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冷やし狸庵

原発・エネルギー問題を静かに考えるブログ。

日本の核武装のための技術的な問題点について考えてみる その3 

‖ 核武装国の定義論

これは定義論と言いますか、私は、核武装というのは単に核兵器を開発するということではなく、核兵器を活かせる戦力が整っていてこそ意味があると考えています。仮想敵国を想定した上での最低限必要な核兵器の保有数と、そのスケールに見合った軍事力。これらが備わって初めて核保有国と言えるのだろうと思います。

そのように考えると、日本の場合は「軍事力」においても相当ハードルの高い問題を多く抱えていると言えます。といいますのも、日本の自衛隊は文字通り自衛能力はあっても他国に対して攻撃できるような能力(戦争遂行能力)を持っていないからです。

自衛隊とは憲法9条・専守防衛に則った自衛組織に他ならず、守りにはそれなりの強さを発揮するが、攻める力が無い。無い部分はアメリカ(日米安保)の役割という構造になっています。自衛隊は世間一般の軍隊とは明らかに性質が異なるのです。

しかしこのような構造では、核保有国としては物足りないというか、これでは核兵器を使いこなせないでしょう。

‖ 通常戦力が十二分に整って初めて核抑止力を手にできる

小川和久 日本人が知らない集団的自衛権
2014/12/19 http://archive.is/OEjIw

一部抜粋

核武装論者には、「核兵器を持つだけで済むから効果的で安上がり」と思っている人がいますが、核兵器の抑止効果は、自国の核兵器を敵国の攻撃や破壊活動から守ることができなければ生まれません。核兵器を守るには高度の通常戦力が必要ですから、決して安上がりにはなりません。



仮に核兵器を持ったとして、まずはそれを守るための戦力、すなわち核兵器の安全保障が保たれていなければ核抑止力は成立しない。戦力というのは何か1つあれば良いというわけではなく、それを守るための部隊、そしてその部隊を守るための部隊・・と言った風に、とにかく多重構造であることが求められるようです。

そして核兵器は基本的に使用を前提とした武器ではないので、その意味においても、やはり通常戦力の拡充と言いますか、自衛隊は専守防衛の枠を超える軍隊に作り替える必要があるのだろうと思います。

‖ 仮想敵国の設定・究極的にはアメリカも標的にせざるを得なくなる

軍隊の規模を考える上でも仮想敵国をどこに設定するのかということになりますが、新聞やニュースなどを見てみますと、それはやはり、核による恫喝・瀬戸際外交を続ける北朝鮮・・というよりも毎年2桁増で国防予算を増やし、野心的とも言える海洋進出を図っている中国ということになるのでしょうか。

しかし、私はこれにアメリカも加えなければならないと考えています。なぜかと言うと、それは日本の核武装がアメリカの従来からの国策であるアジア太平洋戦略と矛盾するからです。

アメリカとしては、アジア・太平洋地域における政治的な安定・パワーバランスの維持に努めること。これがアメリカの国際的な発言力の強化や経済的な繁栄に繋がると考えています。よって、当該地域における無用なトラブルは出来るだけ避けたいのが本音であり、そのためアメリカ主導の安全保障戦略をベースに、各国には「理性的な対応・協議を求める」というスタンスを崩しません。

そのような理由で、実際に日本が(韓国や台湾などもそうですが)核武装に走ろうとすれば、アメリカは国策に反する行動には本気で阻止にかかります。実際には一歩踏み込もうとする時点で察知されるでしょう。

しかし、日本の核武装とアメリカの国策が対立する以上、日本が核武装を進めるには、アメリカによる政治的・軍事的な介入を防止する意味で対策を講じる必要があるでしょうし、もしそうなれば日米安保は解消され、アメリカは日本を敵性国家と看做す可能性も高いでしょう。

仮想敵国を想定した上での最低限必要な核兵器の保有数と、そのスケールに見合った軍事力。仮にアメリカも含めて検討するならば、核保有国日本にとっての最低限必要な核兵器の保有数と、そのスケールに見合った軍事力とは、一体どの程度のものになるのか。

日米同盟によって初めて担保される日本の抑止力を、同盟を解消して自衛隊を米中に対抗できるだけの軍隊に作り替えることなど、果たして実現可能なのでしょうか?自衛隊の防衛装備品一つ取って見てもアメリカ頼みという現実もあるでしょうし。

‖ 議論をすると核武装が出来なくなるという結論

日本の核武装の可能性を主に技術的な面から考えてみると、たしかに日本は核武装に資する技術を一部保有していることは確かだと思います。

しかし、どうにもその後が続かないんですよね。部分的に核武装に繋がる技術はあるとして、それらを繋ぎ合わせるだけの裏付けがない。

時間を要すると思われる課題がすでに解決している、あるとしてもすぐに出来るとか、とにかく、あらゆる領域において日本側にとって都合の良い展開が幾度も重なれば出来るだろうといった話で、これはどう考えても一晩とか一朝というレベルではなく、実際には何年かかっても無理なんじゃないかと思います。

核武装は妄想すればすぐに出来るが、議論すると出来なくなる。日本核武装論の実態とは、だいたいそんなところだろうと思います。

- おわり -


その1~3におけるその他参考資料

高木仁三郎 原子力神話からの解放 -日本を滅ぼす九つの呪縛(再販)
2011/5/19 http://goo.gl/Mgg90c

小川和久 もしも日本が戦争に巻き込まれたら! 日本の「戦争力」vs.北朝鮮、中国
2011/2 http://goo.gl/lFIhxR

防衛省 防衛研究所 ―再燃している日本の核武装をめぐる論議について― 第1研究部主任研究官 小川伸一(PDFファイル)
2003年9月改版 http://goo.gl/auw6uO

西 恭之 リアリズムからほど遠い日本の核武装論議
2013/1/17 http://archive.is/8uEoN

空母、原潜、核兵器の保有は“割に合う”か――軍事評論家・岡部いさく氏に聞く
2014/6/20 http://goo.gl/pD5Ao9 #ダイヤモンドオンライン

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カテゴリ: 冷やしたぬき放談

テーマ: 政治・経済・社会問題なんでも  ジャンル: 政治・経済

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