01// 1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28. //03
 

冷やし狸庵

原発・エネルギー問題を静かに考えるブログ。

鹿児島県 三反園訓新知事に学ぶ脱原発のための基本姿勢 その2 

福島原発事故を経て、世論は原発を必要とは考えなくなったことは確かと言えますが、それは即ゼロ(=反原発)を意味するのかというと、それは明らかに違う。これには様々な理由が考えられますが、理由はさておき、とにかく段階的・一定のスケジュール観を持った戦略的な内容であれば合意できるというのが概ね妥当な線であると見ています。

‖ 即時ゼロは即落選

実際問題として、国政や地方の選挙の様子を見ていますと、「即ゼロ」を訴える候補者というのは「即落選」しているのですね。たとえ前評判の高い有力な候補者であっても、そのような訴えは確実に失速につながります。勝てる戦も勝てなくなります。

有力な候補者が原発反対に前のめりになって敗れた事例で言えば、比較的最近であれば、鹿児島県と同じく「4選」が大きな話題になった、2015年の北海道知事選が挙げられます。こちらは女性初の4選を目指す現職の高橋はるみ知事と、脱原発を掲げ北海道内では抜群の知名度を誇るフリーキャスターの佐藤のりゆき氏の対決でした。

佐藤のりゆき公式サイト 私からの3つの提言
https://archive.is/qxGlk

一部抜粋

北海道の皆さんの、暮らしを守る、命を守る、そして未来をつくる。これは子どもたちの将来のためであります。命を守るということは、原発に依存しないというエネルギーの問題。そして、気がかりな幌延の高レベル放射性廃棄物処分場の問題。

・・

 私は幌延を最終処分場にするのは反対です。そう言う意味で命を守る、脱原発と考えておりますが、暮らしを守るということと、相反することになるかもしれないという部分が原発の再稼働の問題であります。
 再稼働については、非常に悩ましい。



当初佐藤氏は、脱原発を掲げつつも、再稼働に関しては「非常に悩ましい」として、明確な発言は控えていました。佐藤氏は泊原発の再稼働の際には道民投票も検討すると仰っていましたが、当初はあくまで検討でした。この辺りは脱原発をビジョン(長期目標)と考える三反園氏と共通する要素もあったと言えるでしょう。

道政史上初の4選 内実は(北海道)
2015/4/14 #北海道新聞

一部抜粋

B(こちらは北海道新聞記者による座談会形式の記事になります) 佐藤氏は一党一派に属さない「道民党」を名乗っていたけれど、街頭演説では佐藤氏を支援する共産党関係者が前列に陣取り、そろいのTシャツを着て太鼓をたたいた。佐藤氏もその声に呼応し、「脱原発」ばかりを強調するようになり、・・



ところが告示後の佐藤氏は原発反対を強める戦略を取り、検討としていた住民投票も公約のような位置付けになり、「この選挙は、原発推進か脱原発かの住民投票にもなる」等と繰り返し発言。佐藤氏は当初の「悩ましい脱原発」から即時ゼロ、すなわち反原発のキャラに変わっていったのです。

世論調査が示す通り、世論は原発に反対でも前のめりが過ぎると敬遠する。佐藤氏の敗因の1つはそこにあったのだろうと思います。原発問題に関わらず一般論として、どのような政策でも、たとえ良いものであったとしても度が過ぎれば有権者は警戒するというのはあるでしょう。

‖ 原発に厳しい対応で望みつつ、政策の是非を語らない人は強い

即ゼロ的な候補者は即落選するとしても、逆に原発に関して必ずしも明確なスタンスを取らない、その代わり安全対策にかなり厳しい姿勢で臨む候補というのは、これは結構通用しているのが実情です。新潟県の泉田裕彦知事がその実例で、泉田氏は中越沖地震の経験もあり、「福島原発事故の原因究明が第一」を掲げ、それが出来なければ再稼働の議論はしないという立場です。

泉田知事は東電との会談でも一歩も引かず、その歯に衣着せぬ言動から脱原発知事などと言われていますが、しかし、知事としては原発の是非について直接的な言及をしたことは一度もないと思います。こちらについては福島原発事故後に原発反対に転じた小泉純一郎氏も、泉田知事が必ずしも反対派ではないことに驚いたという一幕もありました。

明確なスタンスを取らないという意味では、静岡県の川勝平太知事も似たような感じだと思います。中部電力は浜岡原発の海側にまるでベルリンの壁のような巨大な防波壁を作りましたが、今のところは議論できる状況にはないというのが知事の立場のようです。

このように、タテマエとしての安心安全ではなく、かなり厳しめに問題に取り組む方というのは一定の支持を得られるというのが実情だと思います。やはり「安全第一」と同時に「福島のような事故が起きても命の問題は起こらない」、「再稼働して安心した」みたいなことを仰る方は嫌われるでしょう。

‖ 世論動向に合った人を選ぶ

三反園・泉田・川勝知事。彼らの原発に対するスタンスを見てみますと、これは世論動向ともほぼ合致するのですね。世論動向としては即時ゼロではなく一定の猶予期間を設けた脱原発を望んでおり、しかし、安全対策に関してはそもそも世論は規制委員会の安全審査を信用しておらず(12)、少なくともそれ以上の線を望んでいる。

タテマエでない安全対策を望む知事は電力会社から見れば脅威であり、そのことは市場動向から見ても明らかです。もちろん政府や原発推進のマスコミ等も、出来ればそういう人が知事になってほしくは無いと考えています。そのため三反園知事の誕生は、その手の方面から動揺の声が上がったわけです。原子力は国民不在であるほどやりやすいというのがありますからね。

もちろん選挙というのは原発問題だけがすべてではないのですが、原発問題にかんして、今まで一般的な有権者の感覚として「このくらいなら乗れる」と思わせる候補者というのがほとんど出てこなかったというのがあります。そういう意味では三反園氏のような主張であれば、比較的乗りやすいと考えた有権者は多かったように思います。

三反園知事が今後川内原発に関してどのような判断を下すのかはともかくとして、今回のような成功事例は脱原発を考える上で大きなヒントになるのではないかと考えています。

とはいえ、出来ればこういう動きが3・4年前から出て来ていたら良かったのにとも思っています。

- おわり -

関連記事
スポンサーサイト

カテゴリ: 冷やしたぬき放談

テーマ: 政治・経済・社会問題なんでも  ジャンル: 政治・経済

comment(2) | trackback -- | edit

page top

コメント

Re: 【 原子力規制庁 前長官 池田克彦、川内原発の再稼働を許可。審査の適正さが疑われる件 】

埼玉様

コメントを頂いて恐縮なのですが、内容的に当ブログの扱う範囲とは少々異なるのではないかと思います。

大変申し訳無いのですが、私としては返答に窮するといいますか、具体的なコメントを書くことができません。

また、一般的なコメント欄に投稿する文章量としてはやや多めにすぎるのではないかとも思います。

冷やしたぬき #- | URL
2017/01/29 07:38 [edit]

承認待ちコメント

このコメントは管理者の承認待ちです

# | 
2017/01/29 00:03 [edit]

page top

コメントの投稿

Secret

page top