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冷やし狸庵

原発・エネルギー問題を静かに考えるブログ。

日印原子力協定について考えてみる 1 - 2008年の米印原子力協定を参考に - その1 

安倍首相のインド訪問(2015/12/11_13の日程を予定)で、安倍・モディ両首相との間で日印原子力協定の締結に原則合意したというニュースがありました。

日本としてはNPT未加盟国とは初の事例ということでいろいろ話題になっているようですが、今回はこの件について私も少し考えてみたいと思います。

日印原子力協定にかんする問題点としてよく挙げられるのが、先ほど出てきた、「インドがNPT(核不拡散条約)未加盟国である」ということ、つまりNPT加盟が先であるということ、あるいは原子力ビジネスとの兼ね合いで、「各国がNPT体制の形骸化・崩壊を容認した」というような意見でしょうか。

日印原子力協定「合意」 核拡散を促しかねない(中国新聞 社説)
2015/12/13 https://archive.is/vETSK #中国新聞

一部抜粋

NPTの枠外にいるインドには、NPT加盟を促すのが先である。核不拡散を訴えてきた被爆国の日本が原子力関連の技術を提供し、NPTの形骸化を促すようなことをしていいのか。広島市と長崎市の市長が原子力協定の交渉中止を求めてきたのは当然だろう。



日印原発協力 核不拡散の原則を壊す(朝日新聞 社説)
2015年12月13日 https://archive.is/fylU7 #朝日新聞

一部抜粋

核兵器の技術や材料の広がりを防ぐ枠組みが、いよいよ危うくなっている。商業的な利益を目当てに各国が核武装国へも原発を売り込もうとする流れに、被爆国日本までが加わった。

・・

 インドは核不拡散条約(NPT)に加わらず、核兵器を保有した国だ。やはり条約への参加を拒んで核武装した隣のパキスタンと緊張関係にある。
 そんな国に原子力技術を提供することは、国際社会が長年積み上げてきた核不拡散の地道な努力をないがしろにし、不拡散体制をさらに形骸化させる愚行というべきである。



このような意見は今回取り上げた社説以外でもいろいろ見聞きしますし、たしかに同意できる部分もありますが、必ずしもそうではないとも私は考えています。

‖ 原子力供給国はNPT体制の形骸化を容認していない

現在のインドと原子力技術や資源を持つ国が原子力協力を行うきっかけを作ったのが、2008年の「米印原子力協定」になります。もちろん当時もNPTや核不拡散等で議論になったようですが、別にアメリカはインドを核保有国として認めたわけでもなく、核不拡散体制の崩壊を容認したわけでもありませんでした。

米印原子力協定の主旨はあくまで「原子力の平和利用の協力」ですから、仮にインドがこれ以上の核実験、あるいは平和利用に反する行為を行えば協力から手を引くし、例えば原発であれば燃料供給もストップすると、そのような内容になっています。当時議論になった核燃料の供給保証も、これは災害や紛争などの不可抗力による供給問題が生じた場合の措置であり、たとえ核実験をやっても燃料を売るという意味ではありません。

協定に加え、「ヘンリー・ハイド米印平和利用原子力協力法(2006)」も根拠になっていますし、あるいは1974年のインドの核実験に対抗して作られた「原子力供給国グループ(NSG)」も、有事の際は甘い顔はしないぞ、ということになっています。

‖ 日印原子力協定

核実験後のインドと各国間の原子力協力は、実質的には2008年の米印原子力協定がベースになっているわけですから、決して国際社会がインドを正式な核保有国として認めたわけではなく、核不拡散体制の崩壊を容認したわけでもないということで、今回の日印原子力協定についても、従来の流れを逸脱するような内容にはならないことが予想されます。

各国のインドとの原子力協定によって、NPT体制の存続に過度に悲観的になることもないでしょうし、逆にインドの事例を根拠に、核(原子力)の軍事利用と平和利用の両立が可能になったと解釈するのは勘違いが過ぎるということでしょう。

その2につづく

 国際的に正式に認められる核保有国(という説明はどうも変な感じですがw)は、米・露・英・仏・中の5か国に限られます。NPTの条文9条3項には、『この条約の適用上、「核兵器国」とは、千九百六十七年一月一日前(1967年1月1日前)に核兵器その他の核爆発装置を製造しかつ爆発させた国をいう。』と表記されています。そしてインドは一貫してNPT自体を認めておらず、核兵器を持ちながら「核兵器の廃絶を目指す」と主張しています。

今回お出しした資料以外では、例えば外務省調査月報(2009年度)内の福井康人「米印合意の功罪 」 、日本軍縮学会会報誌「軍縮研究」の2012年4月号、「米印原子力合意の再考―1998年以降の米印交渉に着目して―(中西 宏晃)」も参考にしています。

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カテゴリ: 冷やしたぬき放談

テーマ: 政治・経済・社会問題なんでも  ジャンル: 政治・経済

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