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冷やし狸庵

原発・エネルギー問題を静かに考えるブログ。

トランプ氏の「日韓核武装容認発言」の問題点について少し考えてみる 

トランプ氏、「日韓は独自で核兵器保有を」 核保有容認を示唆、NATOに対して痛烈批判 ロイター
2016年03月28日 https://archive.is/LPi0n #東洋経済

一部抜粋

米大統領選の共和党候補指名争いでトップを走る不動産王ドナルド・トランプ氏は、日本と韓国について、北朝鮮や中国から自国を防衛するために、米国に依存するのではなく、独自で核兵器を製造することを容認する可能性を示した。
ニューヨーク・タイムズ紙のインタビューで述べた。



最近起きた事件で印象に残っているのが、前回挙げたベルギーのテロと乙武氏問題ですが、トランプ氏の「日韓核武装容認発言」というのもありましたよね。主にコスト面、いわゆる「安保ただ乗り論」への批判というのがその最大の理由だそうですが。

当然こんな発言をされてしまうとアメリカ国内どころか国際社会が驚愕するわけで、各国政府や高官などがトランプ氏の発言に苦慮している様子が報じられています。

もちろん私としてもトランプ氏の発言は全く同意できないわけですが、かと言ってトランプ氏を批判する根拠として、私は「日本は唯一の被爆国で広島長崎が・・!」みたいな、よくある浪花節的な話には全く興味はありません。この点については過去の記事でも何度も述べてきたところですが。

‖ 浪花節を排したトランプ氏への疑問

それでは浪花節抜きで「トランプ発言」の何が問題かという点ですが、私がトランプ氏の記事を見て真っ先に頭に思い浮かんだのは、NPT(核拡散防止条約)の前文及び第1条、それから第3条ですね。

日本原子力研究開発機構 核不拡散科学技術センター 核兵器の不拡散に関する条約(NPT)
https://goo.gl/9EFm7a

前文より一部抜粋

この条約を締結する国(以下「締約国」という。)は、

核戦争が全人類に惨害をもたらすものであり、したがって、このような戦争の危険を回避するためにあらゆる努力を払い、及び人民の安全を保障するための措置をとることが必要であるとし、

核兵器の拡散が核戦争の危険を著しく増大させるものであることを信じ、

核兵器の一層広範にわたる分散の防止に関する協定を締結することを要請する国際連合総会の諸決議に従い、

平和的な原子力活動に対する国際原子力機関の保障措置の適用を容易にすることについて協力することを約束し、・・



前文を少し読むだけで、いかにトランプ氏の発言が非常識であるかが理解できるというものです。彼の発言を実行に移すことによって、核戦争の回避や核不拡散を徹底するためのNPT(核不拡散防止条約)を真っ向否定しまうからです。

NPT以外にも核不拡散に関する条約等はいろいろあります(一例は後述します)が、これらは基本的に相互補完の関係にあり、仮にトランプ氏の発言のとおりになるとすれば、結局は全てを否定することにもなります。

第1条 核兵器国の不拡散義務より抜粋

締約国である核兵器国は、核兵器その他の核爆発装置又はその管理をいかなる者に対しても直接又は間接に移譲しないこと及び核兵器その他の核爆発装置の製造若しくはその他の方法による取得又は核兵器その他の核爆発装置の管理の取得につきいかなる非核兵器国に対しても何ら援助、奨励又は勧誘を行わないことを約束する。



そして第1条ですが、核兵器国は非核兵器国に対して核武装に関する援助や奨励、勧誘を行ってはいけないとあります。よって、トランプ氏の発言はNPTの第一条に違反している可能性が高いと言えます。

ちなみに第二条は、「非核兵器国の拡散回避義務」で、これは直接・間接的に悪い誘いを受けてはいけないという話です。たとえ日韓が核武装を誘われてもできない理由の1つがこれになります。誘っても誘われてもダメなのです。

第3条1項より一部抜粋

締約国である各非核兵器国は、原子力が平和的利用から核兵器その他の核爆発装置に転用されることを防止するため、この条約に基づいて負う義務の履行を確認することのみを目的として国際原子力機関憲章及び国際原子力機関の保障措置制度に従い国際原子力機関との間で交渉しかつ締結する協定に定められる保障措置を受諾することを約束する。・・



第3条は保障措置(核査察の意味。例:IAEA憲章第3条A5及び第12条)についての条文ですが、仮にアメリカが他国に核武装をそそのかすような事態になれば、もはやNPTもIAEAも原子力の平和利用に関する二国間協定等もその効力を失い、そして国連の権威も相当程度低下し、それは国際的な核秩序の崩壊を招くことになるでしょう。

もしそんなことになったら、アメリカの安全保障に関する予算や人的な負担は現在とは比較にならないほど膨れ上がり、結局は高くついてしまうでしょう。

もちろんこんなムチャクチャな話はあってはならないわけで、出火元のアメリカでは政府高官が事態の鎮静化に奔走し、日韓核武装論は破滅的という発言さえ出ています。オバマ大統領も名指しでトランプ氏を批判するわけです。

アメリカの国益を第一に考えていると言われるトランプ氏の発言が、既にアメリカの国益を損ねているとも言えるでしょう。

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カテゴリ: 冷やしたぬき放談

テーマ: 政治・経済・社会問題なんでも  ジャンル: 政治・経済

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