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冷やし狸庵

原発・エネルギー問題を静かに考えるブログ。

民主党の2030年代原発ゼロ戦略、どこが間違いだったのか? 

プルトニウムの問題にかんしては、今まで「反原発・ニセモノ狩りの記録7 -日米原子力協定-1~8」、「応用編1~4」、「余剰プルトニウム物語 -頼れる核兵器材料?プルト君-1~4」等でも書いてきましたが、話のついでと言ってはなんですが、ここで2012年の民主党野田政権の原発ゼロ政策、「革新的エネルギー・環境戦略」についても触れることにします。

エネルギー・環境会議 革新的エネルギー・環境戦略
http://goo.gl/JWfL1e
http://goo.gl/0GmSNI(本文PDF)

上記リンク先の「概要」より
kaku_en.png

PDF本文より抜粋

第一の柱は、「原発に依存しない社会の一日も早い実現」。これを確実に達成するために、3つの原則を定める。これにより、第二の柱「グリーンエネルギー革命の実現」を中心に、2030 年代に原発稼働ゼロを可能とするよう、あらゆる政策資源を投入する。



こちらの「2030年代に原発稼働ゼロを可能とするよう、あらゆる政策資源を投入する・・」という話は、当時の野田首相が繰り返し述べていた話です。そのためこの辺の文言を覚えていらっしゃる方も多いのではないかと思いますが、これは今回の記事ではそれほど重要ではありません。

それより問題はこの部分です。

核燃料サイクルについては、特に青森県に国策に協力するとの観点から、ウラン濃縮施設、再処理工場、低レベル放射性廃棄物埋設を三点セットで受け入れていただいたこと、海外再処理廃棄物を一時貯蔵・管理のため受け入れていただいてきたこと等の負担をお願いしてきた。

・・

核燃料サイクルは中長期的にぶれずに着実に推進すること、青森県を地層処分相当の放射性廃棄物の最終処分地にしないこと、再処理事業の確実な実施が著しく困難となった場合には、日本原燃は使用済核燃料の施設外への搬出を含め、速やかに必要かつ適切な措置を講ずることといった約束をしてきた。この約束は尊重する必要がある。青森県を最終処分地にしないとの約束は厳守する。

・・

引き続き従来の方針に従い再処理事業に取り組みながら、今後、政府として青森県をはじめとする関係自治体や国際社会とコミュニケーションを図りつつ、責任を持って議論する。



‖ 革新的で矛盾を抱えたエネルギー・環境戦略

原発ゼロを目指して、あらゆる政策資源を投入する。もちろんこの点については評価できると思います。

しかし、同時に核燃料サイクルについては、ぶれずに着実に推進するという約束を今後も続ける(尊重・厳守)というのです。これは明らかにおかしい。原発はやめるけど再処理・核燃料サイクルは推進。ゼロなのに再処理、これでは使い道のないプルトニウムが溜まり続けるだけではないか・・?ゼロなのにサイクル(循環)とはどういうことなのか。

このような矛盾を抱えた「革新的戦略」を、国際社会はどう評価するのかと言えば、それは明らかです。「それは核不拡散の意味で危ないんじゃないか」となって、中でも一番動揺するのがアメリカです。

アメリカとしては、そもそも再処理は核拡散の抵抗性がそれほど高くないのにもかかわらずサービスした(日本側にねじ伏せられた)経緯がある。しかし案の定、プルトニウムは増える一方。そして原発をやめるのはその国の自由としても、「プルトニウムは今後も増やす」と受け取られかねない話ですから、ポネマン氏らが懸念を示したというのは当然と言えます。

民主党の原発ゼロ戦略には、原発をやめることによる対外的な課題の一番手、前段階として挙げられるはずの、「余剰プルトニウム問題」の視点が無い。これが最大の問題であったと思います。これでは国際社会からは「革新的」ではなく「野心的」とみなされても仕方がなく、たとえその気はなくとも、「47トンのプルトニウムで核兵器6000発、日本はまだまだ足りないらしい・・」と、痛くもない腹を探られてしまうのです。

‖ アメリカ陰謀論より国内のしがらみ、青森県の三村知事のほうがはるかに怖い

原発ゼロ戦略の矛盾。これの理由はいろいろあるでしょうが、その1つとして考えられるのが、先の「革新的戦略」内においても特段の配慮の跡が伺える、再処理工場を抱える青森県への対応でしょう。

当時の野田政権では青森県側への説得が不可能であると判断して、あのような矛盾したものになってしまったのかもしれません。なにしろ相手はアーミテージ氏よりケタ違いに怖い三村知事。「再処理しないと使用済み燃料を全部突っ返すぞ!」という話でしたから。

他の理由で考えられるのは、党内外のしがらみの問題で原発をやめたくなかったというのもやはり有力だと思いますが、だいたいこういうのは複合的な要因が重なるものです。

そういうわけなのですが、当時の一部のマスコミや原発反対のネットユーザーの多くが、「民主党の原発ゼロはアメリカの圧力で潰された!」というような話で盛り上がっていて、何でそういう流れにしたがるんだろうと、私は半ば呆れていたのです。こんな戦略では誰が見たって懸念を示すのは当然ですからね。圧力とか陰謀とか、そういう話が出て来る以前の問題です。

今後のエネルギー・環境政策について 平成24年9月19日 閣議決定
http://goo.gl/pvsGse(PDF)

今後のエネルギー・環境政策については、「革新的エネルギー・環境戦略」(平成 24 年9月 14 日エネルギー・環境会議決定)を踏まえて、関係自治体や国際社会等と責任ある議論を行い、国民の理解を得つつ、柔軟性を持って不断の検証と見直しを行いながら遂行する。



‖ 矛盾があるからこそ玉虫色にするしか無かった

先に挙げたような矛盾というか欠陥を抱えていた「革新的エネルギー・環境戦略」ですが、結局これは野田内閣が「戦略を踏まえて(参考文書として)、柔軟性を持って不断の検証と見直しを行う」という話を閣議決定する形で収まりました。

こういうのはいわゆる「玉虫色」ということになりますが、私はこれで良かったと思っています。だって、あのままだといろんな意味で危ないですからw

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カテゴリ: 冷やしたぬき放談

テーマ: 政治・経済・社会問題なんでも  ジャンル: 政治・経済

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