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冷やし狸庵

原発・エネルギー問題を静かに考えるブログ。

憲法上、核兵器の保有・使用は禁止されていないとする横畠内閣法制局長官の答弁は特に問題ではない その3 

過去2回にわたっていろいろ考えてきましたが、結局のところ横畠氏は、「憲法上、自衛のための必要最小限の武器の保有と使用は禁止されない」という、憲法第9条に関する従来どおりの説明をしたに過ぎず、特に大騒ぎするような話でもないということでした。

しかし、それでも今回の答弁で安倍政権が核武装に一歩踏み込んだと悲観される方は、今回の話と絡めて、例えば2012年に改正された原子力基本法の「我が国の安全保障に資することを目的として・・」という文言を根拠に、日本が近々核武装に舵を切るに違いないなどと警鐘を鳴らしているようです。

まあしかし、私としては「原子力基本法で核武装」なんてまだそんなこと言ってるんだといった感想なのですがw

‖ 原子力基本法で核武装は出来ない

原子力基本法 (昭和三十年十二月十九日法律第百八十六号) 最終改正:平成二六年六月一三日法律第六七号
http://goo.gl/F9I1P

一部抜粋

(基本方針)
第二条  原子力利用は、平和の目的に限り、安全の確保を旨として、民主的な運営の下に、自主的にこれを行うものとし、その成果を公開し、進んで国際協力に資するものとする。
2  前項の安全の確保については、確立された国際的な基準を踏まえ、国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全並びに我が国の安全保障に資することを目的として、行うものとする。



これは過去に何度もしつこく述べてきたことではありますが、そもそも原子力基本法の「我が国の安全保障」は核武装を意味するものではありません。ハッキリ言ってしまえば無関係です。

この話は以前の記事をご覧いただければ理解していただけるとは思いますが、この条文における「安全保障」とは「核セキュリティー」の意味であり、核災害から国民を守るという解釈が妥当であろうかと思います。以前の記事では触れていませんが、当然これには核物質の盗難やテロ(サボタージュ=破壊行為)対策等も含まれると考えるのが自然です。

原子力基本法の改正については、未だに妙な誤解をされている方が少なくない印象です。

ついでに付け加えておきますと、少し前になりますが、先のトランプ氏の発言に対して、岸田外務相が「核武装はありえない」と発言したという報道がありました。

岸田大臣「核武装はあり得ない」 トランプ氏発言に
2016/03/29 https://archive.is/8J1CU #テレ朝NEWS

一部抜粋

岸田外務大臣:「我が国は非核三原則があり、原子力基本法があり、NPT(核拡散防止条約)体制を重視しております。我が国が核武装するなどということはあり得ないと考えています」



確か先の横畠氏の答弁でも似たような話があったとは思いますが、岸田外務大臣は日本の核武装があり得ない根拠の1つとして「原子力基本法」の存在を挙げています。これは「基本法の安全保障で核武装だ!」と吹聴する方の主張と相反する形になるわけですが、核武装が可能な法律を前面に出しておきながら、「核武装はありえない」なんて人をバカにした発言が出てくることはないでしょうw

‖ 問題提起とから騒ぎは違う

日本の核武装に警鐘を鳴らし、いろいろ問題提起をすることは結構なことだとは思います。しかし、横畠氏の答弁や原子力基本法にしても、これらの話と核武装を結びつけるのはどう考えても無理があります。脈絡のない話を積み上げて危機を煽るようなやり方はいかがなものかと思います。

実際問題として日本が独自に核武装を行うことは、国内及び国際関係上、多数の高いハードルが待ち構えている状況で、これでは到底不可能です。それでも無理やり核実験を強行しようものならば、国際社会による厳しい制裁措置が課せられ、例えばエネルギーの分野であれば、最悪化石資源の供給が止められる事態になり、日本のエネルギー安全保障を大きく損なう結果を招くでしょう。

日本としては核開発ではなく、核軍縮による国際的な摩擦の回避を促すことが現実かつ合理的な選択肢であり、政府は以前から核開発競争や核戦争の回避、長期的な目標としての核兵器の無い世界の実現を目指す非核外交を継続しており、最近の事例を挙げれば、研究用の高濃縮ウラン・プルトニウム等の返還(日→米)G7外相の広島平和記念館訪問や、5月下旬に予定されているオバマ大統領の広島訪問等も日本の外交姿勢に合致するものです。

一方で、日本は既に、あるいは将来的にも核武装など到底不可能な状況であるにもかかわらず、「核抑止力を維持するために原発・核燃料サイクルを維持するべき」という不可解な主張をされる一部メディアや有識者の存在というのは、これは明らかにおかしいとは思います。実例を挙げれば読売新聞、石破茂(自民党・野党時代)、森本敏(拓殖大教授)、石井孝明(経済ジャーナリスト)氏といった面々です。

不用意かつ物騒な社説や発言の数々が、諸外国からは日本の核武装を疑われる情報源として活用される側面もあります。これは日本の外交姿勢に反するものであり、同時に国益を損ねる問題行動であると言えます。

- おわり -

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カテゴリ: 冷やしたぬき放談

テーマ: 政治・経済・社会問題なんでも  ジャンル: 政治・経済

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