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冷やし狸庵

原発・エネルギー問題を静かに考えるブログ。

憲法上、核兵器の保有・使用は禁止されていないとする横畠内閣法制局長官の答弁は特に問題ではない その1 

今年は年明け早々に北朝鮮の水爆実験があった影響か、当ブログで扱うコラムの題材も核兵器関連が多い感じです。

原発と核兵器は表裏一体の関係にあるとも言われていますし、当ブログとしても今までこの種の問題は批判的に扱ってきている次第です。

つい最近は、例の「トランプ発言」が世界中で物議を醸しましたが、似たような話は日本国内でもありました。

そのようなわけで、今回はトランプ発言とほぼ同時期に話題になった参院予算委員会における民主党(現:民進党)の白真勲(ハク・シンクン)議員と横畠裕介(よこばたけ・ゆうすけ)内閣法制局長官のやり取りについて考えてみたいと思います。

‖一見すると物騒な話に思えるが・・

内閣法制局長官 核使用「憲法で禁止されず」
2016年3月18日 http://archive.is/Drlc9 #毎日新聞

一部抜粋

横畠裕介内閣法制局長官は18日の参院予算委員会で「あらゆる武器の使用は国内法、国際法上の制約があり、わが国を防衛するための必要最小限のものにとどめるべきだ」と述べたうえで、核兵器の使用について「憲法上、禁止されているとは考えていない」という見解を示した。民主党の白真勲氏への答弁。

・・

横畠氏は昨年8月の参院平和安全法制特別委員会で、核兵器の保有に関しても「憲法上、保有してはならないということではない」と答えている。



これは先月の参院予算委員会での白議員と横畠氏に関する記事です。横畠氏の見解として「憲法上核兵器の保有も使用も否定されない」という話です。

白・横畠両氏による議論の余波と言いますか、ネット上では横畠氏の見解を相当深刻に捉えている方が少なくない印象です。「横畠発言」を政府による核武装への意欲の表れであるかのように報じた一部マスコミ・ネットメディア等の影響もあるのかもしれません。

‖ しかし、よく考えると特に新鮮味のある話ではない

横畠氏に関しては、私としては特に問題がある見解であったとは思えないのですが、この件、話を順序立てて進めていくうえで、今回は憲法解釈上の核兵器の保有について扱っていくことにします。

記事のとおり、横畠氏は昨年8月にも核兵器の保有は違憲ではないと答弁しているわけですが、ここで実際に参議院の議事録を見てみることにします。

参議院会会議録情報 第189回国会 我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会 第8号
2015/8/5 http://goo.gl/UkHJDH

一部抜粋

○白眞勲君 じゃ、法制局長官にちょっとお聞きしたいと思います。
 憲法上核兵器は持つことは可能かどうか、これを聞きたいんですけれども。
○政府特別補佐人(横畠裕介君) 憲法上核兵器を保有してはならないということではないというふうにこれまで答弁しております。
○白眞勲君 もう本当に、今日は私もちょっと驚き驚きの大変な状況になってきているんですけれども。
 ちょっとここで、私もこの法文いろいろと眺めていて、すごく、あれ、どうなっているんだろうなというのがあったんですよ、私自身が。それで、原爆投下から七十年ですよね。それから、今日も暑いですよ、毎日暑い中で、私最近気になっているのは、電力不足という言葉が余り報道で私自身は聞いたことないんです、最近。だけれども、政府は原発の再稼働をやっぱりやろうとしているわけですよね。
 ということは、安倍政権は、もしかしたら核抑止力を、我が国の独自の核抑止力、そういったことで持ちたいのかなというふうにも思うんですけれども、その辺はどうでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) 我が国は、国内において非核三原則を始め様々な原則を持つと同時に、国際社会においてNPT条約、核兵器不拡散条約の締約国であります。この条約を誠実に履行するために、我が国として核兵器を持つことは決してないということは明確に申し上げておきたいと存じます。



このように、たしかに「保有してはならないということではないというふうにこれまで答弁しております」とあります。

しかしながら、別に横畠氏の答弁は白議員が仰るような「驚くべきこと」ではありません。これは極めて一般論というか、いつも通りのことを言っているだけです。と言いますのも、核兵器の保有は憲法上否定されないという見解は、それこそ60年も前からあった話ですから。

参議院会議録情報 第026回国会 予算委員会 第24号
1957/5/7 http://goo.gl/e0Vd8u

一部抜粋

○国務大臣(岸信介君)・・これは憲法上の解釈としては、私はいわゆる核兵器と名前がつくものは全部憲法違反だという御説もあるようでありますけれども、それはこの技術と科学の発達につれまして、核兵器と言われるところの性格というもの、性質も、また兵器の種類もいろいろこれから出てくることでありましょうし、従って名前は核兵器とつけばすべて憲法違反だということは、私は憲法の解釈論としては正しくないのじゃないか。憲法の解釈論としてはあくまでも今申しました自衛ということを裏づけるに必要な最小限度の実力ということが限度であって、従って攻撃を主たる目的とするような兵器は、たとえ原子力を用いないものであっても、これは憲法で持てないということは当然であろうし、
・・



このように、核兵器とつけばすべてが憲法違反だとは解釈論としては正しくないと、岸信介総理(兼:外務大臣)が答弁しています。

衆議院会議録情報 第031回国会 内閣委員会 第18号
1959/3/13 http://goo.gl/el8xBP

一部抜粋

○伊能国務大臣 ・・いろいろな論議が出てきましたが、憲法上においても、自衛という観点に立った場合においては、理論的に核兵器の一部を待つ、明らかに常識的にだれが考えても水素爆弾、原子爆弾というような、国内においてこれを使えば、敵を殺傷すると同時にみずからをも殺傷するというような大きな攻撃的性質のものについては、いろいろな論議もありましょうが、少くとも敵が国内に入ってくる、それを前提として、相手がそういった手段に出る際に、こっちもそれを全然使うことができないかどうかというような際には、それは憲法上も許される範囲ではなかろうか、必ずしもすべてを違憲と言うべき性質のものではないか、かような議論をいたしました。その際に、しからば御指摘のように攻撃的な核兵器、防御的な核兵器というようなものが一体あるのかどうかというような論議でありましたが、科学の飛躍的な進歩、なかんずく兵器等の飛躍的な発展の段階において、それらを区別する。これがそうで、あれがそうだということを区別するということは困難ではございますけれども、これはあくまで理論的な、観念的な憲法上の解釈としての御議論でありますから、私どもとしてはさように御回答申し上げるということでありましたが、再三のお尋ねでありましたので、たとえばオネスト・ジョンのごとき兵器の着弾距離がわずかに三十キロ程度、最大射程四十キロ程度のものは、これを日本が持ったとしても、現在の日本の地理的な条件からいって敵を攻撃するという種類のものではない。従って、たとえばこういうようなものは少くとも憲法上の解釈として直ちに違憲ではない、かような趣旨の御説明を申し上げた次第でございます。



憲法上どの程度の核兵器が保有可能か(観念的な憲法上の解釈としての議論)という点について、伊能繁次郎防衛庁長官の答弁があります。

安全保障の法的基盤に関する 従来の見解について 平成25年11月13日 安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会(第4回会合) 内閣官房副長官補(PDFファイル)
2013/11/13 http://goo.gl/12rb6h

一部抜粋

(エ)衆議院-予算委員会 (昭和45年(1970年)3月30日)
○中曽根防衛庁長官
「やはり核兵器、特に攻撃的、戦略的核兵器、それから攻撃的兵器の中でたとえばB52のようなもの、あるいはICBM、あるいは中距離弾道弾、このように他国の領域に対して直接脅威を与えるものは禁止されていると思います。」



(オ)衆議院-外務委員会 (昭和53年(1978年)3月24日)
○福田内閣総理大臣
「(略)核といえども、必要最小限の自衛のためでありますればこれを持ち得る、こういうのが私どもの見解でございます。ただ(略)、わが国は非核三原則というものを国是としておる、それからまた核拡散防止条約に加入しておる、また原子力基本法を持っておる(略)、現実の問題として(略)核を兵器として持つということはあり得ませんが、憲法解釈の問題とは別個の問題であるというふうに御理解願います。」



このようなわけで、憲法上核兵器の保有は可能であり、保有はありえないけども仮に保有できるとすれば、せいぜい戦術核に限定されるだろうというような話はずっと昔からあったわけです。

何か考え違いをされている方もいらっしゃるかもしれませんが、別に安倍内閣になってから急に物騒な話が降って湧いてきたわけではなくて、憲法解釈上の核兵器の保有に関しては、横畠氏が仰るように「これまで答弁しております」のとおりというわけですね。


その2につづく


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カテゴリ: 冷やしたぬき放談

テーマ: 政治・経済・社会問題なんでも  ジャンル: 政治・経済

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