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冷やし狸庵

原発・エネルギー問題を静かに考えるブログ。

そもそも北朝鮮の「人工衛星」はいつから「事実上のミサイル」だったのか? 

北朝鮮の話題に関しては先回の記事で終了と考えていたのですが、話のついでのような感じで「そもそも日本や国際社会はいつから北朝鮮の衛星をミサイルであると認識するようのなったのか?」と考えるようになって、再度この話題ということになりました。

北朝鮮シリーズはこれで3回目になりますが、結論としては2回目で終了しているので、実質的には今回の記事が2回目という位置付けになります。

‖ 人工衛星は当初からミサイルだった

公的機関のサイトや手元の資料で調べた結果、北朝鮮が人工衛星らしき物を打ち上げたのは、1998年8月31日の「テポドン1号」が最初であったと思います。あの日本の上空(領空)を通り越して大騒ぎになったテポドンです。今ではすっかり日本でも定着した感のある、あのテポドンです。

ここで、「おいおい、テポドンはミサイルじゃないか!」と仰る方も多いかもしれませんが、当時の発射実験は9月4日付の北朝鮮の公式発表(朝鮮中央通信社)としては「人工衛星」という位置付けでした。

もちろん、当時の日本政府や国際社会も純粋な科学技術振興としての衛星実験であるとはまともには受け止めず、基本的にはミサイルであるという前提であったようです。

防衛庁 平成11年度 防衛白書 第2節 北朝鮮によるミサイル発射と防衛庁の対応
1999 https://archive.is/yUzGr

一部抜粋(1999年度版防衛白書はこちらになります)

北朝鮮は、弾道ミサイルの開発を進めており、昨年8月31日、北朝鮮東部大浦洞(テポドン)付近のミサイル発射施設から、「テポドン1号」を基礎としたと見られる弾道ミサイルを何らの警告もなく発射した。ミサイルの一部は日本海に落下し、更に一部が日本の上空を通過し三陸沖の太平洋に落下したと推定される。この事実から、北朝鮮は日本全域をカバーし得るミサイルを製造する技術を保有するに至ったことが明らかであり、日本の安全保障に直接かかわるものとして極めて憂慮すべき事態である。



防衛庁 平成11年度 防衛白書 第2節 北朝鮮によるミサイル発射と防衛庁の対応 (4) 打ち上げ目的の分析
1999 https://archive.is/YA5t8

一部抜粋

  通常の弾道ミサイルの発射実験であれ、人工衛星の打ち上げであれ、多段階推進装置の分離に関する技術、姿勢制御、推力制御に関する技術などの試験を行う必要があることは共通しており、今回の発射により、北朝鮮は、長射程のミサイル開発のために必要なこれらの技術などを検証し得たものと推定される。
  人工衛星の打ち上げについては、長期にわたる計画が必要とされるが、北朝鮮が以前からミサイル開発とは別に人工衛星に関する計画を持っていたことを明確に示す具体的な事実、例えば、通常人工衛星を打ち上げる前段階として行われる観測、研究用ロケットの打ち上げを行ったとする情報は確認されていない。
  他方、北朝鮮は過去に弾道ミサイルの開発を目的としたと見られるミサイルの発射の実績を有するとともに、他国への移転をも含め、将来的な開発についても一定の計画を有していると見られる。



2002年の外務省の記事になりますが、98年の騒動を振り返って、あれはミサイルであったという話も掲載されています。

聞きたい!知りたい!外務省 STOP!死の宅急便 ―大量破壊兵器の運搬手段となる弾道ミサイルの拡散問題とMTCR― 水内龍太兵器関連物資等不拡散室室長に聞く
2002/7/9 https://archive.is/fFG8S

一部抜粋

齋藤:北朝鮮のテポドン問題に対して北朝鮮は「これは平和利用のロケットである」と発表されたと思いますが、それに対して日本政府はどのような対応をしたのですか?

水内:98年の8月31日にミサイルが日本上空を通過しました。日本政府はこれを弾道ミサイルであると判断しました。その経緯については、詳しくは防衛庁のホームページに載っています。総合的に判断した結果、人工衛星という主張を受け入れることはできなかったということです。 日本政府の当時の対応としては、8月31日に、日本や北東アジアの安全保障の観点から、弾道ミサイルの発射を極めて遺憾であるということを表明しました。



それから当時のNHK「クローズアップ現代(この頃からあったとは!)」でも北朝鮮の特集が組まれていて、こちらもタイトルが「ミサイル」とストレートな表現になっています。

クローズアップ現代 “テポドン”の衝撃~検証・北朝鮮ミサイル発射~
1998/9/7 https://archive.is/K7MKp #nhk

日本上空を飛び越えて、太平洋に着弾したテポドン。 今夜は、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)が発射したミサイルの衝撃を伝える。



国連安全保障理事会も、プレス声明という形(報道機関向け、ニュアンスとしては弱め)で北朝鮮に対して抗議の意志を表明しています。

JAEA 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 核不拡散・核セキュリティ総合支援センター 核不拡散ニュース No.0021
2006.07.13 https://goo.gl/qz1fqg

一部抜粋

1998年のテポドン-1発射においても、国連安保理ではミサイル発射を遺憾とするプレス声明草案を採択しており、・・



当時の北朝鮮は、再三にわたり核開発疑惑が取り沙汰されてNPTを脱退(正式に受理はされていませんが)した経緯もあり、金正日体制による軍事優先の「先軍政治」を掲げながら、そこで科学技術の発展を人民に還元するもないだろうと、そういう話を真に受けるわけにもいかないという事情もあったのでしょう。

このようなわけで、実質的には当初から日本(国民感情としても)及び国際社会も、北朝鮮の衛星を衛星であるとは認めていなかったということになろうかと思います。

‖ 「事実上のミサイル」という言い回しのルーツは

マスコミの共通した報道姿勢と言いますか、北朝鮮ネタではお約束となった「人工衛星と称する事実上のミサイル」というようなワードが共通用語として成立するようになったのはいつからなのか?

これはおそらく、2006年10月9日の北朝鮮初の核実験が契機になったのだと思います。私としてはこれ以降、北朝鮮の衛星実験を「事実上の・・」と報じるスタイルが定着したような、そんな印象なのですが。

安保理決議の批判声明も従来よりも厳しくなり、衛星は表向きに過ぎないということで、やはり事実上ともなるでしょう。実際の北朝鮮の行動パターンとしては、核実験を行った後に衛星実験という感じになっていますからね。

‖ 状況が良い方向に向かっていないことは確か

今回は北朝鮮の衛星ネタについて98年から現在までを振り返ってみましたが、98年当時は核疑惑国であった北朝鮮が、現在は核保有国を宣言し、既に4回の核実験を行っています。核実験は現行の金正恩体制で既に2回目ということで、早くも先代に追いついてしまいました。

テポドン1号に搭載されていたという人工衛星「光明星1号」ですが、先日の衛星実験では4号になっています。ミサイルと衛星の技術も幾分進歩しているのではないでしょうか。もちろん、どちらにしても目的は同じことですが。

核技術の移転では、北朝鮮とパキスタン(1998年に核実験を実施)との関係、いわゆる「核の闇市場」も話題(2004年に判明、これは北朝鮮だけに限った話ではなかったようですが)になりました。

こちらに関しては、先月北朝鮮が否定する報道もありましたが、「自主権を損害しない限り」という条件付きと、なんとも意味深なものになっています。これもある種の脅しの材料・外交カードのうちということでしょうか。

外交や軍事、核軍縮等に関する有識者によると、北朝鮮情勢は過大評価も過小評価も禁物と言われています(私もそう思います)が、ここ20年余りを見渡すと、状況は良い方向に進んでいない事だけは確かと言えるでしょう。

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カテゴリ: 冷やしたぬき放談

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