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冷やし狸庵

原発・エネルギー問題を静かに考えるブログ。

もんじゅの廃炉とプルトニウム・バランスについて少し考えてみる 

政府 もんじゅ廃炉含め見直し 核燃料サイクルは継続
2016/9/21 http://archive.is/OPEc7 #nhk

一部抜粋

政府は、21日夕方、総理大臣官邸で「原子力関係閣僚会議」を開き、高速増殖炉「もんじゅ」について廃炉を含め抜本的な見直しを行い年内に結論を出す方針を確認しました。また、核燃料サイクル政策を推進するとしたうえで「高速炉開発会議」を設置し、今後の高速炉開発の方針を策定することを確認しました。



今週の話題は何と言っても「高速増殖炉もんじゅ(福井県)」ということになると思います。事前に複数のメディアから、もんじゅは廃炉が前提になるという報道もありましたし、21日の原子力関係閣僚会議においても、冒頭で菅官房長官が「廃炉を含めて抜本的な見直しを」と発言しているということも踏まえると、これはやはり廃炉で決まりでしょう。

‖ プルトニウムを利用するあてがない

核燃料サイクルの中核施設と位置付けられているもんじゅが廃炉になるとすれば、それではプルトニウム・バランス(需給問題)はどうなるのか。

これは、単に日本国内の政策的な問題という枠には収まらず、当然、国際的な問題になってきます。

日本は国内外で合わせて48トン(日本で10トン、英・仏に38トン)のプルトニウムを保有しているわけですが、日本としては利用目的の無いプルトニウムは持たないというのが国際公約(持つことを歓迎する国はないでしょうがw)です。

政府としてはもんじゅの代替案として、もんじゅの前段階にあたる高速増殖炉「常陽」の活用(茨城県 常陽=実験炉、もんじゅ=原型炉)、フランスの高速増殖炉計画「ASTRID(アストリッド=原型炉の次に相当する実証炉)」での日仏共同研究、あるいは日本国内で新たな高速炉(この場合はプルトニウム増殖を伴わない炉の意味でしょうが)を造るというような話が出ています。

しかし、常陽は1977年に建設された古い実験炉で、これまで何度か改修しているとはいえ、どの道そう長くは使えません。

フランスの「ASTRID」は現状では計画段階に過ぎず、これはもしかしたら2030年代に完成するかもしれない、と言った程度の話で、こちらもどうなるかはわかりません。仮にこの計画に参画するとすれば、日本側の出資金額や万が一の事故の際の賠償問題なども不明です。

日本で高速炉を造るとしても、そもそも立地自治体をどこにするのかも決まっていません。とにかく一から作るわけですから、これも上手く行って20年、30年後の話になります。

このように、高速炉(増殖炉)関連においてのプルトニウム利用は全く不透明です。

‖ プルサーマルも不透明さが残る

資源エネルギー庁 「平成17年度エネルギーに関する年次報告」(エネルギー白書2006)
2006 http://bit.ly/2cn0KcD

cycle2006_enecho2.png

こちらは核燃料サイクルの模式図になりますが、仮に右側の高速増殖炉サイクルが破たんするとしても、それが直ちに核燃料サイクルの破たんを意味するとも言い切れません。左側の軽水炉サイクル、すなわちプルサーマル路線でもサイクルが出来なくもないですし、実際に電力会社などはそのようなことを言い始めています。

【もんじゅ廃炉方針】電力各社はプルサーマル発電頼み、核燃料サイクル維持が経営の制約に
2016/9/21 http://archive.is/q8cBq #産経ニュース

一部抜粋

高速増殖炉原型炉「もんじゅ」(福井県)の廃炉方針が事実上固まったことにより、原発を持つ大手電力には、核燃料サイクルの維持という新たな重責がのしかかる。核燃料サイクルの軸足が、ウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料を使う「プルサーマル発電」へのシフトを余儀なくされるためだ。
 「もんじゅに関係なく(核燃料サイクルを)進めていくことは可能だ」
 電気事業連合会の勝野哲会長(中部電力社長)はこう強調した。MOX燃料を通常の原子力発電所で燃やすプルサーマル発電の拡大を視野に入れた発言だ。



しかし、やはりこちらも見通しは厳しいと断じざるを得ません。

記事にもあるプルサーマル16~18基体制(1基あたり平均で0.3トン/年をMOX燃料としてプルトニウムを使用)というのは、これは福島原発事故以前の話です。

この計画は事故以前からユーザーの理解(安全性への懸念)の問題から、そう簡単には進まないだろうという疑問の声も多かったようですし、事故が起きてからはなおさらで、そもそも各電力会社は、プルサーマル以前に再稼働に漕ぎ着けるだけでも数年単位と数千億円の安全対策費を要するのが現状です。

プルトニウムを減らす(使う)という意味においては、青森県で建設中の大間原発(電源開発)がありますが、これも問題が多いですね。マスコミや原発反対派からは大間が「フルMOX」である、とにかくフルMOXなんだという話が聞かれますが、これはすぐにはフルMOXにはなりません。

電源開発 段階的なMOX燃料装荷割合の増加 段階的にMOX燃料を装荷してフルMOXにします
http://archive.is/eBA7d

一部抜粋

MOX燃料の装荷は、着実かつ段階的に確認しながら進めるという考え方を基本として、初装荷として3分の1炉心程度以下を装荷し、運転開始後5年から10年程度かけて段階的に全炉心までMOX燃料の装荷割合を増やしていきます。



大間原発はMOX燃料をフルに使える設計になってるとはいえ、当面は炉心の1/3程度以下をMOX燃料とするわけで、これは一般的な原発でMOX燃料を使用する場合(普通の原発でフルMOXは危ないらしいので、最大で炉心の1/4、1/3程度に抑えています)と変わりありません。

大間原発の場合はフルMOXで理想的な稼働率が達成できれば1.1トン/年のペースでプルトニウムを使うことになりますが、当面5年~10年の間は0.3とかそのような感じになるでしょう。大間原発は建設の遅れが繰り返されており、現状では早くても2024年以降で、フルMOXとしてカタログスペック上の稼働が実現するのは2035年、さらにスケジュールが遅れると2040年以降になってもおかしくは無いでしょう。

今まではプルトニウムの需要面を見てきましたが、次は供給面ですね。現存する48トンのプルトニウム。そして今後の供給源として建設中の六ヶ所再処理工場(青森県)。これが完成すると仮定して、さらにカタログ通りの性能を発揮できるとすれば、年間8トンのプルトニウムが新たに供給されることになります。

再処理工場に関しては第2、第3の再処理工場も建設するという話も原発事故前はありましたが、もしそれが実現するとすれば16とか24とかそれ以上という数字になりますが、さすがに現時点ではそれは無いと思いますが。

このように、プルトニウムの需要と供給を考えると、特に需要の前提がきわめて怪しいものであることがわかります。

供給側は最大8トンであり、需要側は高速炉(増殖炉)や軽水炉も含めて、全くの不透明。直感的には2トンも行けば御の字ではないでしょうか?そうなると48トンに毎年6トンずつ在庫が積みあがっていくことになりますが・・?

それに需要側にしても、今後は原発の新増設もそう簡単には進まないでしょうし、たとえ形の上で何トン減らすと目標を立て、一時的に目標を達成したところで、それも長くは続かないでしょう。

‖ 少なくとも一定程度のプルトニウムは廃棄処分になるのでは?

政府がプルトニウム・バランスをどのように解決しようと考えているのかはわかりませんが、やはり現状の48トンは在庫としては過大に過ぎる。そしてこれが簡単に減らせるものとは認識してないはず。

となれば、やはりこれは以前の記事でも何度か書いてきたように、海外預かり分のプルトニウムの所有権を移転したり、あるいは日本国内で廃棄処分にしてある程度身軽にすることを考えている。おそらくそんなところだろうと思います。利用目的が無いから廃棄処分にするというのは、一番シンプルで国際社会が納得する方法ではあります。

政府としては、海外分をチャラにして国内分の10トンで仕切り直し、来場所以降の綱取りに期待。まあこんなところではないでしょうか。

私としてはその10トンも廃棄(廃業)してほしいというのが本音なのですがw

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カテゴリ: 冷やしたぬき放談

テーマ: 政治・経済・社会問題なんでも  ジャンル: 政治・経済

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