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冷やし狸庵

原発・エネルギー問題を静かに考えるブログ。

日印原子力協定について考えてみる 6 - インド原発ビジネスの見通しは - その2 

原発の輸出競争力に強みを持つ国といえば、次に来るのは韓国ではないかと思います。

韓国は原発輸出の実績は少ないのですが、輸出における最大の武器ともいえる価格競争力に関しては、先回紹介したロシアよりも強いのです。OECD/NEA・IEA「Projected Costs of Generating Electricity 2010 Edition」によれば、業界最安値は韓国になります。

‖ 原発輸出と価格競争力

韓国の原発輸出といえば、世界の原子力関係者を驚愕させた事件である「UAEショック(2009)」が記憶に新しいところです。UAE、アラブ首長国連邦における原発建設プロジェクトを、日本・アメリカ・フランスといった並居る強豪を退け、最終的に韓国が受注したのです。

原発輸出で求められるのは第一には価格ということで、UAE案件については具体的な金額は推測の域を出ないようですが、韓国は他国に比べて3割~4割低い提示額だったという原子力関係者の話もあり、確かにこの点では韓国には強みがあるということになります。

UAEショック、日本の敗因 朝日新聞GLOBE特集記事「日本の原発を中東で売る」より(内容から2010年の記事と思われます)
2010/? https://goo.gl/pgThRz #朝日新聞GLOBE

一部抜粋

昨年12月26日。土曜日の首相公邸に首相(当時)の鳩山由紀夫や経済産業省の幹部らが集まり、中東からの電話を待ち構えていた。アラブ首長国連邦(UAE)アブダビ首長国のムハンマド皇太子からの電話だ。原発の入札結果の公表を目前に控えていた。
「一にも二にも価格です。韓国の方が安かった」。最後まで入札に残っていた日米連合とフランスが、韓国に敗北したという事前の通知だった。2人の会話は、通訳を介して約30分続いた。「将来は計14基の原発を造りたい。ぜひ加わってほしい」。皇太子の言葉に、鳩山は「これからも両国の友好関係を築いていきたい」と応じた。

・・

最終的に、入札に勝った韓国の原発建設の受注額は約200億ドル(約1兆7300億円)で、日米やフランスの提示額より3~4割も安かったという。



実際には記事にもあるとおり、価格以外でもさまざまな「おまけ」もあり、UAEからの受注に至ったということになります。この辺は先回紹介したロシアの事例にも共通する点がありますが、安くておまけがたくさんつくというのが原発輸出における必要条件になるのでしょう。

もちろん、今回の連載で話題にしているインドにおいても、韓国は受注獲得に向けて動いています。

新興国に原発輸出拡大=関連技術維持の思惑も—政府
2015/12/12 https://archive.is/wOGkf #時事通信

一部抜粋

インドは、経済発展に伴う電力需要の増大に対応するため、2032年までに原発の発電能力を現行の10倍超に当たる計約6300万キロワットに引き上げることを計画。既にフランスや韓国、ロシアなどがインドへの原発輸出に動いている。



‖ ライバルは今後も増えていく

ロシア・韓国と続いて、その次に来るのはどこなのかといえば、その潜在力という観点から考えると、やはり中国になるのでしょうか。輸出において第一には価格という観点から考えると、韓国と最安値を競い合っていることもあって、世界の原子力関係者が今後の動向を注視しているのが実情です。

中国の輸出用と位置付けられている原発は、これは以前も紹介しましたが「華龍(竜)1号」と言います。これは既にパキスタンやイギリス、アルゼンチンなどに輸出が予定されています。なお、パキスタンに関しては既に建設に着手(コンクリート打設=基礎にコンクリートを流し込む作業)したとの報道もあります。

JAIF:一般社団法人 日本原子力産業協会 中国:「華龍一号」設計の2基目の実証プロジェクト、福清6が正式着工
2015/12/24 https://archive.is/WfZZM #原子力産業新聞

一部抜粋

CNNCが国外で建設する「華龍一号」第1号としてパキスタンのカラチ原子力発電所で2号機(110万kW)のコンクリート打設が行われたほか、英国のブラッドウェルB原子力発電所(2基)建設計画に同設計を採用するため、CGNは同設計を英国の設計認証審査にかける方向でEDFエナジー社と10月に原則合意。11月には、アルゼンチンで建設される5基目の原子炉に同設計を採用することで、CNNCが同国の国営原子力発電会社と協力枠組協定を締結した。



インドと中国といえば、国境問題などの政治的・軍事的な対立があることが知られていますが、近年は特に経済の分野においては両国が急接近しているというのが実情です。

そして原子力の分野においても両国間の歩み寄り、協力関係が構築される可能性も出てきました。インドが中国製の原発を導入することも当然想定されるでしょう。

インド:首脳会談 中国から今後5年間2.2兆円の投資
2014年09月18日 https://archive.is/vB1QI #毎日新聞

一部抜粋

中国の習近平国家主席とインドのモディ首相は18日、インドの首都ニューデリーで会談し、中国が今後5年間で200億ドル(約2.2兆円)の投資を行うほか、原発輸出などを可能とする原子力協定の交渉を始めることで一致した。



このように、韓国・中国といった、例えるなら「原発輸出新興国」が、今後インドにおいても存在感を発揮することはほぼ間違いなく、価格競争力や各種サービス合戦において、この点で劣勢に立たされているアメリカやヨーロッパ、日本が受注を獲得するのは容易なことではないでしょう。

そしてこれはインドに限らず、今後の原発輸出全般にも当てはまることだと思います。少なくとも、アメリカだから、日本製だからといったブランドイメージでみんな喜んで買ってくれるとか、そのような状況にはないということです。

その3につづく


2016年1月23日 追記

もちろん、米・仏・日などの原発輸出先進国(輸出においては実質日本も新興国なのですが)も、インドはコストや条件面は別に、「技術導入」の目的で受注する可能性はありますし、おそらく一部は実現するでしょう。

しかし、技術導入をするからにはインドも将来的な国産化・輸出をも考えているでしょうし、いずれにしてもインドの原発市場は狭き門ではないでしょうか。インドが実際に輸出を手掛けることになれば、中国に続く新たな新興国(競争相手)が台頭することにもなります。

しかし、インドのように現行の核不拡散体制(例:NPT)に真っ向から反対しているような国家が将来原発を輸出できるようになると、これはまた別の問題が生じることにもなるでしょうし、この辺は一体どうなるんだろうと、ちょっと考えてしまいました。

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カテゴリ: 冷やしたぬき放談

テーマ: 政治・経済・社会問題なんでも  ジャンル: 政治・経済

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