質的には全て、現在友好関係にあるアメリカ、その他先進諸国(基本的に核保有国)の息がかかっている代物です。そのような核物質の軍事転用は国家的な自殺行為でしょう。

さらに言えば、核武装と原発は直接的には関係ありません。なぜなら、これまでに核兵器を作った国は、最初は原発なんて持っていなかったからです。アメリカやロシアがそうですし、中国やインド、北朝鮮もそうです。歴史的には核兵器の後で原発が作られたわけですから。このあたりを誤解している方が案外多い印象です。

日本が原発をやめるとしても、国内はもちろん、海外の原発の廃炉、あるいは核不拡散等の国際貢献を果たす意味でも、今後もそれらのために必要な基礎的な原子力技術は維持する必要があるでしょう。軍事・平和利用を問わず、一度核物質と関わってしまうと、当面の間は嫌でも付き合わなければならないのです。

そして、それらをどうするかは、時の政権の判断ということになるのでしょう。

- おわり -

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カテゴリ: 冷やしたぬき放談

テーマ: 政治・経済・社会問題なんでも  ジャンル: 政治・経済

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