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冷やし狸庵

原発・エネルギー問題を静かに考えるブログ。

アメリカが核燃料サイクル政策に難色を示すことは別に異例ではない その2 

‖ アメリカが日本のエネルギー政策を決めるわけではない

米高官 核燃料サイクルに反対も日本に放棄求めず
2016/4/2 http://archive.is/mUnmH #nhk

一部抜粋

アメリカ政府高官は、原子力発電所の使用済み核燃料からプルトニウムを取り出して再利用する核燃料サイクルについて、核テロの危険性が高まるなどとして反対する姿勢を示す一方、日本に対しては政策の放棄を求める考えはないと強調しました。
アメリカ国務省で核の不拡散などを担当するカントリーマン次官補は1日、NHKとの単独インタビューに応じました。
この中でカントリーマン次官補は、原発の使用済み核燃料を再処理しプルトニウムを取り出して再び利用する核燃料サイクルについて、プルトニウムが増えテロリストの手に渡るリスクが高まるなどとしたうえで、「経済的にも割に合わないし、周辺国の懸念も強めるので、核不拡散という観点からはどこの国もやるべきではない」と述べ、反対する姿勢を示しました。
その一方で、日本の核燃料サイクル政策については「アメリカとして容認したり反対したりする立場にはない」と述べました。



これは先回の記事から数日後の話になりますが、渦中(?)のアメリカ国務省カントリーマン次官補が、全ての国が再処理事業から撤退することが喜ばしいという見解を堅持しつつも、日本に政策の放棄を求めているわけではないと、自らの発言を訂正したというニュースです。

今回のニュースも先回と同様になりますが、まあそうだよねというのが私の率直な感想です。カントリーマン氏が仰る「アメリカとして容認したり反対したりする立場にはない」というのは、確かにそのとおりだからです。アメリカには他国のエネルギー政策に「やれ・やるな」というような権限などないわけですから。

‖ アメリカには「核拡散容認派」など存在しないはず

今まで、特にアメリカ・カーター政権下における日米再処理交渉に関する話は何度か触れてきましたが、原子力・再処理関連のニュース等では、特に核不拡散への取り組みが熱心なアメリカの議員を「不拡散派」と分類する傾向が見られます。

しかし、これはちょっとおかしな分け方だろうと私は考えています。なぜなら、核兵器の不拡散こそがアメリカが長年堅持してきた国策であり、当然そこには核兵器の拡散を容認・推奨する「拡散派」と呼ばれるような集団は存在しないはずです。

それでもあえて「不拡散派」にこだわるならば、「不拡散強硬派(=平和利用であっても軍事技術への転用を常に疑い、注視を怠らない)」と「不拡散穏健派(=平和利用に専念する信頼度の高い国には一定の理解を示す)」といった分類の方法は可能であると思います。

‖ 核不拡散と原子力の平和利用は両立し得るという結論

核兵器の不拡散がアメリカの国策ということは、これは超党派的な性質を帯びたものであることは言うまでもなく、例えば「民主党は核不拡散に厳しいが、共和党は優しい」みたいなことではありません。先ほどの日米再処理交渉の件においても、その発端となったのはフォード政権下(共和党)であり、当時の大統領選の大きな争点が核不拡散でもありました。

そしてカーター政権では日本の再処理を何とか遅らせよう(出来ればやめてほしい)と画策して、その一環として就任直後の1977年4月に、核不拡散と原子力の平和利用は両立し得るかを評価させるための国際会合「国際核燃料サイクル評価(INFCE)」を提唱(会合は同年10月~1980年2月まで)したのですが、そこで出された結論が「保障措置の強化によって核不拡散と原子力の平和利用は両立し得る」という、カーター大統領の思惑とは正反対の結果になってしまったのです。

INFCEでの結論に加え、例えばNPTやIAEA憲章の条文等が示す通り、日本が原子力の平和利用に徹している状況で、基本的にアメリカが一方的に再処理をやめさせるような権限や法的な根拠はおそらくないのだろうと思います。日本が密かに軍事利用のための技術的な研究を進めているというようなことはないわけですから。

日本原子力研究開発機構 核不拡散科学技術センター 核兵器の不拡散に関する条約(NPT)
https://goo.gl/9EFm7a

前文より一部抜粋

核技術の平和的応用の利益(核兵器国が核爆発装置の開発から得ることができるすべての技術上の副産物を含む。)が、平和的目的のため、

すべての締約国(核兵器国であるか非核兵器国であるかを問わない。)に提供されるべきであるという原則を確認し、・・



第4条1項より抜粋

1 この条約のいかなる規定も、無差別にかつ第一条及び第二条の規定に従って平和的目的のための原子力の研究、生産及び利用を発展させることについてのすべての締約国の奪い得ない権利に影響を及ぼすものと解してはならない。



日本原子力研究開発機構 核不拡散科学技術センター 国際原子力機関憲章(IAEA)
https://goo.gl/KX7lGy

第2条より抜粋

機関は、全世界における平和、保健及び繁栄に対する原子力の貢献を促進し、及び増大するように努力しなければならない。機関は、できる限り、機関がみずから提供し、その要請により提供され、又はその監督下若しくは管理下において提供された援助がいずれかの軍事的目的を助長するような方法で利用されないことを確保しなければならない。



‖ 再処理は国内問題、アメリカの本音としてはやめてほしい

これも私が今まで何度か書いてきたことではありますが、原発にしても核燃料サイクルにしても、続けるかやめるかは日本側の政策決定次第であり、すなわち、第一義的には国内問題ということです。

少なくとも日本が核燃料サイクル政策を断念すれば、アメリカはものすごく感謝することだろうと思います。非核兵器国で唯一再処理の権利を保有する日本がそれを放棄して、各国に向けて再処理をする政策的な意味がないことを宣言し、再処理計画の断念を推奨する。その上で日米主導で再処理を禁止する条約みたいのが出来たらベストじゃないでしょうか。

実際、「日本のようになりたい」として、再処理工場を要望する原子力技術保有国は少なくありません。仮にそのような国が再処理政策を進めたとして、その一部が隙を突いて平和利用を乱すような行為に走らないとも限らない。それに関連して、核物質のずさんな管理(ルース・ニューク)による核兵器(核物質)テロのリスクの拡大。アメリカはそのようなシナリオを恐れているのです。


その3につづく

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カテゴリ: 冷やしたぬき放談

テーマ: 政治・経済・社会問題なんでも  ジャンル: 政治・経済

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