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冷やし狸庵

原発・エネルギー問題を静かに考えるブログ。

たとえタカ派の核武装論者が防衛大臣になったところで日本が核武装に近づくこともない 

安倍首相の内閣改造により、防衛大臣に稲田朋美衆議院議員が就任したそうです。

私は稲田氏に関してはたまに新聞などで見る程度で良く知らないのですが、なんでも当選4回で2度目の入閣というのは異例であるとか、そんな話もありました。

稲田氏と言えば政治信条的にはタカ派で熱心な核武装論者(この話は私も聞いたことはありますが)だそうで、一部マスコミからはそのような人物が防衛大臣になることを問題視するような論説、あるいはネットでは安倍政権の核武装への意欲を示した人事であるとか、そういう意見も見られます。

‖ 核武装論者の防衛相を気にする必要はない

しかし、たとえ稲田氏が熱心な核武装論者であるとしても、それでただちに日本が核武装に踏み込めるかと言ったらそんなことは全く無いわけですし、過去の防衛大臣・防衛庁長官でタカ派で核武装論者と言われた方はたくさんいましたので、別に気にするほどの事でもないだろうと思います。

もちろん、稲田氏が一国会議員時であればともかくとして、実際に防衛大臣として「核武装を検討する」なんて言えるわけがないのですが、先日の記者会見でのやり取りを見ていると、個人的に興味深い部分も見えてきました。

‖ 憲法解釈上の必要最小限度に収まる核兵器の話

稲田朋美防衛相「核保有は現時点では検討すべきでない」
2016/8/3 https://goo.gl/smuHv9 #産経ニュース

一部抜粋

稲田朋美防衛相は3日夜の記者会見で、核武装の必要性について「必要最小限度の自衛権の行使を考えた場合、現時点で核保有を検討すべきではない」と述べた。稲田氏は雑誌「正論」の平成23年3月号で核武装を検討する必要性に言及していた。

 稲田氏はまた、「憲法の範囲内で、世界の情勢の中で、日本が必要最小限度の自衛権を行使するため武力を持つことは憲法が許している」とも述べた。



第三次安倍再改造内閣閣僚記者会見(核武装に関するやり取りは7:11あたりから)


動画のやり取りをご覧いただければおわかりいただけるかと思いますが、テレビ朝日の記者は「正論2011年3月号」の記事を根拠に、核武装について現在どのように考えているかを質問したわけですが、そこで稲田氏は、憲法上必要最小限度の武力を持つことは憲法で許されていると仰っています。そして更なる記者の質問の後、現時点で必要限度の自衛権の行使ということを考えた場合、核保有を検討するべきではないと仰っています。

核武装という話で必要最小限度の自衛権という受け答えは一見話が噛み合っていないように思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、これは私が以前に話題にした、横畠裕介内閣法制局長官と白眞勲民進党参議院議員のやり取りと全く同じ話なのです。憲法上、自衛のための必要最小限度の実力、すなわち武器の保有と使用は憲法上認められる。ということはたとえ核兵器であろうと毒ガス兵器であろうと、その範囲内であれば直ちに違憲とは言えない。何度もしつこく書いてきた例の話です。

‖ そもそも必要最小限度の核兵器では日本を守れない

それでは憲法解釈上の「必要最小限度」に収まる核兵器は何かといえば、それは主に自国の領土内で使うことが前提となる、いわゆる戦術核になります。具体的には射程距離が数十キロ程度の対空ミサイル・ロケットランチャーであるとか、あるいは核地雷、そういった種類の兵器(具体的、と言っても私は兵器の名称はわかりませんので・・w)が想定されるわけですが、実際問題としてこの程度の武器では我が国の防衛力の向上や周辺諸国に対する抑止力としては期待できません。

こういうものはやるからには大陸間弾道弾(ICBM)や潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)、すなわち戦略核でなければなりませんし、そもそも日本核武装論の本質は対米自立、あるいは反米感情にあるということも踏まえると、その標的は短中期的には当然北朝鮮・中国・ロシアとしても、究極的にはアメリカをも想定した、より本格的なものになるのではないかと思います。

ここで稲田氏の記者に対する受け答えに戻って考えてみますと、稲田氏は現行法(憲法)上の核武装論には意味がないことを理解(あるいは前もって官僚のレクチャーを受けた?)しており、その上で現憲法の枠内に収まる核武装は検討するべきではない、そういうニュアンスで答えたのではなかろうかと私は推測しています。

まあ誰を標的(先ほどの話は半分は冗談ですw)にするかはさておき、現実問題として核兵器に何らかの抑止力を期待するのであれば、それは当然戦略核ではければなりませんし、それには憲法改正が不可欠な要素になります。9条を大幅に改正して侵略戦争も可能にする・・というのは極端としても、少なくとも、自衛のための必要最小限度を超える実力を保持できると解釈できる条文に書き換えることにより、憲法上・純法理論上的には日本が戦略核兵器を保有することは可能になるでしょう。

‖ 核武装論は推進派・反対派、どちらの側もリアリティーに欠ける

しかし、憲法を改正した程度で日本がいつでも核武装できるかと言えば、そんなに甘い話でもないと思います。

この手の話ではよく「国際情勢によっては~」という話がある種のリアリティーのある言説として紹介されることがありますが、私にはフィクションにしか映りません。そもそも、技術的・政治的にいつでも核武装が出来る体制が全く整っていない状況で検討するも何もないだろうということですね。

核武装にかんする議論においては、反対派も推進派も実際に核兵器を開発するための労力やタイムラグ、国際社会からの圧力などが一切無視されていて、双方ともに「ボタン1つですぐに開発が出来る(これをお互いに肯定的・悲観的に主張)」みたいな、妙な前提で話を進めているような印象です。

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カテゴリ: 冷やしたぬき放談

テーマ: 政治・経済・社会問題なんでも  ジャンル: 政治・経済

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