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冷やし狸庵

原発・エネルギー問題を静かに考えるブログ。

日印原子力協定について考えてみる 4 - インドに平和利用の保証がないという上から目線 - その2 

原発を維持・推進することが、同時に核オプション(核武装の選択肢)を保ち続けることを意味し、これが日本にとっての安全保障・抑止力に資するという考え方が、潜在的核武装(核抑止)論になります。

日本は長年原子力の平和利用と言い続けてきたのに、そんな話は許されないと思われる方も多いかもしれませんが、このような考え方はかなり以前からあったようですし、現在もコアなファンの方が一定数存在するというのが実情なのです。

‖ 原子力の平和利用と軍事利用の両立を堂々と語る人たち

潜在的核武装論の熱心なファンとして、比較的最近の事例から考えて、真っ先に思い浮かぶのが自民党衆議院議員の石破茂氏になります。

石破茂氏 「核の潜在的抑止力」維持のため原発続けるべき
2011.09.21 https://archive.is/Ow0ez #NEWSポストセブン

一部抜粋

石破:私は核兵器を持つべきだとは思っていませんが、原発を維持するということは、核兵器を作ろうと思えば一定期間のうちに作れるという「核の潜在的抑止力」になっていると思っています。逆に言えば、原発をなくすということはその潜在的抑止力をも放棄することになる、という点を問いたい。



この話は同時期の報道ステーション「原発再稼働 私はこう思う」というシリーズでも石破氏が同様の発言をしていたので、ご存じの方も多いかと思います。




先ほどの記事も含め、このような発言はなかなか危うい話のようにも思いますが、今ご本人に伺ったとして、「あれは野党時代の冗談だよw」ということになるのがオチでしょうか。

次に出て来るのが、これは以前も紹介しましたが、拓殖大学の森本敏教授です。この方も原発推進のフォーラムなどで積極的に原発=核抑止という持論を述べてきましたし、原子力委員会の会合では阿部信泰委員からたしなめられたという記事も紹介しました。危機管理や軍事のスペシャリストを自認されている方が、原発は核抑止になるのだと、むしろ原子力ムラを後ろから撃つ行為を繰り返しているわけですね。

森本氏と阿部氏のやり取りに関しては、最近の毎日新聞の記事にも詳しく書かれていましたので、こちらもどうぞ。

戦後70年・核回廊を歩く 日本編/62 潜在的抑止力
2015年12月10日 https://archive.is/bhRsj #毎日新聞

一部抜粋

「尊敬する先生ではあるが、この点は意見が違うと申し上げる」。軍縮担当の国連事務次長などを歴任した原子力委員会委員の阿部信泰(70)は一瞬、間を置きこう続けた。「青森県六ケ所村の再処理施設を軍事利用する計画はないし、考えてもいない。抑止力のために六ケ所が必要だと言う人がいるが、そう言ってほしくない。言った途端に(他国から)『そらみろ』となる」。11月5日に開かれた原子力委員会。普段はゆっくりとした口調で話す阿部だが、よほどかんに障ったのか早口だ。阿部の視線の先には、森本敏・元防衛相(74)の姿があった。

・・

その直前、森本は「中国、ロシア、北朝鮮、台湾や韓国も平和利用で原発を持っている。周りで一切捨てている国がない時に、日本だけがぽっと捨てるということは、日本が抑止の機能を捨てるということ。それは望ましい選択ではない」と持論を展開した。



そして忘れてはいけないのが、潜在的核武装論の本家本元とも言える、外務省の存在ですね。

外務省 わが国の外交政策大綱 外交政策企画委員会(PDF)
1969/9/25 https://goo.gl/n1I7XV

一部抜粋(核兵器に関してはP67)

(9) 核兵器については、NPTに参加すると否に関わらず、当面核兵器は保有しない政策を取るが、核兵器製造の経済的・技術的ポテンシャルは常に保持するとともにこれに対する掣肘(=せいちゅう、干渉の意味)をうけないよう配慮する。又核兵器一般についての政策は国際政治・経済的な利害得失の計算に基づくものであるとの趣旨を国民に啓発することとし、将来万一の場合における戦術核持ち込みに際し無用の国内的混乱を避けるように配慮する。



これは2010年の、いわゆる「核密約」が話題になった時に外務省が公開した機密文書になります。このとおり、当時からNPTなんか関係ないのだと、少なくとも外務省としては考えていたのでしょう。当時で言えば、茨城県の東海原発(1966-1998)あたりを念頭に置いていたのかもしれませんね。

おそらく、外務省としてはこの潜在的核武装という政策を今も放棄していないのではないかと思います。そして当然、特定の政治家や知識人、評論家等に「教育」しており、先ほどの石破氏や森本氏も教え子の1人ということなのかもしれません。文章の後半部分に当たる「又核兵器一般についての政策は・・」という話は、これは話が抽象的といいますが、私にはちょっとわかりにくいです。

そして極めつけになるのが読売新聞ですね。

日印首脳会談 原発協力は戦略的関係の柱だ(読売新聞 社説)
2015年12月15日 https://archive.is/V3xJS #読売新聞

一部抜粋

インドは、核拡散防止条約(NPT)に未加盟の核保有国だ。2008年に核実験凍結の継続などを対外的に表明している。
 安倍首相は会談で、核実験が行われた場合、協力を停止する方針を伝えた。協定は、平和目的の協力に限り、軍事転用に明確な歯止めをかける内容にすべきだ。
 政府はインドに対し、核不拡散の国際的な枠組みに参加し、核軍縮を進めるよう、粘り強く促し続けることが重要である。



インドに関しては核不拡散の点については各紙共通しているので、読売の社説でもこの点は正しい意見だとは思います。

しかし、読売新聞は4年前の社説で、日本の脱原発政策を批判する社説でかなりきわどい事も書いていたわけですが。

展望なき「脱原発」と決別を 再稼働で電力不足の解消急げ(読売新聞 社説)
2011/9/7 http://archive.is/e9hli #読売新聞

一部抜粋

日本は原子力の平和利用を通じて核拡散防止条約(NPT)体制の強化に努め、核兵器の材料になり得るプルトニウムの利用が認められている。こうした現状が、外交的には、潜在的な核抑止力として機能していることも事実だ。



まあこんな感じですから、私にはインドよりも先に「日本には平和利用の保証がない」とか、「平和利用の確約が未知数」みたいな話にも思えてくるのです。

‖ しかし両立はできない

原発が核抑止になるというような話は「空しい政治的願望」で、原発推進の邪魔にしかならないからやめてくれという、原子力ムラの重鎮である遠藤哲也氏の発言は以前も紹介しました。遠藤氏は今回紹介した記事の「戦後70年・核回廊を歩く」にも登場しています。

この件については、軍事評論家の小川和久氏の論文も参考になるかと思います。まだご覧になったことのない方はどうぞ。

「日本核武装論」は机上の空論である 小川和久 (静岡県立大学特任教授 / 特定非営利活動法人国際変動研究所理事長 / 軍事アナリスト)
2015年6月11日 https://archive.is/XsZeq #ポリタス

一部抜粋

『ポリタス』編集部からの依頼は、潜在的核武装技術と原子力発電の関係について、以下の3つの要素を視野に入れて執筆せよというものである

1)日本の核武装の現実性(技術力・開発期間・NPT=核拡散防止条約との関係など)
2)日本の潜在的核武装技術保持による抑止力の実効性
3)潜在的核武装技術保持するために、原発の新・増設やリプレースを行い原発を維持すべきか

しかしながら、いわゆる「日本核武装論」をリアリズムの観点からながめると、「ナンセンス」としか言いようがない。設問自体が根拠のない一般論でしかなく、成り立たないからである。



その3につづく

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カテゴリ: 冷やしたぬき放談

テーマ: 政治・経済・社会問題なんでも  ジャンル: 政治・経済

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